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文学作品 “ロングポゼスト現象2014” - 1 -

店で食べ物を食べ終わった。ボーッとしているとどこからともなく声が聞こえてきた。「こいつ、となりの人の食べ物盗むつもりだろ。」その場で回りを見渡してみたが、言った人は見当たらない。オレは全く盗むつもりなどなかったので、違うと言おうとしたが、どこにいるのかわからない。そのあともどこかからか見られているような雰囲気があるのに、相手が誰かわからない。見られるのがいやな感じがしたので、席を立って店から出ることにする。店から出ても見られているような気がする。少し早歩きをする。

それから何日か経った。オレは今家の自分の部屋にいる。オレはちょっと出かける気分になった。準備をして、家から出る。バス停でバスを待つことにする。何分か待ってバスが来た。バスに乗ったが、席は埋まっていて、立つことになった。バスの中で後ろに立っているおばあさんが、「あの人、線路の向こう側の公立高校なんだって。」って言った。オレの高校なので、ビックリした。オレのことを言っているのか?と気になる。しばらくすると、駅に着いた。バスを降りたが、さっきのおばあさんが言っていたのがオレのことなのか気になる。オレはおばあさんを追うことにした。おばあさんは改札を通って、快速のホームの方に向かっている。オレはそのまま追った。電車が来た。おばあさんが入るドアにオレも後ろから乗る。ただ、追っているとバレないようにするので、背中側におばあさんが来るような向きで立った。一瞬意識が前を見た。そして、そのあと後ろを見た。おばあさんがいない。念のためとなりの車両も見た。だけど、やっぱりおばあさんはいない。オレはおばあさんを追う目的で電車に乗ったのにおばあさんがを見失ってしまった。

家に帰ると母親が言った。「どこからか声が聞こえて来たでしょ?」。オレは答えた。「どこからかって?」。母親は言った。「どこからかあなたの高校名が聞こえて来なかった?」。オレは言った。「バスの中でおばあさんが言ってたけど?あのバスにいたの?」。そうすると母親は言った。「おばあさんじゃなくて、どこからか聞こえて来たんでしょ?」。オレは怒って言った。「おばあさんが言ってたんだっつうの。バスの中でおばあさんが言ってたの」。オレは母親の理解力のなさにイライラした。オレの母親は子供の頃から頭が悪かったが、おばあさんが言っているということを理解できないのはさすがに頭が悪すぎる。オレは昔から頭の悪い人と話すのはイライラするが、今本当にイライラしている。

あれから数日後、外を歩いていた。どこからか声が聞こえた。LINEの話をしている。ただ、声の主が誰かはわからない。この人達の説明を聞いている。どうやらその人達は配信を見ているということだ。オレは配信をしているつもりはないが、何らかの方法で配信されてしまっているらしい。本当に憤りを覚える。ただ、この人達はサイト名を言わない。

あれから何日か経った。夜23時くらいだ。あれからたまにどこからか声が聞こえている。そのときは配信されているということだろう。今も聞こえてきた。ただ、やはり何のサイトなのかわからない。オレは携帯電話の電源を切った上で、携帯電話を部屋に置いて外に出た。すぐにコンビニがあって、これくらいの時間に外に出るときはコンビニに行くこともあるのだが、今日はコンビニに入らずまっすぐ歩いて行く。まだ声は聞こえて来ていて、配信とやらが続いているようだ。自分の携帯電話は電源を切った上で部屋に置いて来ている。配信は続いている。20分くらい歩いただろうか。迷子になった。そんなことがあるだろうか。自分の家から出て、歩いて20分くらいの範囲の場所だ。いくら夜で暗いとはいえ、本来なら迷子になんてなるわけないのだが、周りの景色を見ても今どこにいるかわからない。知らない道ではあるが、方角はおそらく東に向かっているのだと思う。方角の感覚をたよりに知っている駅があるのではないかというあたりをなんとなく目指す。何十分か経ったかもしれない。携帯電話を部屋に置いて来たので時刻はわからない。知っている道に出た。目指していた駅の近くの道で間違いない。良かった。帰ることにする。結局配信は自分の携帯電話がなくてもされる。そのことがわかった。

別の日、オレは外にいる。すると、また声が聞こえてきた。また配信を見ている人達の声だろう。すると、その人達のうちの1人が言った。「帽子をかぶると、電波を防げるらしい」。電波が頭に突き刺さっていて、その電波を帽子で防止できるということらしい。本当かどうかわからないが、かぶってみる価値はありそうだ。オレは大きい店に来た。帽子を売っている売り場は1階にあって、カバンやサイフ等と同じ30m×20mくらいのエリアで売られている。オレは帽子を選ぶ。こういう帽子はキャップという呼び名だったと思う。人によっては野球帽と言われた方がどういうタイプかわかりやすいだろう。オレはキャップを買って、うれしくなった。キャップをかぶる日とかぶらない日を選ぶと思うとオシャレな気がするし、何より電波を防げて配信を止められるかもしれない。外に出て、紙袋からキャップを出し、キャップをかぶる。残念なことに配信は止まらない。まあそんなものだろう。配信は続いている。

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