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【体験談】新卒2年目で公務員を辞めようとした、当時の私を振り返る

新卒で公務員になったばかりだけど、もう辞めたい。自分には公務員なんて合わない気がするんだよね。職場にもなじめなそうだし、毎日辞めることばかり考えてる...

今回は新卒または新卒2年目ぐらいの公務員に向けて、私の体験談を書こうと思います。

私は30代前半で公務員を退職しましたが、実は新卒2年目のときにも、激しく辞めたいと思っていた時期があったんです。

その時、(恥ずかしい話ですが)大学時代の恩師の先生に泣きながら相談し、もう少し続けるように言われ、結局その後も公務員を続けました。

今振り返っても、あのとき辞めなくて良かった、続けてよかったと思っているので、その辺の話を中心に書こうと思います。

1. 「新卒でも迷わず辞めればいい」の風潮に違和感

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ネットで「新卒 辞めたい」などとググると、いろんなサイトやブログが出てきます。

そのほとんどが「辞めた方が良い」「辞めたら人生が好転した」みたいな、無責任に退職をあおるような内容が多くて、かなり違和感がありますね。

私自身も今では公務員を退職していますし、すべての公務員の人にその人らしいキャリアを築いていってほしいと願っています。

だからと言って、無責任に「あなたもこっちの世界に来なよ!楽しいよ!」と軽々しく誘い込む気は私にはありません。

公務員になるためには、難しい公務員試験を突破して、何度も面接を受けて、ようやく公務員になれるのです。

なので、公務員になりたいと思った瞬間から、試験勉強ではかなりの犠牲を払って黙々と勉強し、念願かなってやっと採用された人がほとんどだと思います。

私もその1人です。

大学では地方行政、まちづくりを専攻していたので、地元に帰ってまちづくりの現場に立つのが夢でした。

ですが、いろんな経緯があり、いろんな経験を積むうちに価値観や夢も変わり、私は公務員を辞めたわけですが、その決断は、そんなに軽々しいものでは決してありませんでした。

熟慮に熟慮を重ねて、やっと退職するという判断をしたので、その決断に何の後悔もしていません。

新卒でもう辞めたいと思っているあなたに、まずなんで公務員を目指そうと思ったのか、苦しい公務員試験の勉強、採用が決まったときの喜びをまず思い出してみてください。

あなたにとって、公務員というものは、そんなにパッと辞められるような軽い存在ではなかったはずです。

少し冷静な頭になって、私のここから先の記事を読んでもらえればと思います。

2. 私が新卒2年目で辞めたかった話

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私は公務員になりたくて、必死に勉強して公務員になりました。

当時、公務員試験の倍率は20倍~100倍で、狭き門だったので、1年大学卒業後、フリーターをしながら勉強して、やっと市役所に入れました。

そんな私でも、新卒2年目で仕事を辞めたくなったのです。

ここから、その時の話を詳しく書いていこうと思います。

2-1. パワハラ気味の上司に潰されかけた

私が辞めたいと思うようになった一番の原因は直属の上司(係長)との関係でした。

1年目はゆるい係長だったんですが、2年目の時に異動で来た係長が、かなりのくせ者だったのです。

起案した文書は、ポイっと投げ返されるし、起案しても何度も赤びっしりで直されるし、「は?お前何考えてんだ?」みたいな感じで態度も高圧的でした。

資料を作っても何度も作り直しさせられ、冷たい態度であしらわれ、私は精神的にどんどん消耗していきました。

2-2. 自信喪失

作り直しをさせられるのも、赤でびっしり直されるのも、理不尽にやられている訳ではありませんでした。

「もうちょっと言い方あるんじゃないの?」とか、「もっと違った指導の仕方あるでしょ?」とグチも言いたくなる状況ではありましたが、

すべて「たしかにそうだな、その方が分かりやすいよね」と思えるようなものばかりだったのです。

中身自体はまっとうで、正論を言われているので、

「自分って全然ダメダメだな・・・」「全然要求されてるレベルに追いつかない・・・」

と、どんどん自分に自信がなくなっていきました。

落ち込む毎日で、毎日仕事に行くのが嫌になってきたのです。

2-3. 1ヶ月ほど休職

ついに、気持ちの限界に達し、私はうつっぽくなってしまい、休職することになりました。

「こんなふうになっちゃって、全然社会になじめないし、俺って社会人としてダメなのかな・・・」

ふさぎこむ毎日でした。

休職期間が終わり、復帰しても、ほとんど実質的な業務はさせてもらえず、課の雑用をずっとさせられていました。

これは、私が担当していた業務が少し2年目の新人にしては難しすぎたということで、事実上担当から外されたということです。

別に意地悪されたわけではなく、むしろ私に無理をさせないでおこうという配慮でした。

3. 大学の恩師から言われた一言

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「もう自分には公務員は向いていない、自分みたいな人間がいるような場所じゃなかったんだ。」

そう思うようになりました。

もっと言うと、公務員を辞めたいと思ったのです。

「自分なんてもう公務員でいたってダメだ、うつになるし、仕事でも休んで迷惑かけるし、もう辞めたい。もっと自分が自分らしくいれる場所があるはずだ。」

そう思っていました。

そんな時、大学時代、まちづくりの勉強をしていて、すごく楽しかった感覚を思い出したのです。

住みやすいまちをつくって、住民が幸せに暮らせるようにするんだ!

と夢が膨らむような勉強で、とても楽しかったのです。

大学4年のときの公務員試験にすべて落ち、フリーターになることが決定したとき、大学のゼミの先生が「大学院でもう少し一緒に勉強しないか?」と誘ってくれたし、もう1回先生に相談してみようと思いました。

先生に連絡を取り、昼食を一緒にとりつつ、話を聞いてくれることになりました。

私はすべてを話しました。

仕事が全然うまくいかないし、自分は公務員に向いてない。自分のレベルじゃ公務員としてやっていけない。もっと自分に合った環境で仕事がしたい。

途中、感情的になってしまい、話しているうちに涙があふれてきました。

話をひと通り聞いた先生の答えは「もう少し続けなさい。」でした。

先生は続けてこんな話をしてくれました。

「(先生は関西弁です)辞めてどうするんや。あのな、優秀な人間っていうのは、どこにいたって輝けるもんや。今の場所が居心地悪いんやったら、あんたが変えたらええねや。「自分がいつか変えるんや」っていう気持ちでがんばればええ。」

4. 私の場合は当時辞めなくて良かった

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私は先生の話を聞いて、不思議とスッと冷静になれました。

「そうだ、自分がいつか上に立って、変えてやる!」
「めっちゃ勉強して優秀になって、文句言わせないぐらいになってやる!」

そう気持ちが落ち着いたのです。

この頃はもう、上司がどうのこうのというより、自分の社会人としての資質、能力について自信を失っていたので、先生の言葉に勇気付けられました。

「つらい」っていう素直な気持ちを、誰かに話したことで、気持ちが楽になったのもあると思います。

それからの私は、仕事も一生懸命がんばりつつ、積極的に本を読んだり、中小企業診断士や簿記1級の勉強をしたりして、ビジネスのことを勉強しました。

年間100冊ぐらい読み、日々の仕事で実践する中で仕事のクオリティも上がっていきました。

辞めずに公務員をしていた中で、のちの青年海外協力隊への夢を思い出させてくれるきっかけになった福祉の仕事も経験しましたし、農業の仕事で、机上ではなく現場で考えることの大切さ、楽しさも経験しました。

これらは、あのとき、新卒2年目で辞めていたら得られなかった経験でした。

私に限って言えば、市役所で過ごしたことが、今のキャリアに確実につながっているし、役に立っていると自信を持って言えます。

市役所時代の知識や経験が直接、今のキャリアに役立っているわけではないけど、そこで学んだ価値観やものの考え方は、今の自分にとって財産ですし、役所時代のいろんな人との出会いから学んだことも、私の人間としての幅や深みを与えてくれています。

5. 辞めたい理由を深堀りしよう

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誤解してほしくないのは、これはあくまで私一個人の体験談であって、あなたに直接当てはまるかどうかは分からないということです。

ただ一つ言えることは、そんなに簡単に辞めるとか決めない方がいいよ、ということです。

いろんな事情があると思うので、それ以上は言えませんが、悩みに悩んで、一生懸命考えて下した決断って、わりとその後の人生で財産になったりします。

最近はキャリアに対してドライな感じが一般化しつつあるので、私のような考え方は古臭いと思いますが、沢山悩んだ方がいいです。

トヨタ方式のように、辞めたい理由を「なぜ?」を5回ぐらい自問して深堀りしてみてくだい。

私の場合は、

辞めたい ⇒ なぜ? 
⇒ 上司がパワハラ気味で厳しすぎるから ⇒ なぜ?
⇒ 自分の作る資料や文書のクオリティが低いから ⇒ なぜ?
⇒ 自分のスキルが低いから ⇒ なぜ?
⇒ 勉強していないから

といった感じで深堀りして、じゃあ勉強して、優秀になろう!と解決の道を見つけました。

もちろん、これは後知恵ですが、こうやって「なぜ?なぜ?」と原因を追求していくと、意外と自分に足りないことが見えてくることが多いです。

それから、私のように、友達でも家族でも誰でもいいので、信頼できる誰かに相談するのもアリですよ。

人に話す過程で、頭が整理されるので。

相談ではなく、単にグチるだけだと、「大変だね」とか「まだ若いんだし辞めてもいいと思うよ」とか、適当な返事しか来ないので、話すならちゃんと相談しましょう。

相手も真剣にあなたの気持ちを受け止めて、返してくれるはずです。

そして、それでも辞めたいという気持ちが揺るがないのであれば、それが答えなんだと思います。

この記事はあくまで私の場合の話なので、さっさと辞めて良かったという場合も多いと思います(←ネットの世界はだいぶ意見が偏ってます)。

公務員という社会的地位や安定度は抜群ですが、だからと言って、辞めてはいけないということはなく、私も公務員を辞める決断をした人をたくさん知っています。

辞めても人生わりと、どうにかなります。

この記事がなにか、あなたの公務員人生の参考になれば幸いです。


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