預言者 ➖カリール ジブラン

最近ルーミーの詩をテーマにした本を読み始めた。

そこで読み進める前に、せっかくだから今一度、カリール ジブランの「預言者」を引っ張り出して、彼の世界に没入中。
何度、読んでも感覚が研ぎ澄まされ、美しい静かな時が流れる。

ー愛についてー
愛に差し招かれたなら、したがえばいい。
けれど、その道は厳しく険しい。
愛の翼につつまれたなら、身をゆだねればいい。
けれど、羽に隠れた短剣で傷つくこともある。
愛が語りかけてきたら、信じればいい。
けれどその声が、庭を荒らす北風のように、夢をこなごなにすることもある。
愛は、人を王にもするが、十字架にもかける。育てもするが、刈り込みもする。
それが怖くて、愛の平和と喜びだけを望むのなら、殻をはがれた体でなにかを隠し愛の麦打ち場を飛び出して、季節のない世界へ行けばいい。
笑っても心の底からは笑えない世界、泣いてもほんとうの涙は流れない、そんな世界へ行けばいい。
愛は自分自身をあたえるだけ。ほかには何もあたえず、なにも奪わない。
なにも自分のものにせず、誰のものにもならない。
愛は愛だけでこと足りている。
自分で愛のゆくえを決められると思ってはいけない。その価値のある人なら、愛の方がゆくえを定めてくれる。
愛は、愛が成就すること以外、なにも望まない。

愛だけでなく、飲むこと食べること、働くことなど、熱を感じたり重く粘り気のある質感になりがちな様々な現実世界の人の営み。

それもカリール ジブランが詩うと、とても美しく冷んやりとした静けさで、誤魔化しなく、ありのまま立ち現れる。

もしも願いが叶うなら、夢の国でもいい、この美しい世界で生きていたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?