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シャネルの多面性と「性の不平等」を暴く『ココ・シャネル 時代と闘った女』ジャン・ロリターノ監督インタビュー

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7月23日に公開されたドキュメンタリー『#ココ・シャネル時代と闘った女 』は、ファッションで女性を解放したココ・シャネルの神話を覆す作品である。これまでもシャネルに関するフィクションやドキュメンタリーは多数制作されてきたが、本作が他作品と違う点は、シャネル社に協力を求めずに、複数の証言や記録を検証して事実だと思われる点だけを映し出しているところだ。

http://cocochanel.movie.onlyhearts.co.jp/

そして、シャネルの複雑な人間性と社会の「#性の不平等 」を描き出したとこも本作は一線を画していると思う。NYの大学でファッションを勉強し、シャネルのマーケティング部で勤務していたこともある筆者にとっても、こういった描写は非常に斬新だった。実は、ジャン・ロリターノ監督に取材し、penのポッドキャスト、FRaU Webや映画の公式パンフレットでも書いている筆者だが、文字数のために書けなかった部分について、本記事では言及したい。

■「鏡の階段」のメタファーとシャネルの多面性


パリ・カンボン通りにあるシャネル本店の「鏡の階段」をシャネルという女性の人物考察にメタファーとして使っているところだ。これはココ・シャネルの歴史を熟知していないと出来ない。

ジャン・ロリターノ監督は、「シャネル本店は何度改装しても、あの鏡には絶対に触れずに永久保存をしています。あの鏡をメタファーにすることによって、シャネルという人間の多面性を映し出したかったんです。シャネルはいつもあの階段の上に隠れて、コレクションと観客の反応をじっと観察していました。観客からは彼女は見えないけれども、彼女からは彼らが見える。ブロードウェイでシャネルが上演されたときも、ステージの中央には鏡の階段が設置されていたんです」と説明する。

■「性の不平等」にも焦点を当てた


ロリターノ監督は、様々な文化人の証言、当時のフッテージやイラストを使い、シャネルという人間の複雑性とともに、当時の女性の社会的地位を解き明かす。特に、第二次世界大戦直後の連合軍による「パリ解放」の記録は、戦争中にドイツ人に協力した女性達が数千人も、パリの路上で丸刈りにされ、裸で行進させられる様子を映し出す。

とりわけ、娼婦たちは残酷な罰を受けて、なかには殺された女性もいたらしい。生活のためにドイツ人に協力した男性もたくさんいたはずなのに、社会的弱者である貧しい女性達に、いつも怒りの矛先が向けられる……。

監督に思わずそんな感想をもらすと、フランス人の彼はこう解説してくれた。

「ドイツ人と寝た女性が丸刈りにされたフッテージは、女性への不平等さを表しています。ひょっとしたら生活のためにそうした人かもしれない。複数の女性と寝る男性は賛美されますが、女性が同じことをしたら、女性のほうが男性よりも非難される。現代に続く性の不平等性にも焦点を当てたかったのです」

■ FRaUで書いた記事<前編・後編>


ジャン・ロリターノ監督への取材をもとにしたFRaU Webの記事。前編では、ナチスのスパイ容疑や「N°5」の知らぜらる事実を紹介したが、後編では、本作のジャン・ロリターノ監督へのインタビューをもとに、シャネルの生い立ちや晩年について語られてきた逸話の真偽に迫る。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85497

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/85499

■pen ポッドキャスト

penのポッドキャストは、ファッション編集者の #小暮昌弘 さんと語り合いました。まずは前編。中編、後編も近日中に公開。

テキスト版は、上村真徹さんが書いて下さいました。こちらからポッドキャストにも飛べます。

https://www.pen-online.jp/article/008190.html


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【公開情報】
『ココ・シャネル 時代と闘った女』
7月23日(金・祝)Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開 
コピーライト:©Slow Production, ARTE France 
配給:オンリー・ハーツ

■出演:ココ・シャネル、フランソワーズ・サガン他 
■監督:ジャン・ロリターノ
■ナレーション:ランベール・ウィルソン




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