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公務員退職・転職の流れや手続き【体験談】

公務員を辞めようか迷ってるんだけど、公務員を退職するって難しそう。辞めた人はどうやって辞めたんだろう?

公務員でも若手職員が、定年退職以外で辞める例が増えています。

皆さんがお勤めの職場でも、珍しいながらも、毎年何人かは若手で退職する人がいると思います。

私も30代前半で公務員を退職しました。

その後は青年海外協力隊、一時フリーランスを経て、現在は会社員をしています。

ここでは、公務員(主に行政職職員)の、

◎退職を決めてから実際に退職するまでの流れ
◎転職活動の進め方

について、私の実体験をもとに徹底解説していきます。

最初に断っておくと、私は公務員なんてオワコン!すぐ辞めた方がいい!とはまったく思っていません。

むしろ、国民生活に欠かせない重要な仕事ですし、慎重に慎重を重ねて決めるべきことだと考えています。

辞めようか悩む過程で、退職する具体的な流れを事前に知っておきたい!というニーズがあると思い、この記事を書いています。

1. 公務員退職・転職をスムーズに進めるコツと注意点

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公務員を円滑かつ円満に退職する最大のコツは、3月31日に退職することです。

私も退職日は3月31日でした。

ここでは、退職のタイミングやスムーズに事を進めるポイントなどを解説していきます。

1-1. 退職時期はできるだけ3月31日に | 迷惑をかけない

何年か勤めている人なら理由は分かると思いますが、3月31日に退職すると人員補充がきちんと行われます。

辞めても課の人に迷惑がかからないのが最大のポイントです。

昨今は職員削減を進めている自治体も多く、年度途中で退職する場合、人員補充は臨時職員を充てるか、補充なしが多いと思います。

年度途中で退職するのは、それなら仕方ないねと思われるような止むを得ない理由以外はおすすめしません。

1-2. 年度途中の退職は所属長にまずは相談

もし年度途中で退職しなければいけない事情が出てきた場合は、課長など所属長にまずは相談しましょう。

まずは身近な上司や係長に、という考えもありですが、いたずらに関係者を増やすのはあまりおすすめしません。

どう課長に伝えればいいか?という相談なら身近な上司もありです。

極端な話、職員の退職に関する人事権は所属長にはないため、いきなり人事課でもOKです。

ただ、後々の動きを考えると、所属長を介しておく方がメリットが大きいと思います。

相談する際は、退職願など書類は後回しでOK。

書類は後でいくらでも(日付をさかのぼって)出せますしね。

まずは口頭で、正直に退職理由と退職したい時期を伝え、この後の必要な手続き(誰にどんな話をしてどんな書類を出せばいいか等)について聞きましょう。

1-3. 退職希望を伝えるのは、転職が決まってからが鉄則

私はこれで一度失敗しています。

私の職場では、毎年10月頃に来年度の異動希望の調査が秋に行われていました。

転職を決意していた私は転職先が決まっていないその時点で、退職の旨を記載したんですよね。

結局、ある大企業の最終面接まで進んだあたりで、「これは本当に自分がしたいことなのか?」と疑問が湧き、退職願を撤回した経験があります。

2. 【体験談】公務員を退職する流れや手続き | 時系列で解説

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公務員を退職すると決めたら、まずは所属長に伝えることから全てが始まります。

民法上は2週間前に申し入れをすれば退職できることになっていますが(民法627条1項)、そんなことしたら100%怒られます(笑)

3月31日付けで退職したいなら、次年度の人事異動にも配慮して、遅くとも2月中に申し出るようにしましょう。

ここでは、具体的に私が行った退職までの流れを時系列で解説していきます。

2-1. 異動願など自己申告書の提出

上記で書いたように、私が勤めていた職場の場合では、毎年10月に来年度の異動希望の調査が行われていました。

私はこの時点で、翌4月から青年海外協力隊として活動することが決まっていたので、退職する旨を書いて提出しました。

この調書が私の退職に向けての具体的なスタートです。

大原則は「転職先が決まってから退職を伝える」なので、順番を間違えないように注意してくださいね。

2-2. 所属長との面談 | そこまで深い話にならない

異動希望の調書を提出した後は、所属長との面談があります。

課長からは退職することに驚きはありましたが、引き止めなどはありませんでした。

所属長との関係性によると思いますが、私の場合、そこまで課長と何でも話せるような関係ではなかったので、あっさりした感じでした笑

先ほども書きましたが、職員の退職に関する人事権は所属長にはないため、「私は承知したから、後は人事課とうまく話をつけてくれ」といった感じですね。

2-3. 人事課との面談 | 複数回ある場合も 

所属長との面談が終わったら、次は人事課との面談になります。

私の場合、最初は係長で、2回目は副課長と係長の2人との面談になりました。

この面談は、引き止めというよりも「詳しく何をどう考えて決断したのか詳しく話を聞きたい」という感じです。

私の場合、人事課の係長と副課長もそれなりに知っている人だったので、わりと和やかに面談は進みました。

転職が決まっているなら、引き止めようがないですし、人柄にもよりますが、強硬な引き止めは少ないと思います。

ちなみに、20代の頃の転職失敗談を上記で書きましたが、当時は転職先が決まっていなかったこともあり、結構引き止められました。

これも引き止めというより、一同僚として先行きを心配しての反対という感じでした。

2-4. 退職予定者説明会 | 退職金や年金、組合その他手続きの話

2月頃には定年退職者を中心とした退職予定者説明会というのが行われます。

ここでは退職までに提出する書類など、手続きの話がメインです。

この時点で退職が決まっているなら、これに参加することが必要になります。

でもこんなところに「私退職しますけど何か?」みたいな顔して出かけるの嫌ですよね。退職がバレますし。

忙しくて出れない人は欠席できたので、私は欠席し資料だけ後で送ってもらいました。

2-5. 異動内示が出たら、課内に周知

退職する予定になっていることは、異動内示までは課内の同僚に伝えなくても全然OKです。

課長経由で直属の係長には漏れ伝わっていましたが、私も3月24日頃に出る異動内示まで、誰にも言っていませんでした。

3月頃になると、職員間では冗談で「4月からは〇〇さんに引き継ぐよ」「俺は3月で異動だなぁ」など言い合うことも多いと思います。

そんな時も、「そうですね~」など知らん顔をして答えていればいいのです。

内心は「ごめんね、私は来年いないんです」と後ろめたい気持ちになりますが。

2-6. 必要な事務引継ぎをする | 3月異動の人と全く同じ

3月31日付けの異動内示が出たら、他の異動で部署を去る人と同じように、事務引継ぎを行います。

引継ぎは、引き継ぐ相手や業務の状況にもよりますが、通常の2~3倍ぐらい丁寧にしてあげましょう。

あなたが辞めてしまうと、相手は分からないことが出ても、内線で電話して気軽に聞けないので困ってしまいます。

私も引き継ぐ相手が入庁2年目の新卒だったため、困ったときにいつでも参照できるように、詳しく引継ぎを書きました。

2-7. 送別会・挨拶回り | お世話になった方にお礼を

退職日にはお世話になった人への挨拶回りを必ずしましょう。

とはいえ、お世話になった人全員は回り切れないので、私は中でも本当にお礼が言いたい人に絞って回りました。

退職日当日は「やった!今日で退職だー!!」と爽快な気持ちだったのを今でも鮮明に覚えています。

一方で送別会は花束をもらったり気恥ずかしい感じと、同僚への多少の後ろめたさで、楽しいながらどうも居心地がよくない感じでした。

3. 公務員退職に関するよくある質問

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公務員を辞めるとなったら、民間の転職と違って身近に聞ける人もいないし、不安なことも沢山あると思います。

ここでは、私の実体験から、当時悩んでいたことや気になっていたことに答える形で解説していきますね。

3-1. 退職願?退職届?具体的な手続きを教えてほしい

正直、何の心配も要りません!気にしてなくてOKです。

一般的な解説をすれば、

◎退職:「退職したい」と最初に申し出るときに使う書類
◎退職:双方話し合いを経て退職が確定した後に、「退職します」と正式に出す書類

年金も保険、組合もそうですが、各種手続きはすべて人事課から具体的に指示があります。

「指示されたら出す」というスタンスでOKなので、余計な先の心配は不要です。

3-2. 退職する年齢は重要か?【転職エージェントの話】

30歳を目前にした頃、一度転職を試みて断念した話を上記で書きましたが、公務員から民間を目指すなら、年齢は重要です。

特別なスキルがない限り、退職するなら20代に決断することをおすすめします。

私も当時、特別なスキルはありませんでしたが、大企業の経営企画職の最終面接まで進みました(その後辞退)。

転職エージェントの担当者曰く、

【公務員の転職事情】
◎企画や予算など”上流工程”の仕事が多く、企画系やコンサル系と相性がいい
◎民間と求められるスキルが違うので、30代以降は厳しくなりがち(20代なら民間の人材として再教育しやすい)

↑これは民間側の率直な気持ちだと思うので、頭の片隅に入れておきましょう。

3-3. 退職金はいくらもらえる?自己都合の場合は?

自己都合であっても、退職金は出ますが、額は非常に少ないです。

ざっくり計算すると、以下のような感じになります。

◎勤続5年未満: 基本給と同額程度~基本給×2倍
◎勤続10年未満: 基本給×3~4倍

当時の明細は残っていないのですが、私も勤続8年で、退職金は100万までいかないぐらいだった気がします。

給与関係の例規に載っているはずなので、気になる方は各職場の例規を参照してください。

3-4. 失業保険はもらえるのか?

残念ながら公務員は雇用保険に入っていないため、失業保険はもらえません。

そのため、辞めた瞬間、収入ゼロになりますので、辞める前に転職先は見つけておくことをおすすめします。

辞めたら少し海外旅行をしたい!のんびりしたい!というのは全然ありですが、収入がなくなるので、貯金はしておきましょう。

3-5. 使いきれない有給はどうなる?

消化しきれなかった有給・代休は、退職するとすべて捨てることになります。

ということで、年休は計画的に消化していきましょう。

私もわりと年休は使う方でしたが、退職で10日以上無駄にしました。。

3月31日退職を目指すなら、年度末はただでさえ議会や予算などで忙しいので、現実的に年休取得は難しいですよね。

前年中に夏季休暇等に絡めたり、2週に1日は使うようにするなど、コツコツ消化することをおすすめします。

3-6. 強引な引き留めなど退職できない可能性はある?

民間企業(特にブラック系)ではよくある話のようですが、公務員ではそこまで強引な引き留めはないと思います。

年度途中だと文句は言われるかもですが、私のように3月31日退職なら問題ないと思います。

ネット上のいろんなブログを見ると、「引き留められた」という声も多いですが、引き留めというより、私の場合もそうでしたが心配してくれてるだけだと思います。

まずは自分の辞めるという目的や意思を素直に話せば、事はスムーズに進むはずですよ。

4. 退職までに必ずしておきたい転職活動の準備

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退職と転職活動は片方だけで存在することはありえず、セットで考える必要があります。

公務員を退職したいなら、在職中に転職活動を進め、職場に退職を伝える前に転職先を決めることが必要です。

ここでは、公務員として働きながら進めておきたい転職活動の準備について、実体験をもとに解説します。

4-1. 転職理由と退職後にやりたいことを考え抜く

転職の面接で100%聞かれるのが志望動機であり、前職を辞める理由です。

「なぜ自分は転職したいのか」は1年ぐらい悩み、真剣に考えてください。

ここがいい加減だと、

◎面接官にすぐに見抜かれ、安易な人間だと評価が下がる
◎後で「やっぱり辞めなきゃよかった」と後悔することになる
◎転職先でも結局、公務員時代と同じ不満を持つことになる

閉鎖された公務員の環境では、隣の芝は青く見えますし、私も自由でフレキシブルな民間企業に憧れていました。

でも結局公務員にあるような職場の人間関係とか、悩みなんてどの職場にもあります。

本当に変えるべきが職場なのか、自分の意識なのか、よく考えてみた方がいいですよ。

4-2. ハローワーク、転職サイトで求人をチェック【現実を知る】

これは本当におすすめで、自分が応募したいと思えるような求人はあるのか?実際の求人を眺めてみてください。

私は大学で地方行政を学び、まちづくりに興味があって行政に入ったので、民間の求人には面白いと思えるものが当時あまりありませんでした。

これが20代の時の一度転職を断念した最大の理由で、本当にこれがやりたいのか?疑問が湧いてきたんですよね。

公務員でやり残したことは本当にないのか?自分に問う意味でも、実際の求人を見ることは大切ですよ。

4-3. 転職エージェントに登録する | 完全無料なので使わないと損

求人サイトを眺めるだけでもいいですが、本当に転職を目指すなら、転職エージェントは必須です。

理由は2つで、

◎完全無料でほぼメリットしかないので、使わない理由がない
◎本気で転職先を探すプロセスで、公務員を辞める覚悟が問われる

後者は先ほどの求人サイトと同じ理屈で、公務員を退職する本気度を試す絶好の機会になります。

私も実際に最終面接に進んでから、「本当にこれでいいのか?」という疑問に直面しました。

外から求人を眺めている以上に、リアルに自分の決断が問われる感じがあります。

5. 私も使った!転職エージェントとは

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転職エージェントとは、正式には「有料職業紹介事業所」と呼ばれている民間のサービスです。

【転職エージェントの役割】
◎転職希望者のキャリア相談に乗り、希望にあった求人情報を提供してくれる
◎応募書類(履歴書や職務経歴書)も添削してくれる
◎面接対策もしてくれる(前の応募者はこんな質問をされた等、内部情報を教えてくれる)

私が20代で転職を試みた時も、転職エージェントを使いました。

以下、転職エージェントについて詳しく解説していきますね。

5-1. 転職サイトと転職エージェントの違い

リクナビNEXTなどの転職サイトと転職エージェントを、勉強で例えると以下のようになります。

転職サイト=参考書を使って独学
転職エージェント=マンツーマンの家庭教師

転職サイトをでは、転職活動をほぼ自分でする必要がありますが、転職エージェントを利用すると、大部分を代理人(エージェント)が代行してくれます。

【求人】
転職エージェント:エージェントと求人会社の取引・信用の中で得た求人情報なので、質が高く優良案件が多い
転職サイト:求人数は多いが、掲載に際してチェック機能が弱いので、ブラックなどいい加減な求人が混じっていることも
【情報収集】
転職エージェント:担当コンサルタントが求人を集めて紹介してくれる
転職サイト:自力でやる必要がある
【転職成約率】
転職エージェント:エージェントの推薦状が付くため、成約率は高くなりやすい
転職サイト:エージェント経由より低い、最悪無視されることも
【サポート】
転職エージェント:担当コンサルタントがキャリアカウンセリングや書類添削、面接対策、各種日程調整、給与交渉などすべて代行してくれる
転職サイト:転職者自身が行う

これだけのサービスを、登録から転職内定まで完全に無料で使えるので使わないと本当に損です。

5-2. デメリット | 条件次第では案件が少ない

転職エージェントのデメリットは、紹介できる求人が少ない場合があることです。

理由は単純で、転職エージェントは完全成果報酬なので、内定が取れそうにない求職者を紹介しても、手間が増えるだけで1円も得しません。

そのため、年齢や経歴などを見て、一定の基準を満たした人しか、案件は紹介されないのです。

公務員の場合、前職が公務員というだけでかなりマイナスになります。

地方だとさらに案件が少なくなります。

私も転職エージェントに登録したけど、何社かは「紹介できる案件がありません」と断られました。。

5-3. メリット | 不慣れな転職活動を徹底サポート

転職エージェントは上記デメリットを踏まえても、メリットは計り知れないので登録だけは必ずしましょう。

登録して「案件がない」と言われたら、「了解です。また機会があればよろしくお願いします」でいいし、お金も取られません。

【転職エージェントを使うメリット】
◎市場に出回らない非公開求人に応募できる
◎応募企業にあなたを積極的に売り込んでくれる
◎企業の社風や人間関係などの内部情報を教えてくれる
◎給与交渉を代行してくれる

以下でポイントを解説していきます。

5-3-1. 非公開求人に応募できる

転職エージェントによっては9割ぐらいが非公開求人で、ここにアクセスできます。

非公開求人は、求人企業がその職・ポジションで求人を出していることが競合にバレれると、競争上良くない場合などに使われるもの。

企業によっては、求人の内容から「あの会社は●●を強化しようとしている」と外から分かってしまうのを嫌がります。

会社にとって重要度の高い、あまり外に情報を出したくない求人が多くなるため、求人の質も高くなる傾向があります。

5-3-2. 求人企業に売り込んでくれる

応募の際は、転職エージェントから推薦状を付けてくれるため、応募の水準を満たしているという証明になります。

企業も求職者の選別をエージェント側に求めているので、他の求人サイトや企業のホームページ等から直の応募よりも有利になります。

特に書類選考で落ちる割合が少ないと感じましたね。

5-3-3. 社風や人間関係などの内部情報を入手できる

転職エージェントからは、求人の紹介とともに、社内の内部情報も教えてもらえます。

内部情報を転職エージェントが持っている理由は、

◎求人企業の人事と日頃からコミュニケーションを密に取っているため
◎過去に採用された求職者からも内部情報をもらえるため

私も転職した際は、入社して数か月後に「入社して実際にどうか?」とエージェントから連絡がありました。

5-3-4. 給与交渉をしてくれる

応募企業との連絡等はすべて転職エージェントを経由するため、内定後は給与交渉などもしてくれます。

給与が上がれば、転職エージェントの報酬も上がる仕組みなので、エージェント側も真剣です笑

面接では直接聞けなかった残業のことや有給のことなども、エージェント経由でいつでも聞いてくれます。

「もう少し給与を上げてほしい」など言いにくい事を言って交渉してくれて、すごく助かりましたね。

6. まずは行動 | 本当に退職したいのか自分の本気度が見える

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公務員を退職したいと思ったら、まずは自分がどこまで本気なのかを見極めることが大切になります。

民間企業と違って、公務員を辞めることは非常に大きなキャリアチェンジですし、人によってはリスクも大きいです。

「鉄は熱いうちに打て」という言葉は公務員を退職する決断には向きません。

熱くなって一度冷まして、また熱くなって冷まして、を何度も繰り返して、決意を固めていくものだと思います。

退職せずに残る決断も立派な決断ですし、辞めるもの同様です。

皆さんが後悔しない決断をし、ぜひ前向きなキャリアを積んでいくことを心から願っています!

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