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道程の美学~プリコネreからみる最近の日本人のゲーム事情~

どうも、W.I.のtotokoです。
この間まで渋谷の東急にて長崎物産展が催されて、久しぶりに大村寿司を食べました。やっぱりあの甘さのあるご飯っていいですね。
長崎は甘さの文化です。
さて、今回は少しeSportsというものから離れて、最近のスマートフォンゲームのお話でもしましょう。
最近はスマートフォンゲームは、端末(スマートフォン)の性能向上も相まって、非常にクオリティが高いものが増えてきています。
もちろん、その分開発費などもかさむので、昔のような「ベンチャーレベルでのゲーム」というのがなかなか出しにくくなってきてはいます(個人開発者ではなく企業単位でのお話です)。
さらにいざリリースしても対して売れず、半年ほどでサービス終了となるタイトルも少なくありません。
また、シャドウバースや海外ではVaingrolyなどスマートフォンゲームのeSportsタイトルも増えてきています。
それでもPvP(プレイヤー同士の対決がメイン)のゲームは多くなく、基本はプレイヤー1人で遊ぶRPG系が多いです。
今回は最近リリースされたスマートフォンゲームタイトルの中でも特にクオリティの高いと考えるCygamesさんからリリースされた「プリンセスコネクトRe:Dive(以下プリコネ)」から、「最近の日本人のゲーム事情」に関してお話できればなと思います。


ジャンル:アニメRPG

プリコネは一言で言うとアニメRPGです。
ストーリー部分ではよくあるアドベンチャー部分(もちろんフルボイス)だけではなく、合間合間にアニメが挿入されます。
それだけではなく、タイトル画面ではゲームロゴの後ろでずっとアニメが流れていますし、バトルでキャラクターが必殺技を使い際はアニメーションのカットインが入ります。
まさにアニメRPG。
かつてスマートフォンゲームでここまでアニメーションが入った、しかもしっかりとした解像度の高品質のアニメを使用しているものはありませんでした。
それだけでもなかなかクオリティが高いのですが、それだけで売れているわけじゃないと思います。

丁寧な作り
このゲームまあ、丁寧なんですよ。何がって、何もかもですよ。
なんて書いちゃうと身も蓋もないので、簡単にいうと「どうでもいいところでカロリーを使わない」ようになっているんです。
ゲーム内の各要素への動線をわかりやすくなっています。例えばこのゲームではいわゆる「デイリーミッション(毎日ゲーム側から課せられる目標行動)」があるのですが、それを達成するための各要素への遷移がミッション画面から一発でいけるようになっています。
ミッション画面の各ミッションの「チャレンジ」ボタンを押下することで、そのミッションを達成するための画面へ遷移できます。
例えば、「一日一回無料ガチャ」というミッションがあれば、チャレンジボタンを押すことで、ガチャ画面へ遷移する−−みたいな感じです。
これだと「〇〇」というミッションクリアのために必要な操作が減るんですよね。プレイヤーはチャレンジボタンを押すだけで、その画面へ移動できますから、「えっとー何をすればいいんだっけ?」とはなり辛いわけです。
まあ、これは特別珍しいことではないんですよね。いわゆる丁寧に作っているゲームは大概こういうのが実装されていますし。
キャラの強化も細かいこと考えずに「おまかせ強化」ひとつでやれますし、もちろんそれも他のゲームに(ry
何が言いたいかと言うと、そのような「スマホゲームの当たり前のUIUXがきれい」なんですよ。
無理がないんです。画面のUIの配置がわかりやすかったりと、「ゲームをする以外の部分で労力を盗らない」作りになっています。

でもインゲーム部分はシンプル
このプリコネ、実際のインゲーム部分(クエストのバトル部分とかをそう呼んでます)はめちゃくちゃシンプルです。

プレイヤーは基本見ているだけです。戦闘はオート戦闘なんです。
ふつーのCSとかのゲームだと「そこが醍醐味だろうがああ!!」と怒るでしょうが、そこはスマホゲーム。それでいいんです。
このゲーム、初めはオートでぼーっとしててもクリアはできるのですが、進んでいくとあるステージによってはクリアできなかったりするんです。
ここで「あれ?」となるんです。
ゲームの大体のシステムは把握できているし、ほどほどにはキャラは育っているし……でもなんで勝てなくなったんだ?
まあこれは僕がそんな風になっちゃったというのもあるんですが。
そこで見直すわけですね。各キャラクターごとの特性を。
このキャラは前衛で防御力が高いからタンクとして壁になってもらってその後ろに火力となるキャラを配置して、持久力のために回復キャラを入れて……エトセトラエトセトラ。
そして、再びクリアできなかったステージにチャレンジして、見事リベンジ成功!
ここでおもしろさがでてきます。


つまり「結果に至るまでの道のり」が面白い
実は最近のうまく売れているスマホゲームってこの体験を大切にしているんです。
元々、スマホゲームっていうのは暇つぶしなんですよ。電車での移動中やファミレスで料理が来るまでの待ち時間といった小さな空き時間で遊ぶことがメインだったはずです。
まあ、あとはスマートフォンの性能の都合もあってそこまで凝ったゲームが作れなかったというのもありますが。
それが、性能向上などでやれることが増えたので「ゲーム中にプレイヤーにやらせること」にも凝りだしたんですね。
実際にキャラを操作してボタンをタップして攻撃して~といったアクションゲームのようなものが現れました。
しかし、それも一部の大手やブルーオーシャンだったころに出したゲームは売れていますが、新興で成功したタイトルはほとんど見かけません。
ですが、プリコネのような「戦闘は基本オート」なゲームは、この時代でもウケているタイトルは新規でもしっかりあるわけです。
元々僕は「ゲームはプレイ中にでも遊べてなんぼ!」と言って、そのようなオート戦闘のゲームは敬遠していました。
ですが、実際にそのようなゲームをプレイしてみてわかったのです。
「結果を出すまでの過程にプレイヤーは面白さを感じている」のだと。
だからずっとTCG(トレーディングカードゲーム)は廃れないゲームで有り続けられるんです。
それがデジタルとなりスマホで遊べるという「プレイヤーがいない」というアナログのカードゲームの課題が解決されたらヒットするのは自明です。
おそらく日本人のゲームプレイヤーの多くは、「実際の戦闘云々も面白いけど、多分そのための準備が楽しいのかもしれない」という思考が多いのだと思います。
RPGでもボスの前にしっかりとレベルを上げて、ボスに挑むとかね。

これはゲームに限らず
なんでもそうです。
お話でも、結末が面白いのではなくて、そこに至るまでの道のりが面白いんです。推理小説も、探偵が犯人を指摘するのではなく、そこに至るまでの証拠集めや、理論詰めの推理シーンが面白いんです。
部活動とかでもなんだかんだで思い出に残っているのは、合宿だったり普段の練習だったりといったものが多いのかもしれません。
なので、エンタメもそうである必要があるかもしれません。

「その決着に至るまでをいかに魅力的に伝えるか」これを重視すれば、例えばeSportsの大会実況にも応用ができるかもしれません。

蛇の足
そういえばPvPゲームの元祖ともいえる将棋や囲碁・チェスだって、事前の研究がものを言うといいますし、まあテーブルゲームの場合は実際の盤上での戦いも熱いので、一概に言い切れませんが、そこにも魅力があるというのは変わりません。
なので、これからゲームを作ろう、とか何かエンタメを作ろうと思う人はタイトルにあるとおり「道程」に魅力を感じられるようにするといいかもしれませんね。

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