事件です!×日向坂探偵局 EP5 『最終決戦の始まり』
銃声は外にも響いた。
ちょうど小池刑事たちの様子を見に来た渡邉管理官にも、その音が聞こえる。
理佐:何事…
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古野:貴様らの推理、よくできているな…褒めてやろう。だが所詮は所轄とガキ達だ、詰めが甘いな。
小池:やめろ!
小池刑事が取り抑えようとするも…
古野:さっきも言ったよな?この娘の命の保証はないと…
菜緒:は、離して!
古野:おい!表に車回せ!
捜査員に指示するも、誰も動かない。
理佐:古野!何してるの!
小池:理佐さん!?
理佐:事情はあと…古野、何馬鹿なことしてるの!
古野:渡邉…お前もどけ!
また拳銃を発砲した。
弾は床にのめり込み、皆が怯んだ隙に逃げ出す。階段を駆け下りて、エントランスに向かった。
そして入口前に停めてある渡邉管理官の送迎車を強奪した。
運転手を引きずり下ろし、後部座席に菜緒を無理やり乗せて車を発進させる。
小池:古野!みんな伏せろ!
周りの人達は伏せ、小池刑事は車目掛けて発砲した。
だが、車の窓ガラスに当たるも割れず、そのまま走り去ってしまった。
小池:クソ!
〇〇:な、菜緒が…!
理佐:とりあえず、追いかけるわよ!交通課!
里奈:は、はい!
ひかる:なんですか!?
理佐:ミニパト貸して!早く!
保乃:は、はい!
保乃は持っていたミニパトのキーを渡邉管理官に渡す。
理佐:責任は私が取る、借りるわよ!小池くん!そこの探偵さん!早く乗りなさい!
2人:はい!
渡邉管理官はミニパトに乗り込み、小池刑事と〇〇も乗り込む。
ミニパトは勢いよく発進し、古野管理官の車を追いかけて道路を進む。
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警察庁会議室
幹部1:古野がやらかしたのか?
幹部2:全く使えないやつだ…
幹部3:どうする?あいつは…
幹部1:古野は切れ。あいつに全て擦り付けるぞ?
幹部2:全く…我々の顔に泥を塗りおって…
幹部3:優秀な人物だと思っていたのにな。残念だ。
その会話をある人物が全て外から聞いていた…
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櫻坂署
菅井:ちょっと!また小池くんなにかしたんですか?
土田:こないだの記者殺し、犯人は古野管理官なんだ!
由依:それを問いつめたら、菜緒さんを人質にして逃げたんです!
里奈:それで渡邉管理官と、もう1人の探偵くんと一緒にミニパトで追いかけていきました!
齋藤:全く…何してるんだか…
土生:申し訳ございません…
菅井:何してるの!車両追跡システム使って、居場所見つけなさい!
由依:署長…
菅井:土田さん!小池くんと渡邉管理官に随時追跡情報伝えて!
土田:わ、わかりました!
菅井:交通課!近隣所轄署に協力要請して、検問設置しなさい!
里奈:了解です!
菅井:副署長!土生課長!
2人:はい!
菅井:今回のことで、本庁のお偉いさんが来ますわ!接待の準備!
2人:わかりました!
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ミニパトは夜の六本木を走っていた。
小池:理佐さん、ミニパト運転出来るんですね…
理佐:所轄研修のとき、少しだけ交通課いたからね。ミニパトは愛車よ。
小池:流石っす…
その時、車内に無線が響く。
里奈『こちら櫻坂署ミニパト基地!ミニパト3号応答せよ!』
理佐:こちらミニパト3号、渡邉です。
里奈『わ、渡邉管理官!?』
理佐:どうしたの?
里奈『た、ただいま被疑者の車のGPS、反応無しです!』
理佐:やっぱり…電源切ったわね…
里奈『それから都内各地で検問配備中です!』
理佐:了解、情報は随時こちらに伝えて?
里奈『わ、わかりました!』
無線が切れ、ミニパトはさらに加速する。
〇〇:行先の予想はついてるんですか!?
理佐:いや…あいつは頭が切れるから、多分様々な手を使ってくるはずよ?
小池:知り合いなんすか?
理佐:古野は私と同期入庁なの…所轄配属の時も一緒に活動した…
〇〇:そ、そうなんですか…古野さんって昔からあんな陰湿なんですか?
理佐:いいや…昔の彼は、情熱的な男だったわ…そんな彼をあんな容易く変えてしまうのが警察という組織よ?
その時、また無線が入る。
『聞こえるかしら?ミニパト3号、いや、渡邉管理官?』
小池:この声って…まさか!
理佐:聞こえてるわよ?
"守屋管理官"
茜『さすがね…まあ私はもう管理官じゃないけど。』
理佐:なんの用?
茜『今回上からの命令で事件の管理官を臨時的にやることになったの。一旦櫻坂署に帰ってきて。』
理佐:わかった、その代わり被害者の命の保証はしてくれるんでしょうね?
茜『もちろん、そこに乗ってる優秀な所轄くんもいるしね?小池くん?』
小池:お、お久しぶりです!
無線が切れると方向を変え、櫻坂署に戻る。
〇〇:どういうことですか?
理佐:一旦署に戻って、体制を立て直す。安心して?本庁から交渉人や捜査員が駆けつけるし、小池くんもいるから。
〇〇:菜緒のこと…よろしくお願いします!
小池:おう!
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櫻坂署…
会議室には緊急捜査本部が設置され、本庁捜査員の他に機械が搬入し、素早くセッティングされる。
茜:みんな急いで!時間がないのよ!
由依:守屋管理官!私達も会議に参加させてください!
茜:小林さんは、被害者の相方さんの面倒を見て。あなた達昨日今日と一緒に行動してきたんでしょ?
由依:わかりました…
ちょうどその時、小池刑事たちが署に戻って来る。
小池:守屋管理官!お疲れ様です!
茜:待ってたわ、早く席に着いて。そこの探偵さんは、小林刑事と一緒に外で待機してて。
〇〇:会議に参加させてください!
茜:ここからは私たちの仕事よ?残念だけど、あなた達にできることはもうないの…いい?
〇〇:わかりました…
由依:行きましょ?
小林刑事と一緒に刑事課に向かおうとしたその時だった。
〇〇のスマホが鳴る。
茜:犯人からなら、スピーカーにして出なさい?
恐る恐る電話に出てみる…
菜緒『〇〇!助けてえや!』
〇〇:菜緒!?今どこにいるんだ!
菜緒『わからんっ!なんか箱の中に入れられとって…外からおっきい音が聞こえる!』
〇〇:もっと詳しく!なんの音だ!?
菜緒『なんの音って…歌みたいな…最近流行りの曲が聞こえとる…きゃぁっ!何するん!』
〇〇:菜緒!?大丈夫か!?
突然何かが落とされる音が聞こえ、それと同時に電話も切れる。
小池:古野に見つかったか…
茜:まずいわね…今の音声解析して!
捜査員:はい!
理佐:後、都内でコンサートやライブをしている会場を洗い出して!早く!
〇〇:この辺だと大きいのは…新国立競技場か…
由依:あとは東京ドーム、代々木第一体育館とかも行けるわね。
土田:確か、国立競技場は今日サッカーの試合だぞ?
小池:東京ドームも巨人対阪神戦がさっき終わりました。
理佐:とりあえず、それらの施設の近隣所轄署に確認するように伝えて!
〇〇:あとは、ライブハウスとか…?
茜:ライブハウス…?
小池:そんなの都内にいっぱいあるが…調べてみよう!
由依:全力をあげてやるわよ!ほら!
保乃:うちらも手伝います!
里奈:小池さん、今度私たちにもなんか奢ってくださいね?
小池:おう、頼む!ちゃんと約束守るから!
ひかる:おー!やったるぞー!
交通課の面々も残り、必死に探していく。
〇〇:そうだ!もしかしたら…
〇〇はスマホを取りだして、ある人に電話をかける。
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美玖『どうしたのー?急に電話して』
電話に出たのは金村さん。
音楽好きの金村さんなら何か知ってると思い電話したのだった。
〇〇:金村さん、あの今東京でライブしてるアーティストとかなんとなくわかる?
美玖『急にどうしたの?』
〇〇:ちょっと探偵の仕事で…わかったりする?
美玖『ん〜…今日はね?』
金村さんから出てきたのは有名アーティストたちの名前だった。
美玖『これくらいかな…大きいところだとこの辺だね。』
〇〇:そっか、ありがとう…
明里『ねえねえ、誰と電話してるのぉ?』
美玖『えー?〇〇くんだよ。』
ひより『ひよたんだよ〜?やっほ〜』
〇〇:ふ、2人もいたんだ…
明里『お泊まり会!菜緒も誘ったんだけどね。』
美玖『菜緒は元気?』
本当は元気どころの話じゃないけど、2人に余計な心配をかけないように嘘をついた。
〇〇:ま、まあ…
ひより『だよね〜ところで、何してるの?』
〇〇はさっき金村さんに聞いたことを2人にも話した。
〇〇:2人は他に誰か知らない?
ひより『ブルーウインド忘れてない?』
美玖『あー!それだ!』
明里『いいよねえ、オールナイトライブ』
〇〇:オールナイトライブ?
美玖『櫻坂メッセで一晩中やるらしいよ?』
明里『行きたかったけど、高校生の私たちにはハードル高いよねえ〜』
ひより『ねえ〜、ひよたんも行きたかった〜』
〇〇:それだ…ひよたんありがとう!他のふたりも!
美玖『急にどうしたの?』
明里『あっ、東京土産よろしくねー!』
ひより『ひよたんはね、八つ橋がいい〜!』
美玖『ひよたん、それ京都土産…』
ひより『あっ、そうだった〜』
電話を切ると大きな声で叫ぶ。
〇〇:櫻坂メッセです!
みんな一斉に振り向く。
小池:櫻坂メッセ?
由依:オールナイトライブ…今朝テレビでやってた。
茜:そこに捜査員向かわせて!
小池:俺行きます!
由依:私も行きます!
〇〇:僕も行かせてください!
茜:何言ってるの、あなたはここよ。
〇〇:でも…
理佐:行かせなさい、許可するわ。
茜:そんなこと言ったら査問会で問題になるわよ!
理佐:責任を取るのが私の仕事。行ってらっしゃい。
小池:ほら行くぞ、死ぬ気で来い。
〇〇:は、はい!
櫻坂署から、1台のパトカーが勢いよく発進して行った。
つづく
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