創作ダイアリー⑳+➇

強い風と電車遅延とベン・ジョンソン。突風が吹いた。吹き飛ばされそなくらいに強い風だ。傘を持っている。けれど役に立たない。時代はコロナ禍である。傘はある。開くと折れる。帰らなくちゃ。昨日は父がワクチン接種している。帰らなくちゃ。帰りの電車は徐行運転となった。弾丸のような車体を自然の風が抑え込みまったく走らせない。そんな一駅を三十分の徐行運転で帰ることになっている。思い出したことがあった。ベン・ジョンソンを思い出した。いくつかのことがゲシュタルト崩壊しているのかもしれないと思った。それは密封された車内の人いきれが増長させているからのようだ。もうすぐオリンピックが始まる。空気が悪い。今、聖火ランナーは走っているのだろうかと思った。ワクチンを摂取して健康運動しているのかと思った。崩れ外れ、散らかりそうな健康体が徐行し遂に湯気が上がり、社内の天井にあたった。その時、天井のスピーカーから車内放送が流れた。強風がおさまったために、これより通常速度に戻して運行します。強風がおさまったためにこれより通常速度に戻して運行します。強風がおさまったためにこれより通常速度に戻して運行します。ベン・ジョンソンの弾丸が眠らさせれていたはずだ。戻すというのだ。

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