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✈︎ 俳句ポスト「薄暑」


・中級月曜類想句:
登校の列間延びして薄暑かな

・ボツ句:
人工の関節まろし薄暑光

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いつもは投句の結果はつぶやき記事にしていますが、今回は書きたいことがたくさん!


・まずは月曜類想句。

登校の列間延びして薄暑かな
結果を知って、ガーン。恥ずかしながら、自分としては手応えがあったのです。
外から聞こえてきた小学生くらいの子達ののんびりとした声。ベランダから覗くと、雨も降っていないのに傘を広げたり閉じたり、列の後ろの方から大きな声を出したり、ふり返ってケラケラ笑ったり。集団登校と思われる子たちが、なんともゆるっとした雰囲気で歩いていました。傘を持っていた子も数人いて。時はゴールデンウィークが明けて翌週、そっかぁ。新年度にも慣れてきた頃なのね。折りしも雲間から日が差して、お!今この時、もしやこれは薄暑ではあるまいか!?!?

と、急ぎ書き留めた一句でした。
発見と小さな感動を句にできて、自分としてはものすごく満足していたので、えぇぇぇぇ類想かぁと、アーカイブに残していただけるありがたさも忘れて、ガックリ。

でも思いました。
私にとってはとても新鮮な発見ではあったけれど、なんてことのない、よくある日常、ザ・類想だったのだなぁと。たまたまこの時期に一時帰国をしていて、たまたま久しぶりに見聞きした光景、我が子達が小さかった頃のことなども思い出し、そんなこんなで、私の中では「ハッ」とする出来事ではありました。
発想以外の面でも、「して」「かな」の使い方もこれで良かったのかな?という気もしています。


・ボツ句。

人工の関節まろし薄暑光
伝えたいことが伝わらない句だとわかっていながら、とりあえず出してしまいました。夏井先生に申し訳ない思いです。
これは日本の私の母が、人工股関節置換手術に向けての診察と説明を受けに行った際に、私もついていった時のことです。「こういうものを入れるのですよ」と、先生が見せてくださった人工股関節の実物。金属とプラスチックで硬いものなのだけど、滑らかな丸い部分がとても印象的でした。これが母の脚に入って自由にくるくると動いてくれて、母の痛みをとってくれるのね…と思ったら、とても眩しく見えて、その気持ちのまま病院を出た時に思いついた句でした。
全然まとめ切れていないままの句を出してしまいました。薄暑との結び付けも強引。
と、自分の句は反省ばかりなのですが、今回の結果発表を見ていてびっくり!

中級佳作、
軽暖の新しき膝もらふ朝
 (三尺玉子さん)

感動してしまいました。おそらく、人工の膝関節を入れる手術を受けられる日の朝のことではないかと。唸りました。


・さらに、海外句。

中級並選に、
蚤の市歩く薄暑のバルセロナ (野口真砂耀さん)

中級佳作に、
迷ひ来しプラハの路地や薄暑光(acornさん)

バルセロナとプラハを詠まれた海外句。気候も街並みも人々も全然違うけれど、それぞれの街の薄暑を切り取って詠まれているのだなぁと、これもまた感動でした。


・感動のフィナーレ。

私の記事に書かせていただくのも図々しいかと思いつつ、この感動を抑え切れず…
中級金曜特選句!

鳥籠をざぶんと洗ふ薄暑かな (橘鶫さん)

おおお!
しばらくパソコンの画面に見入ったのち、心臓がバクバクしてきました。なんという素晴らしい御句。何より、鶫さんの、鳥への深い愛が惜しみなく薄暑に託されているような気がして、景が浮かび、光が見えて水が見えて、音が聴こえてくるようで、本当に心が震えました。夏井先生のご講評にまた、感動です。

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長々と失礼いたしました。感動や発見の多い薄暑でした。
精進あるのみ。
的外れなことを書いていましたら、ご指摘いただけたら嬉しいです!
ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。

トップの写真は、薄暑のころに訪れた御殿場にて。向こうに富士山が見えて、このオブジェは鷹で、写真では切れていますが鷹の足元には、茄子のオブジェが三つありました。