風通し

数年前まで(もしかすると今もなのかもしれないけど)
青年漫画雑誌は1990年代〜2010年代にかけて、なんだか急に

・職業ウンチクもの
・人間のドロドロした部分を掘り下げたもの
・エロ
・スポーツ

…しか求められてないんじゃないかって頃があって。

それは青年誌の世界で昔からそれらが主軸だったってことももちろんあるし、
当時ちょうどこの4ジャンルで面白い・売れる作品が生み出されて
出版不況であまり冒険できなくなった編集部が
この売れる4ジャンルしか載せない…みたいになってたのかもしれないし。
(知らんけど)

ちょうどそんな時代にデビューしてしまいつつ、
その4種類のどれもが描きたいものじゃなかった僕としては
とてもなんというか、居心地の悪さを感じていた。

だからといってじゃあ何が描きたいのかと問われると
それも明確には思いつかない。
「俺は絶対にこれを描きたいんだ!そのために漫画家になったのだ!」
みたいなジャンルやテーマも持ってないままデビューしてしまって。

あるとしたら面白いキャラクター同士の掛け合い、
楽しいキャラクター達の日常。

日常漫画というのもひとつのジャンルとしてはあったけど、
それは4コマ漫画雑誌で萌え系の絵で成立するものであり
萌え系の絵じゃない僕が、しかも青年誌で描かせてもらえるような
環境は無く。

あとラブコメは描きたかったけど、青年誌にはラブコメという
ジャンルはほぼ無く、男女の事を描くとしたらエロしか無かった。
(僕が学生時代読んで憧れていたツルモクとかのころはあったのにね)

それでもなんとか自分なりに、青年誌で受け入れてもらうために
多少のウンチクを盛り込もうとしたり、
絵をできるだけかわいくしようとしたり、
んで自分でできる「おもしろい掛け合い」だけは錆びないように磨いて
なんとか青年漫画誌で生き残っていく道を模索していたわけだけど。

絶対にメジャー出版社で紙の雑誌で…ってのが
自分の中でも、世間的にもなくなってきて、電子配信のみだとしても
普通にやっていける業界になってくると(2010年代になってやっと)
描けるジャンルも多様化してきて、急に風通しが良くなって
道が拓けたように思う。
今描いている「怨霊奥様」も、そういう多様性な空気の中から
生まれた、上記の4種類のどれにもあてはまらないもののような気がするし。
(もちろんこれまで青年誌でやってきたウンチクものや人情話で
培ったお話作りも役には立っている)

そういえば昔ホラーものとかホラーギャグの読み切りとか
ネーム作ったことあるけど当時の担当氏になんにも引っかからずに即ボツでしたしね。

あの4種類からしか描かせてもらえなかったあの時代、
いったいなんだったんだろうなと今は思う。
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noteにひっそりと書き留めておくだけ的な感じの
つもりだったんですが(^^;
一応ことわっておくと、
これは誰か、どこか、何か…に対して文句を言ったり
否定したりしているのではなく、
個人的に「あれ、なんか急に生きやすくなったな、よかったな」
と思ったというだけの話です。

以前書いた「雑誌のページ数問題」
https://note.com/wakasatakeshi/n/na4514065340a )
と合わせて、「僕にとっては生きやすくなったなぁ」という話です。

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