少女と運び屋 2話


 路肩に車を止め、隣を確認するがぐっすり寝ている。
「起こすのもかわいそうだし合いそうなの買うか」
 車を降り、全く客がいない店内に入る。
「いらっしゃい」
 店員は一人のみ。子供服を見るなんて初めてだし聞いた方が早いだろう。
「あー、安い子供服を何セットかほしい」
 それを聞いた店員はすぐに店内を動き回る。
「こんなもんですかね。20ドルです」
 4セットでこんなもんか。
「ちょうどある」
 さっさと店を出るとこんな夜中に自分以外の車が止まっていた。セダンなら振り切れないこともないか。
「まずいな……」
 誘拐犯扱いされるのはごめんなのですぐに車を走らせる。
「ん……ど、したの?」
 少女の顔を確認しながらギアを上げる。
「起こしたか、ちょっと寄り道するぞ。シートベルトしめとけ」
 小さいお客さんは首を縦に振り、あとは追っ手をどこで振り切るか考えるのみ。
「やっぱりついてくるな……」
 急に走り出したので追ってきている車はぴったり張り付いてくる。ターゲットに見つかってるとかどこの素人だよ。
「あー、お嬢ちゃん。ちょっと揺れるけど我慢な」
 名前がないのは不便だな、後で呼び方とか決めよう。
右に曲がると見せかけ、左の曲がる。ギリギリのところでついてくる。思ったよりドラテクはあるようだけど俺ほどはない。
カンカン音を立て下がる遮断器。そのギリギリを通り抜け、列車が通りさすがにもう追っては来れない。
「さて、うちに帰るか」
「お……うち……?」
「しばらくの間だが面倒は見てやる」
 まぁすぐに里親見つけて引き渡そうとは思っているがな。