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あれもこれも全部したいの!

スラッシュワーカーと言う言葉を持たない人と話していると、「で、何がしたいん?」と言われることがある。
言わずともそう思っていることが透けて見える。

「やりたいことってひとつに絞らんといけんって思われてるんだ」と私は思う。


高校と大学のときも同じようなことがあった。

高校3年生の夏。模試を受けるのに志望校と学部を書かなければいけなかった。私は第3志望まで、素直に行きたい学部を書いた。教育学部と社会学部と人間文化学部だった。志望校はそれぞれ違った。
教育学部ならこの大学、社会学部ならこの大学、ときちんと志望する理由があった。

模試の結果を受けて行われた二者面談で先生に「で、結局どの学部に行きたいの?」と聞かれた。全部行きたい学部だったが、そう答えるのは違うとわかった。
学部は統一して志望校を変えるものだったらしい。
みんなが学部をひとつに絞っていることに驚いた。

その後、先生に総合学部というものがあると教えてもらった。隣の県の大学の総合学部はAO入試しかしておらず、一般入試よりかなり早い時期に行われるということだった。早くに受かれば儲けものだし、落ちても一般入試に間に合うだろうという安直な考えで受けた。受かった。

そして入学後、経済学部の学生といっしょに授業を受ける機会があった。そのときの会話。
経済男「総合学部って中途半端やね?」
私「?」
経済男「ひとつに絞れんってことやろ?」

なんでかわからなかったがとてもモヤモヤした。モヤモヤするのに原因がわからないので晴らすこともできない。でもずっと頭の真ん中近くに引っかかって、とにかく邪魔だ。

そこで仲よくしていた4年生の先輩に電話した。

「そいつ何学部?経済?高校生が経済の何をわかって決めたんやろ。高校生の時点で選択肢を狭めることの何が偉いん?」
「たかが高校生の決断を妄信できる方がこわいわ。」
「やけん俺は総合学部はすごくいいと思う。興味あること全部勉強してみて、それから選べる方が絶対いいよ。俺も行けるなら行きたかった。」

話してみたらモヤモヤの正体がわかるかなと思ってのことだったが、先輩が全部言語化してくれて、その上私以上に怒ってくれた。私の留飲は下がった。


最近、ライティングやデザイン、他にもいろいろ興味のあることはなんでも勉強してみている。でも周りからは「で、何になりたいん?」と思われている。大人になると、インプットはすべて仕事のためのもの、勉強=仕事と認識されるようだ。

私も仕事につながればいいなとは思う。でも仕事を「これ」とひとつに絞るつもりはまったくない。あれもしたいしこれもしたい。今勉強しているもの全部を自分のものにして、全部で勝負したい。スラッシュワーカーになりたい。

たまに「で、何になりたいん?」に怯みそうになることがある。そのときは先輩の言葉を思い出して自分を奮い立たせている。

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