見出し画像

FTOlog② CIFとEIF

FTOについての連載記事FTOlog②、今回はCIFとEIFについて書きます。
今回も解法のお話ではないので、時間のあるときに流し読みしていただければ幸いです。


CIF・EIFとは?

CIF・EIFとは、それぞれFTOの回転記号の表記方法のことを指します。
例えば、3×3はある側面が正面から見えるようなホールドで回転記号が定義されている一方で、同じ立方体パズルであるSkewbでは3×3のホールドから45度ずらした向きで回転記号が定義されています。それぞれのパズルが持つ回転軸の特性を踏まえた上で回転記号が決められていると考えることができそうです。
そこで、正八面体のFTOではどのような回転記号がわかりやすいだろうかと考えられた結果、2つの回転記号表記が生まれました(マイナーなものを加えると2つ以上ありますが)。それがCIFとEIFです。

CIF

Corner In Frontの略。
ULFRコーナーを正面に持ったときの回転記号表記のことを指します。
CIFの回転記号は下の通りです。

FTOのスクランブルやTwizzle Editorの回転記号、多くの解法解説はこのCIFが採用されており、一般的なのはこちらとされています。

EIF

Edge In Frontの略。
UFエッジを正面に持ったときの回転記号表記のことをいいます。
EIFの回転記号は下の通りです。

AedanさんのTCP手順表などでこの表記が見られます。

CIFとEIFを比べてみるとすぐわかりますが、使われる記号自体はCIFとEIFで変わりません。
U面とF面が接しているかどうかがわかりやすい違いかと思います。


CIFとEIFどっちが良いのか

以上でCIFとEIFがどういうものか分かったかと思います。
次はそれぞれの良さについて考えてみます。これを読んでくださっている方々は、直感的にどちらが回しやすく感じるでしょうか?

結論を言うと、CIFのほうが好まれます
理由としては色々挙げられますが、ここでは、
 1. スクランブルがCIFだから
 2. CIFが多く使われているから

の2点からCIFの良さについてまとめていきます。

1. スクランブルがCIFだから

csTimerで出力されるFTOのスクランブルはCIFとなっています。前述したように使われる記号そのものはCIFとEIFで違いはないためEIFで回すことも可能ではありますが、ツールのスクランブル描画で表示させる画像イメージはCIFで崩した状態となっているため、CIFで回すべきでしょう。

スクランブルの回転記号と解法で使われる回転記号が異なる例としてはSkewbが考えられます。スクランブルの回転記号と解法で使われる回転記号をそれぞれA・Bとすると、Skewbの回転記号は下のようになってます。

 A: U L R B
 B: U L R B u l r b (この他に持ち替え記号もある)

Skewbでは明らかにスクランブルの回転記号が使いにくいので、2つの表記法で住み分けがされています。そのため回転記号で混乱することはないでしょう。

2. CIFが多く使われているから

FTOの入門者向けの解説としてもっとも有名なbenpuzzlesさんの動画やFTOのバーチャル表示ツールであるTwizzle Editorなど、多くの情報はCIFで表記されていることが多いです。とくに解説では他人に正確に伝える・伝わることが最も重要となるため、2つの表記法が混在していると混乱する人が増えかねません。そのため、使われている頻度の多いCIFに統一することは自然であるとみることもできます。

EIFの良さ

ここまでCIFが好まれる理由をまとめましたが、もちろんEIFにも良さがあります。それは、
 一部の手順において回し方が直感的である
ということです(個人差はあります)。下に例を挙げます。

FTOで例を示しても分かる人は数人程度しかいない(固いLanLanで回しても分からないだろう)と思ったので3×3の例を選びました。
下の2つの手順を3×3で回し比べてください。

 A: R B' R' F R B R' F' R B R' F R B' R' F' 
 B: x' R U' R' D R U R' D' R U R' D R U' R' D' x

これはPLLのEパームですね。どちらも同じ動きですが、おそらくほとんどの方はソルブでは下の手順Bで回していると思います。

これと似たような関係が一部のTCP手順において見られます。
つまり、一般的なCIFの表記(例:手順A)では回りくどい印象を与える手順をEIFで表記(例:手順B)することで、指使いの想起が容易になるという良さがあります。
(なので自分はEIFの表記のほうが好きです)

ですが上述したようにCIF表記が多く見られる現状では、EIFで表記する際には注意が必要です。またEIFを好む人も一定数存在するため(自分含めて)CIFのみで表記する場合においてもCIFと一目でわかるようにするべきだと思います。

対処法(例)
 ●一つの記事で表記法を統一する
 ●全ての手順の頭にCIFかEIFかを判別できる記号を付ける


後書き

今回はCIFとEIFについてまとめました。

自分は、選択肢のある内容を教えようとするときには「自身の好きなほうを選べば大丈夫」というスタンスを取ることが多いのですが、CIFとEIFではそうも言えないという点で歯がゆさを感じます。

次回FTOlog③は「L2C -Another Face-」と題して、L2Cのはじめの大台形をF面に作成した場合の手順をまとめる予定です。
次も読んでくださると喜びます。