【妄想ドラマ企画４３】刑事２．０（６）
ツイッターで発信された「大臣誘拐事件」の交渉は一部始終公開された為、話題集中、常時トレンドトップになっていた。
その犯人との交渉の最前線に立つのは、フォロワー１万人の警視庁職員・上部望。彼女を中心に一同は誘拐事件の犯人グループからの身代金要求額をひたすら待っていた。
「幹事長、犯人から新しいツイートが入りました」
水人：残念ですが、お金は受け取れません。一番足がつきやすいですからね。その代わり、どうでしょうか、私たちとゲームをしませんか？ ６０分以内にクリア出来たらあなたの勝ちです
犯人からのツィートには外部へのリンクが張られていた。
「幹事長どうします？ ゲームとか言ってますが」
上部は四街道に支持を仰いだ。
「やるしかないだろ、虎穴にいらずんば虎子を得ずだ」
「えーと、よくわかりませんが、リンクに飛びます」
躊躇なく外部リンクへ飛んだ。
するとアプリケーションのダウンロード「OK、NO」のページが出た。
「はいはい、もちろんOKです」
調子よくOKを押した上部だったが、
＜インストゥール権限がありません。危険なアプリケーションです＞
という画面が出た。
「おい、どうして止まった！ 時間がないぞ」
四街道はサイバー捜査班に文句をいった。
「ファイヤーウォールが作動しています。安全性が保障されていない未知のアプリケーションです。ダウンロードすると警視庁内のサーバーがウィルスに汚染される可能性があり危険です」
「そんなもの後でどうにでもなる。すぐ解除してなんでもダウンロードできるようにしろ」
「そんな無茶な、どうします刑事部長」
「やむを得んだろ、現政権の危機だ。解除してよし」
刑事部長が安全壁解除の決断を下した。
ダウンロードとインストゥールが終わり、ゲームスタート画面になった。
「じゃあゲームスタートします、ポチっと」
上部がスタート画面を押すと、今度は個人情報入力画面となった。
そこにはご丁寧に「ゲーム参加費１万円」と書かれ、クレジットカード番号も入力させるようになっている。
「なんだよ課金かよ、１万たけェ！」上部は粗い言葉になった。
「誰か！クレジットカード貸して下さい！」
「お前のカードでいいじゃないか？」
五十嵐班長が投げやりな返事をする。
「嫌ですよ、今月買い物しすぎて上限越えてるんです。私の極細カードなんて当てにせず、班長のカード使わせてください！」
「ダメ、ダメ、勘弁して、ここは警察うんぬんではなく、行政に担っていただきたい」
五十嵐は暗に四街道をさした。
「お前ら人の命がかかってんだぞ、１万円くらいで迷っている場合か、しょうがない俺のカード使え」
四街道は秘書にカバンを持ってこさせ、黒革の長財布に中から黒色のカードを取り出した。
「げー、これこそ噂に聞いたアメックスのブラックカード！さすが！所持するだけで年１００万取られるとか聞いたことあります。幹事長のこと好きになりそうです」
上部は受け取るとカードをジロジロみた。
「ごちゃごちゃ言ってないで、早く返せよ」
カード番号の入力を終えると、モニターはゲーム本画面に変わった。
「このタイプは見たことないですが、画面の感じだと青鬼系ですね」
「なんだそれは」
幹事長が質問した。
「まぁ鬼が青い、鬼ごっこみたいなゲームです」
「それ君できるのか？」
「ハイ、仕事で暇なときいつもやってますので、この手の逃げゲーは得意です」
「仕事中にやるんじゃねえよ」
硬い五十嵐班長が呆れる。
「政権存亡の機がお前にかかってる。やれ、毒食わば皿までだ」
四街道が行け！と指をさす。
「いやーその意味も良く分かりませんが！ スタート」
画面は「参加者が揃うのを待っています」と表示された。
「んっ？ 何だこれ、私たち以外にも参加者いるんですかね。ソシャゲでしょうかね」
「今度はなんだ」
「ネットでつながった人が参加できるソーシャルゲームです。おそらく同じツィートのリンクから飛んできたんでしょうね」
画面の右上に６０分、３６００秒の表示が出て、スタートと同時にカウントダウンが始まった。
迷路のような場所で大勢の人間キャラが逃げはじめた。
「うわーめちゃめちゃいますね、１００人くらい参加してます」
「とにかく１時間逃げ切れ。上部望！」
（ここからトーンが変わりましたが、次回からクライマックスです）
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