竹中式ベーシックインカム論にツッコミを入れてみたの巻

 どうも!おはようございますからこんばんわ!まで

 昨日、この番組で竹中平蔵氏の私論的な要素の強いベーシックインカム論について特集が挙がっていたので、私も竹中式ベーシックインカム論にツッコミを入れてみたいと思います。

 簡単に竹中式ベーシックインカム論のポイントを箇条書きで述べるとこうなります。「国民全員に毎月7万円支給」「所得が一定以上の人はあとで返す」「マイナンバーと銀行口座をひも付け所得を把握」「基本的にはそう(社会保障不要)で、ちょっとこれね、生活保護が全部不要になるとは言いませんけど、それで制度設計を作ることができます」(引用:https://news.nifty.com/article/domestic/society/12144-804083/ )

 まず1つツッコミたいのは、マイナンバーカードへのあくなくこだわりのために既存の社会保障をいじってベーシックインカムを取り入れたいの?という部分です。総務省のデータによると、令和2年3月1日時点でのマイナンバーカードの交付率は15.5%で交付率トップの宮崎県都城市でも33.6%となっているようです。この数値から見てもわかるように、多くの方にはマイナンバーカードを持つことへのメリットを見いだせないという事です。コロナ対策の消費刺激策の1つとしてマイナポイントを始めましたが、本来マイナンバーカードを媒介として目指そうとしている社会から逸れているのではないかと思わざるを得ないような使い方を見て、マイナンバーカードが昔失敗した住基ネットと同じ末路を歩みたくないから無理やりつなげているとしか思えないです。

 もう一つは、他の社会保障を切り詰めて7万円に集約するという事です。NPO法人posseの今野春貴は論考の中でこう指摘しています。では、「BIの罠」はどこにあるのか。第一の罠は、BIを実現しようとする際に、他の社会保障政策と予算の都合上対立してしまうという点だ。人間には、医療や介護、教育、保育、住宅など、生きるために必要不可欠の、いわば「ベーシックニーズ」が存在する。それらのニーズを保障する政策は、現金給付であるBIに対し、「ベーシックサービス(BS)」と呼ばれる。医療や学校を無償とするBSが実現すれば、生活にかかる経費は非常に少なくなり、過酷労働に無理矢理従事する人や、生活保護を受給する必要がある人は、かなり絞られてくるだろう。また、ベーシックサービスを全員に保障すれば、必要な人が誰でも給付を受けることができるため、やはり選別などの行政コストは削減し得る(ただし、無償となる分給付が多くなる点や、効率的なサービス給付主体に関する課題も指摘されている)。そのため、スティグマを削減する点でBSはBIと同じような効果を持つ。ここで問題なのは、先に述べたように、このBSとBIは「対立する関係にある」ということだ。現実の予算が限られている中でBIを実現しようとすれば、ほぼ必然的にBSを削減しようという話になるからだ。少し詳しく考えていこう。現在、単身世帯の生活保護支給額の水準は月額12万円程度である(後述するように、竹中氏のいう「7万円」は生活保護水準よりもずっと低い)。財政学者の井手英策氏によれば、これを全国民に給付する場合、173 兆円の予符が必要になる。これを純増税で賄うとすれば、消費税1%で2.8 兆円の税収のところ、税率を現在よりも62%上げなければならない。したがって、既存の社会保障を廃止し、これをBIとして給付することにならざるを得ない。井手氏によれば、現在の社会保障給付費は121 兆円であるため、医療も含めて全廃するとしても、さらに23%の消牧税の引き上げが必要になるという。参考:『ベーシックインカムを問い直す』所収「財政とベーシックインカム」このように、現在の税制の下でBIを実現しようとすれば、既存の社会保障政策の縮減は不可避である実行されることになり、それは「個々人の生活ニーズ」を保障するBSの縮減を意味するのである。なお、仮に消費税の大増税によってBIを実現しようとすれば、結局可処分所得が大幅に減少するため、12万円よりもさらにBIの額を増加させなければ生活水準を維持できなくなる。(引用:https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20200925-00200025/ )

 一方、竹中氏は7万円の指摘に対してこう反論しています。「1人7万円で生活できる」と言ったことはまったくありません。平均で7万円レベルなら、財政的に大きな負担にならない、と申し上げたんです。例えば、家族4人で28万円は必要ないかもしれませんので、3、4人目はもっと安くしましょう、その代わり1人のときは少し多めにしましょう。7万円とは、あくまでも平均になります。税金を増やしていいなら、支給を大きくできますが、スイスでは反対があってとん挫しています。実際の支給水準は国民の合意で決めることになると思います。(引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/48312e7cc5f9aa2f37ce08f043639d538bff528d )

  反論の中で出てきた財政的に大きな負担にならないという記述を鑑みるに、竹中式ベーシックインカムにおける財源は現状の社会保障費として支出している額を天井として考えているのではないかと思います。ただ、少子高齢化で現状でも社会保障の担い手が減少傾向で社会保障の支出が増加傾向にある中で、仮に一人7万円の支給とした場合これが支出を削減して5万円とか3万円とかへ減少する可能性もはらんでいる中で財政負担最小限でできるわけないと思います。

 そして、その反動で医療保険や介護保険を廃止して自助・共助の文脈で民間保険会社の医療保険や介護保険へつなげてセーフティネットをビジネスへつなげていきたいという算段が見え隠れしているのではないかと思います。現政権(菅政権)が強く押し出している自助・共助と馴染みやすいですしね。

 とまぁ、こんな感じに突っ込んでみましたがまだまだツッコミどころがありそうな新自由主義的なベーシックインカム論だなという印象を竹中式ベーシックインカム論に思いましたが、皆さんはどう思いますか?

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