レビュー|ズートピア

“Try, try to make the world better place. Look inside yourself and recognize. Change starts with you. It starts with me. It starts with all of us.”

 ”Look inside youself and recognize.”が間に入っていなければ、ただの薄っぺらいお題目に成り下がっていただろう。警察官ジュディ・ホップスのこのセリフには、自分の内を見つめてそれを自覚することと、世界をより良くすることが実は繋がっているんだ、というメッセージが込められている。遠くに位置しているように見えるこの二つが、実は繋がっているんだと、この”Look inside yourself and recognize.”が映画全体を背負っているようにすら見える。

 この映画は警察官になりたいと願ったキツネの物語だと、その後の”Change starts with you.”で語っているんだとしたら、自分の内を見つめそれを自覚するというときの「内」というのは、自分が何をしたいかという欲であるだろう。ニックが自分を偽らずに正直にいることと、社会をより良くしていくこと、この2つが繋がっていることは、映画を観た人なら誰もが納得するはず。

 ひるがえって、ジュディはどうだろうか。“Change stars with me.” と言っていることから、ジュディにとっても、自分の内側を見ることと、社会をよくすることは連なっている。俺が思い当たるのは、ジュディが肉食動物への差別意識があったことを自覚したシーン。ジュディがニックに謝りに行けたのは、自分の内にある偏見に気づいたからだ。そうだとすれば、「内」というのは、自分のうちにある、差別意識、誤った思い込みといった更新する必要のある何かとも言える。それは間違いなくネガティブなものとしてこの映画では描かれている。

 ”Look inside yourself and recognize.”がニックの物語にもジュディの物語にも同時に響いている、しかもそれが真反対と言っていいほど違ったものである、というのも何とも素晴らしい。

p.s.
それにしても、何の違和感もなく” You know you love me.”なんて自然に言えちゃうニックはずるいなあ、、


最後まで読んでくれてありがとう〜〜!