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2022.02カリフォルニア州Bar Exam合格体験記

2022年2月のカリフォルニア州司法試験をパサディナ会場で受験し、無事に合格したため、参考になればと思い投稿します。


1.受験の背景

実際の受験体験記の前に軽く時系列をお話ししますと、2021年1月に米国LL.M.に入学・2022年1月に修了し、一旦日本に帰国してから、再度渡米して2022年2月22,23日のカリフォルニア州司法試験を受けました。

本合格体験記では、私の立てた戦略と、試験対策について記載します。受験体験記の方は別記事で記載しておりますのでそちらをご参照ください。受験直前に第二子が生まれたり、試験2日前に胃酸過多で胃が痛くなったりと大変でした。

なお、別途MPRE受験体験記の方でも記載していますが、米国滞在中にMPREを申し込み損ねたので、MPREは、3月末に東京のピアソン(帝国ホテルタワー)にて受験しました。こちらは無事126点で合格でした。

2.戦略&合格のカギ

カリフォルニア州司法試験合格のカギは、論文と択一のバランスだと思います。

すでにご存じとは思いますが、たしかに配点としては論文と択一の50:50です。これがネイティブであれば、きちんと勉強すれば論文のスケールドスコアで全科目60点から65点が取れて、そうすると択一で67パーセント前後でも十分合格するようなのですが、私はLLMで初めて留学を経験した純ジャパであり、英語がもともと得意ではありませんので、①論文で50点答案(落第答案)を絶対に取らないこと、②択一で75パーセントを超えることを目標にしていました。

択一75パーセントは普通のネイティブの受験生からしたら高めの目標ですが、択一式試験に慣れている我々日本人受験生には決して高いハードルではないと思います。

3.MBE対策

☆使用教材は?

日本人ノート:ロースクールの半期上の方から入手しました。通読後、辞書的に使用できます。

Adaptibar:これが最大のポイントだと思います。Adaptibarなしでは絶対に合格できなかったと思います。スマホでポチポチ択一できます。

☆使用順序は?

10月までにMBE科目の日本人ノートを全て通読しました。10月下旬から試験5日前まではランダム出題モードでAdaptibarを通算4251問解きました。11月からの4ヶ月間は毎日2時間くらいは択一やっていたと思います。学校の期末試験の朝も択一解いてました。今になって思えば、これは解きすぎたかもしれません。。笑

☆正答率は?

解き始めから試験当日までの正答率を記録していましたので公開します。

10月:123問、67%

11月:1124問、71%

12月:1593問、77%

1月:830問、83%

2月:581問、86%

なお、何だか計算が合わない気もしますが、オーバーオールでは正答率77パーセントでした。(最初の頃ずっと60パーセントぐらいだったので、それが結構足を引っ張っています。)

家族全員の朝食を作るのは私の日課なのですが、解き初めの頃は日によって50パーセント台の正答率だったりして、気分が悪くて朝食が作れない日もありました。『今日は択一が悪すぎて朝ごはん作れません』などと不機嫌に妻に伝えたこともあり、本当に妻には迷惑をかけてしまいました・・・。

☆Adaptibarの演習だけでよいのか?

Adaptibarだけでもある程度いけますが、いちおう、アウトライン的なもので周辺知識を補強した方が良いと感じました。
とくに、憲法の条文知識、刑訴や証拠の細かいけど出そうな例外規定、あたりは、Adaptibarで網羅されていないものも本試験に出ていました。私はAdaptibarしかやっていなかったので、カンで解かざるを得ない問題もありました。
逆に、刑法、契約、民訴、不動産、不法行為は、ルールがわからないという問題は出ませんでした。Adaptibarをしっかりやっとけば、それだけで解けると思います。

☆その他の留意事項は?

あと、本番は100問3時間を2セットを解くわけですが、結構体力が必要です。
どこかのタイミングで50問一気に解くとか、やる気があれば100問一気に解くとか、やっておくと良いと思います。私は朝5時に起きて、妻と子供が起きてくる前に50問一気に解く等してトレーニングをしていました。

紙と鉛筆での訓練、私はいらないと思いました。紙で解くのはぶっつけ本番ではありましたが、メモが書けるので、むしろAdaptibarより解きやすかったです。

4.CEE(論文式試験)対策

☆使用教材は?

・Barbriの論文問題集

ebayで購入しました。これだけで大丈夫です。あてにはならないですが、一応の採点基準が書いてあり、模範解答例は素晴らしいです。あんなの時間内に書けるわけがないですが....

☆使用方法は?

11月から試験1週間前まで、とにかく問題と解答例をたくさん読みました!平均して、だいたい1日2時間くらいは勉強していたと思います。

実際にフル答案を書いたのは13通(つまり、各科目1通ずつ)です。

あとは読んで勉強です。

まず、問題を読んで、それから、事案を、図を使いながら手書きでノートにまとめます。事案をまとめながら、(最大でも)5分程度考え、頭で答案構成し、論点の名前とキーワードだけ手書きノートに書き出して、問題文中で使う事実に黄色のラインマーカーを引いて、それから、解答例を読みます。

解答例を読む際には、当てはめの仕方を中心に、気になるところ・使えそうな表現を手書きでノートにまとめました。証拠法で言えば、関連性の『unfair prejudice』で使える事実はコレだなとか、co-defendantが自己負罪拒否特権をinvokeしたら「unavailable」と言えるのか!など、要件が具体的にどのような場合に満たされるのか、そういった観点で勉強しました。

☆復習方法は?

問題演習時に作成した手書きノート。このノートには、冒頭に事案を簡単な図で示しておきましたので、復習としては、それを読んで論点が一瞬で出てくるようにしました。

また、論証はキーワードだけ確実に覚えました。例えば、private nuisanceであれば、「substantial interferance」「average人間基準」などというレベルで覚えました。残念ながら、私には文章で論証を覚えることはできませんでした。

それでも、Proposition8と、Community Propertyの冒頭部分だけは速攻で書けるように自分で短めに編集した論証を暗記しました。細かい話ですが、内容中立規制のパブリックフォーラムの基準とかは細かすぎるので、出たら普通の中間審査基準を書こうと思っていて、正確には覚えませんでした。(択一では正解できるようにキーワードは知っているけど論文では正確に書けないレベルの知識、ということです。)

5.CPT(パフォーマンステスト)対策

☆使用教材は?

・BarbriのMPT問題集

☆使用方法は?

週に1回45分くらいの頻度でやりましたが、対策してもしなくても本番の点数はあんまり変わらなかったと思います。

1通だけ、答案を書きました。その他、問題と解答例を12通ほど読みました。これにより、基本的には記録を先に読むけど、ライブラリがすごい量で記録が薄いようなときは、先に記録を読んだ方が早く解けるなぁ、とか、そういった解き方が体得できました。別にフルの答案は書かなくてもよかったかもしれないです。

☆攻略法は?

答案の書き方は、書写しに始まり、書写しに終わります。

最初にタスクメモを読み、タスクメモから答案の骨子を答案用紙に書き写します。
あとは、ライブラリ(法令、判例)か、記録の、いずれかを先に読み、読むたびに使えそうなものをドンドン答案に書き写していきました。

本番でも、この試験は情報処理能力を聞かれている程度だと割り切り、ガンガン問題文を書き写しました。自分の英語は5分の1も書いていません。ほとんど書き写しです。


6.さいごに

試験前・試験日に子育てや精神的な面で支えてくれた妻と、受験のための渡米に際して育児をサポートしていただいた親族に感謝しています。

日本から受験するにあたっては、時差の管理や勉強時間の確保など難しいことはたくさんありますが、合格できれば一つ誇れるものになると思います。なお、お役に立つかわかりませんが、PRの論証集(平易な英語でミニマムで作ったもの)と、カリフォルニア州司法試験の過去問を検討した解答例というか答案構成というかをアップロードしています。全科目アップロードしているわけではありませんが、参考になれば幸いです。



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