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木蓮の花開くころ

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ここでは、かっこよくない障害者のぼくの半生を語ります。そこで出逢った友人はかけがえのない財産です。
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2021年3月の記事一覧

なんでもない午後の風景

 いつだっただろうか。引きこもりはじめたころのありふれた午後だった。ラジオも音楽も聴かず…

白いかっぽうぎ

  先日、姉に電話をしていて祖母の話題になった。 「おばあちゃんほど、アンタのことを心…

食べられなくなった玉子焼き

 おふくろの元気だったいちばん近い記憶は、ぼくが二十代後半の秋だった。親元に近い施設へ引…

窓越しの別れ

 その朝、祖母は五歳のぼくに大芝居を打たせようとしていた。 「お昼からお医者さんが来はる…