DM千夜一枚①~地獄スクラッパー~
◆能書き◆
どうも、むかしむかし「デュエルマスターズ」をやっていた者です。
最近の「デュエマ」はちっともわかんない状態なんですが
デュエマプレイスで「地獄スクラッパー」が収録されたとのことで
まー、随分お世話になったカードなので、少しピンときてしまいまして
こういう記事を書きたく・・・千夜一枚なんてタイトルをつけましたが
自分が思い入れのあるカード1枚にスポットライトを当てて紹介する・・・
そんな感じの内容です。気が向いたらシリーズ化するかもしれません。
自分としても忘れていることが多いので、それを思い出していきます笑
◆温故知旧◆
まず皆様、地獄スクラッパーというカードをご存じでしょうか?
地獄スクラッパー 火文明 7マナ 呪文
S・トリガー
相手のクリーチャーを、パワーの合計が5000以下になるように好きな数選び、破壊する。
程度の差はあれ、だいたいの時代において再録されていたり
・・・有名カードは再録回数も多いです。そしてイラストも多数。
どの色のスクラッパーで揃えるか?なんて拘りがあったりなかったり。
そして長い期間、火文明絡みの構築済みデッキにおいて、
トリガー防御を一手に担って投入されていましたね。
また亜種(親戚)が出ていたりしますので、多くの方は
知っている、または名前は聞いたことがあるかなと思います。
自分としても、火文明絡みのデッキを組む時に、
入れるものに迷ったらまずこれ!という採用率の高さでした。
初手に4枚は日常茶飯事で、愛されてるなあと嬉しくなったものです笑
ところで中にはデュエマプレイスで知った、という方もいるかもしれない。
とすると、そもそもこの「地獄スクラッパー」が、別のとあるカードの
亜種であるということを知らない方もいるかもしれないですね。
このカードの初登場はDM-14。2005年・・・15年前(記憶スクラッパー
さてそれより戻って2003年、DM-07にてこんなカードが登場しています。
地獄万力 火文明 7マナ
呪文
相手のクリーチャーを、パワーの合計が8000以下になるように好きな数選び、破壊する。
DM-07(闘魂編 第2弾 時空超獣の呪) ←今のカードより難読
呪紋の化身と同期です。ってピンときませんね、さておき。
デュエマには火力(火文明得意の、パワーを参照する除去)があり
中でも史上初の「割り振り火力(ある数まで合計して破壊)」です。
全体火力はいくつかありましたが、だいたいが弱火でしたので、
大きなクリーチャーを焼けないという欠点がありました。
といって闇の確定除去は基本単体用なので、数でこられると
対応できないときが。そんな板挟みを一発で粉砕する凄いカード。
火力としても当時としては最強クラスで、ほぼ確定除去。
ドラゴンですら10000を超えるような奴は少数でしたからね。
そもそも1枚で複数のクリーチャーを破壊できるカードはそんなにない時代
小粒なクリーチャーが主流だったので、大量殺戮兵器と化す場面も。
4000+2000+1000+1000=リーフとガードとエメラル*2・・・懐かしい。
重いが撃てば大量のアドバンテージをとって勝てるカードでした。
◆地獄の沙汰もマナ次第◆
と、いいところだけ書きましたが当然欠点もあります。
まずその重さそのものが最大のネック。7マナって貯まらないんですよね。
当然火文明で使いたいわけですが、火単で7マナに到達するのは至難の業
(今みたいに火のドローとか便利なチャージャーなんてありませんよ!)
火単色デッキでだらだら7ターン目までやる道理がないですね笑
とすると自然と混ぜようということになりますよね。
マナ加速自体は青銅・ライフと押しも押されぬ奴らがいましたので
併用することで7マナくらいは簡単に行けたんですが、
火・自然のデッキだけではドローができないんですね。
(今みたいにドロー付きマナ加速なんて気の利いたものありませんよ!)
頑張って7マナに行って地獄万力撃ってもそのあとが続かない。
なので別途ドロー/アドバンテージ源を用意する必要がありました。
当時で言えば、まず水を混ぜること。サイバー・ブレインも現役でしたので
マナ加速→ドロー→マナ加速、という流れを作ることができました。
さらにこの時期彗星のごとく現れたのが「リーフメビウス」・・・
アストラル・リーフをメビウス・チャージャーでマナに変換し、
手札とマナを両方強化。そのあと重いカードを連打する・・・
というデッキがあり、地獄万力をうまく使っていた記憶があります。
また少し違ったアプローチでは「恵みの化身」・・・
マナ加速から恵みの化身とミスティック・クリエーションで、
各種強力カードを延々使いまわす(ヘルスラッシュは別の話)
このタイプのデッキにも戦略兵器として採用されていました。
主に水と自然を絡ませることで運用することが多かったと思いますが
少し時代が進むと、ウィンドアックスやスカイソードなどの
「場に出るとマナ加速」クリーチャーが増えたことより
ミスト・リエスをドライブする通称「マナソース」が生まれ
大量マナの使い道としてこのカードも使われました。
と、いくつか書きましたが「マナ加速と併用する」のが
地獄万力の重さを解消するスマートな方法だとわかります。
加えて3色目の文明でドローを補う、が常套手段でした。
(他方、マナ加速を使わずに地獄万力を使う方法もありました。
それは「7マナたまるまで勝負を引き延ばして撃つ」というもの。
軽い除去の連打でやり過ごしてからぶっ放す最終兵器が地獄万力。
これは自分が好んでいた「除去コントロール」の手法です。)
しかしこれらは「ある程度構築・戦略で工夫をしなければならない」
ということの裏返しでもあり、何も考えずに入れただけでは重すぎる。
さらに根本的なこととして、「結局間に合わない」ときもあります。
マナ加速が引けず、手札いっぱいの地獄万力を抱えて負けることも・・・
これはどうしようもないことでした。そんなわけでこの地獄万力は、
当時の環境を考えれば屈指のパワーカードであるにも関わらず
いくつかの限られたデッキだけが使えるカード、という立ち位置でした。
この状況はしばし変わらず、時は進んでいくことになります。そして・・・
2005年、DM-14発売。地獄スクラッパー登場。
◆デュエマ革命◆
地獄スクラッパーが登場するや、各デッキがこぞってこれを採用しました。
そこには元祖の「デッキを選ぶ」点が微塵も感じられませんでした。
それはつまり「S・トリガー」によるところ、という結論に至ります。
ご存じの通り、Sトリガーで発動すればマナコストは要りません。
(正しいマナコストの踏み倒しなんてSトリガーくらいだよね!)
ですので、地獄万力が抱えていた重さ・・・7マナを払わずに済む。
これによって、マナ加速の無いデッキも採用することが可能になりました。
主だったところでは、火単速攻(タイラーのライターに捧ぐ)が
防御面とミラーマッチを見据えて地獄スクラッパーを採用しました。
もちろん素撃ちは難しいのですが、「踏ませればいい」のです。
また、もともと地獄万力を入れていたデッキ達も、
そそくさと地獄スクラッパーに鞍替えしていましたね・・・
火力が下がりましたがそんな些細な差よりもSトリガーは偉いのです。
いくら7マナを貯められるといっても、結局間に合わないときもあります。
タダで撃てる場面があるスクラッパーの安心感たるや。
一番恩恵を受けたのは、やはり自然・水系統のデッキでしょう。
牙・ボルバル・サファイア・・・デッキパワーは申し分ないのだが
純粋なスピードではひけをとる速攻デッキとやりあうことができたのは
地獄スクラッパーの助けがあったのもかなり大きいはずです。
そしてこのSトリガーは、コストだけではなく、文明も無視できるのです。
つまり、「色が合わない=火文明が入っていないデッキ」も採用できる。
さきほどの火単速攻と同じく「(ほぼ)トリガー狙い」での登用です。
最たるところでは、白青黒系統の除去コントロールデッキでしょうか。
これは大量のブロッカーや除去を装備し防御力が高いデッキなのですが、
一点突破するとすれば小型を並べて数の暴力。これに対抗できるわけです。
古くはアクアン系統のデッキがバーストショットを採用することがあり
「タッチ全体火力」という概念は地獄スクラッパー以前からありましたが
この頃活躍していたデッキに「マリエル除去コントロール」がありました。
環境に君臨していたふたつ牙・サファイアドラゴンを足止めできるだけなく
水単速攻(パシフィックチャンピオンで息をつないだ青いゴキブリ)
への解答として、「予言者マリエル」が頭角をあらわしました。
自分からマリエルを展開する以上、バーストショットは採用しづらく
それだけに相手のみ効果が及ぶ地獄スクラッパーはまさに天の恵みです。
(そのマリエルも地獄スクラッパーで焼かれてしまいます。ワオ!)
細かいことですが、トリガー狙いで手札に来てしまった地獄スクラッパーを
どうするか、というのが対戦での楽しみでもありましたね。
マナに置けば、相手はトリガーを警戒してくれるかもしれない。
速攻デッキが殴ることを慎重になってくれれば、それだけで御の字。
また、手札から素撃ちされる可能性も考慮して展開を控えるかもしれない。
「スクラッパーで地獄を見た」者に対しては、使わずとも潜在的な効果が。
(現代デュエルマスターズには、こういう心理戦は、ございますか?)
実際踏まなくても、その恐怖が与えた影響は大きいかと思います。
前述のとおり、地獄スクラッパーは、以降多数再録され、
新時代のトリガーとして、多くの構築済みデッキに投入されていきました。
この地獄スクラッパーあたりからでしょうか、構築済みデッキの
デッキ(商品)としてのレベルも、上がってきたような気がしますね。
以前はデーモンハンドやホーリースパークが1枚しか入っていない・・・
強力なカードも入手困難だと、子供(+デッキをたくさん組むおじさん)
に厳しいですから、構築済みに4枚ポンと入ってることが有難かったです。
◆盛者必衰◆
カードゲームである以上、どんどん新しいカードが登場し、
パワーは上がっていきます。また、環境も変わっていきます。
それは従来のカードに影響を与えていくものです。
優良トリガーの地位を確立した地獄スクラッパーも例外ではなく。
厳密に「いつ」だったかは、定かではありませんが・・・
「徐々に」使われなくなっていったかなあと。
自分も徐々にデュエマからはフェードアウトしていきましたが
ちょうどそのころと被ります。スーパー炎獄スクラッパーという
所謂「上位互換」が出たころでしょうか。カードパワーの上昇が
これやばいんじゃね、と感じさせてくれはじめた頃です。
自分なりにもっと踏み込んで、使われなくなった理由を考えると
・クリーチャーのサイズが上がった
というのが、大きなところかなと。地獄スクラッパー全盛期なら
1000+4000とか、1000+2000*2で5000、とかそれくらいなら
よく破壊してウハウハだったのですが、2マナのクリーチャーにも
3000・4000がザラに出てくるようになりました。
これではたった5000の火力では手に余ります。
5000の1体を倒すのに7マナもかけていられません。
少しマナ域が上がれば、パワー6000以上のクラスも増えてきて、
そもそも5000火力が効かないという状態が目立ってきたと。
また、「選ばれない」「場から離れない」除去耐性を持つクリーチャーも、
実用的なものが増え、火力の立場は弱くなっていったと記憶しています。
呪文に対する風当たり(唱えられない・コスト増加)も強くなって
単に除去するためだけの呪文にデッキのスロットを割くのが
難しくなってきた、のかもしれません。
最悪、的が無くてマナにしかならないカードよりは
アドバンテージ、あるいは勝ちに直結する動きがいいですよね。
このへんは、大本のMTGとは違い、プレイヤーを狙えないという
デュエマの火力・いや除去全般の抱える問題点なのかもしれません。
◆現在◆
とはいえ。冒頭で書いた「亜種」を含めて、登場する機会はあるようです。
やはり小型を並べる速攻デッキはどんな時代にもいるもので、
そこにハマってしまうと危険なカードには変わりないですね。
ざっとしか知らないので申し訳ないのですが、
パワー大きすぎてダメならコストを狙う「めった切りスクラッパー」
対小型に特化した「ゼンメツー・スクラッパー」
クリーチャー化して殴れるようになった「破壊者シュトルム」などなど
近年では「スクラッパー」という名称に意味を持たせ、
ツインパクトという強みを手に入れた「マグマジゴク」
などもあり、「地獄万力」から続く系譜は、所々で見ることができます。
最近のカード全般に言えますが、極力「腐らない」デザインが多いですね。
それはまた、良し悪しかもしれませんが・・・概ね、良し、でしょう。うん
◆おわりに◆
徐々に話が散らかってきたのでこのへんにしておきましょう。
昔から文章をまとめるのが苦手なもので、たった1枚に絞れば
ある程度形になるかなーと思いましたが、相変わらずですね;
と言いましたが、当時のことをたっぷり思い出せて、楽しかったです。
いったい何匹、青銅の鎧を破壊したかなーとか、考えるだけで(笑
さてデュエプレには効果そのまま収録されるそうなので、
往年の名カードとして活躍してくれるのかなと、期待ですね。
また気が向いたら、カード1枚について、ごちゃごちゃ書くと思いますが
もしピンとくることがありましたら、読んで頂ければ幸いです。
踏まなきゃ天国、踏んだら地獄。あなたのシールドに地獄スクラッパーを。
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