「なぜ空気は透明なのか」

思考力とは何だろうか。私はこの思考力という得体の知れない力に魅了されています。思考力が優れていれば、未だ存在しない価値あるものを多く創造でき、そんなことができる人になりたいと常々思っている次第です。いつか思考力の正体を解明し、皆さんに共有できればなと考えています。




さて、本題の「なぜ空気は透明なのか」を考えることで、そんな思考力の一端を垣間見ることができます。この問題は上の画像の「観想力」という本から引用しています。本書の著者が大手コンサルティング会社のアクセンチュアで新卒面接向けに作ったものです。解答時間は5分から10分としています。では、実際に自身の思考力を試す意味で考えてみましょう。決して知識を問うものではありません。突発な発想もいりません。あまり難しく考えず、気楽に挑戦してみてください。







さて、では解答です。普通はこんな答えが多いです。「空気の分子は小さくて光とぶつからないから」「光の性質として空気には吸収されないから」云々。これらは透明性というものの物理的な定義例にすぎません。つまり、透明であること自体を説明しており、「なぜ透明か」への答えになっていません。

次に、なぜ透明に「なったのか」を一生懸命考える人も多い。「人が呼吸しているうちに、透明でない部分が減った」「太陽光線が空気の不透明である部分を分解した」云々。これらはただの推測にすぎず、説得力に欠けます。なぜそうなったと説明できないからです。

また、このような「怪」答もあります。「透明かどうかは人間が決めるもので、人間が透明だと思っているから」「空気には実は色がついているけど、人間がこれを透明と定義している」云々。これは自分を中心とする視点で自己中心主義の最たるものであり、「天動説」のようなスタンスでは決して問題は解けません。(ちなみに私はこの解答でした笑)




この問題に答えるための魔法のフレーズが二つあります。それは、そもそも逆にという言葉です。ではこの魔法を使って解答を進めていきましょう。


そもそも空気とは何だろう。それは約80%は窒素、約20%は酸素で構成されている気体であり、これらが透明の原因であることは間違いないでしょう。また、そもそも透明であるとはどういう状態か。これは上記で説明した「空気の分子は小さくて光とぶつからない」という定義の状態のことを指します。さらに、そもそも「空気が透明」とは人にとっての地球大気の話であり、違う惑星では空気(大気)の気体の構成は異なっています。

つまりこれらのことから本問題での「空気が透明」とは、「地球大気において、窒素と酸素が光の波長より小さいため透過される」と考えることができます。地球大気というところがポイントです。地球以外では大気(空気)の構成は異なるため、透明ではない可能性は大いにあるでしょう。

このそもそもという言葉は、現状を把握するために使われます。何について考えればいいかわからず視界がぼやけている時にこの言葉を使えば、混沌としている状況が晴れるでしょう。


では「なぜ」空気は透明なのでしょうか。逆に不透明な場合を考えてみましょう。空気が不透明だと何がおこるでしょうか。人目線で考えると、かなり不便で生きにくいですよね。遠くは見えないし近くの物もわかりづらくなります。もちろんそれは人だけではありません。もし空気が黄色の世界であると、カラスは生きることはできません。カラスは黄色を識別できないからです。つまり人やカラスなどの大部分の生物にとって、空気が透明であることは視界を確保する上で必要不可欠なわけです。

この逆にという言葉は、関係性を発見するために使われます。逆の状態を考えることにより比較対象ができ、今考えている問題との関係性を測ることができます。



では、なぜ空気は透明なのか。これまでを整理すると、「①地球上では空気は透明」「②生物は視界を確保するために空気が透明に見える必要がある」ことが言えます。この二つの事実あkらから導き出される理由は何でしょうか。




「なぜ空気は透明なのか」の解答は、視界を確保するために、生物の目が地球大気に合わせて進化したから」と言えます。それは決して空気が透明に変わった訳ではありません。生物の眼が地球大気に適応したのです。地球大気が生物に合わせて適応することは考えられないでしょう。

そう考えると、もしかすると海洋生物にとっては海は青ではなく、透明なのかも知れませんね。




皆さんは正解できたでしょうか。今回は「なぜ空気は透明なのか」という問題を考えることで、思考力の正体とは何かを考えるきっかけとなると思い、紹介しました。思考力を鍛える上である程度の知識が有効となることは否めません。しかし知識が豊富でなくても「そもそも」「逆に」を利用することで、物事を解決に導くための強力なヒントを得られるでしょう。今度これ以外の魔法のフレーズも紹介したいと思います。



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