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ラーメン焼き豚増し

徹夜明けで前日の晩御飯も、今日の朝ごはんもろくに食べていなかった。

やっとのことで仕事を終わらせて、ふと時計を見ると13時過ぎ。

もうこんな時間か。

はらも減るわけだ。

残りの仕事は気前のいい先輩にたくして、眠たい目をこすりながら何を食べようか考える。

職場の回りはうどん屋ばかり。

さすが、讃岐。

全身がカロリーを求めている。

うどんなんぞ、私の胃袋がうけつけるものか。

カロリーのみを欲している。

それだけは確かだった。

よし、決めた。鶏パイタンラーメンだ。

職場から車で15分ほどの所にある「はまんど」ここらの田舎では珍しく上手いラーメンを出す店だ。
そこで、祝勝会といこうか。

外はいい具合に晴れていて、徹夜明けにはたまらないシチュエーション。
疲れた体と心が灰色から白っぽくなっていく。

ほどなくして店につく。

もう、14時前になっていたので店もすいている。

さぁ、食べるぞ。

けれども、食券を買う手がとまる。

なぜか素直に鶏パイタンのボタンを押そうとしない。

あんなにもカロリーを求めていたのに。

迷っている。

いや、ちがった。

いや、僕はちがっていなかった。

さらにカロリーを求めていた。

なら大盛か?

ちがう。

「焼き豚増し」だ。

これこそ僕が求めているカロリーだ。

けれども、パイタンにはその「焼き豚増し」がない。

小皿に焼き豚がのってくるやつはあるけど、微妙に違う。違わないけど、根本的に違う。

となると、この店の定番メニュー「はまんどラーメン」の「焼き豚増し」しかない。

はまんどラーメンは鶏ガラと魚介の合わせだしに背脂が乗ったあっさりラーメンだ。

焼き豚増しはそこにこれでもかと言うくらいに焼き豚が乗せられてある。

まぁ、背脂がのってるしカロリーはそれなりに得れるだろう。それよりもこの見た目がたまらない。

表紙でも乗せているが、もう一度ご覧いただきたい。

どうだろうか。

この美しいフォルム。

いったいどこから箸を入れて、何をすすればいのかすらわからない。

もう、焼き豚が蓋みたいになっている。

すこし、箸で焼き豚を沈めるとスープが沸きだしてくる。

そして、この中のスープは透き通っていてとても綺麗だ。

なのに、パンチがあり塩気と甘味のバランスがとてもよい。

麺は中太ちぢれ。
スープをよく絡めてくれ、噛めば噛むほど小麦の味が鼻から抜ける。

お楽しみのチャーシューはまったくこってりしておらず、下手したら500枚くらいは食べれてしまいそうだ。

もし、ポニョが存在したら市販のハムには目もくれずこちらの焼き豚を食べ続けるだろう。

その他にトッピングされている海苔や煮卵もかなりいい仕事をしている。

うまい。

最高だ。

最高のご褒美だ。

久しぶりにラーメンのスープを最後まで飲み干した。

ちゃんと見ていてくれよ店主さん。

スープ全部飲んでるんだぜ。

ちゃんと見といてくれよ。

そして僕はなんとも言えない優越感に浸って、家路につく。

ありがとう。ラーメン。

ありがとう。はまんど。

ラーメン食べたくなってきましたか?

ほら、もう一度。

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