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HONDA バモス
📖 書庫の洞窟を探索していたら、とんでもなく貴重な書物が発掘されました。
それは「新訳聖書」。
これ、誤植ではありません。
世の中には「旧約聖書」と「新約聖書」がありますが、それは翻訳の新旧を言うのではなく、神様との約束の、古い時代と新しい時代の差……つまり、イエスキリストが生まれる前と後を意味します。
それに対して、今回我が家の書庫にある洞窟で発掘されたのは、まさに「新しい翻訳」を意味する、「新訳聖書」。
それは正規の聖書とはまったく異なる、とてつもなく不謹慎な書物…無修正の発禁本で、それが証拠に、タイトルの「新訳聖書」の後に、さらに、「清書…最新版」と、補足してあります。清書とあるからには、きっと下書きがあったのでしょう。
著者は、「ホンダラバモス 他」となっており、パチモンのニオイを包み隠さず放出しています。
ちなみに「ホンダラバモス」は、ノストラダムスの親戚だそうです。
ペラペラと頁をめくると、昔、文庫本によくついてた「シオリ」がはさんでありました。「ちくま文庫」のシオリでした。
そこをふと読んで、私は驚愕しました。
……ノウ(Nou)は、丘の裏に広がる森を指差した。するとその森から、数羽のカラスが舞い上がり、空に5つの輪を描き、さらに喜んで朗々と歌い始めた。
それからノウは、群衆の方に顔を向け話し始めた。
「あなたたちの中で、森に向かって石を投げることが出来るのは、今まで一度もカラスの声を聞いて"うるさい"と思ったことがない者だけである」
さらにノウは、こんな話をした。
「ある家に泥棒が入った。泥棒はその家にあったあらゆる高価なものを盗み、さらに家具や壁を傷つけ、その家に住む子供の記念アルバムや父親のゴルフコンペのトロフィーなどの思い出も破壊し、そのあと何食わぬ顔をして逃げた。
警察はその杜撰で卑劣な手口から、すぐに容疑者を特定したが、裏切り者の「WHO」…失礼…「誰か」のせいで、決定的な証拠が得られなかった。
いかに状況証拠が確実であっても、物的証拠がなければまともな民主国家では逮捕は困難で、もちろん容疑者は、まったくもって身に覚えがない、すべては自分たちをおとしいれる悪質な捏造だと主張した。
さてその後、犯人が捕まらないまま、被害者は元の生活を取り戻そうとして荒らされた家に入った。そして壊された家具を捨てたり修理したりニトリに買いに行ったりした。さらに被害者は、壁や床やドア、天井の内張や洗面所のひび割れなど、リホーム業者を雇う必要があった。
その時、なぜか一本の電話があった。それは、いったいどこで聞きつけたのか…もちろんテレビや新聞で誰もが知っていたのだか…電話の相手はリホーム業者のセールスだった。
しばらく話をしていて、被害者は違和感を持った。この業者、やたらと家の破損箇所や破損具合、さらに盗まれた物品に関して、誰も知らないはずなのに、やたらと詳しいのである。そしてそれだけでなく、提示してきた見積もり額は、決して良心的とは思えない金額だった。
さて、私はあなたたちに問いたい。
あなたがもしこの家の被害者なら、あなたはこのリホーム業者に仕事を依頼するであろうか? しかもそれが、リホームではなく、身体に注射するワクチンだったとしたら……だから私は、あなたたちにこう言おう。
あなたたちは、右の頬を打たれたら、左の頬を差し出せと言われたはずだが、それは過ちである。
もしも右の頬を打たれたら、すぐにその場から逃げ、二度とその相手と付き合ってはいけない。君子危うきに近寄らず、三十六計逃げるに如かずとは、そのことを言うのである」
そこまで読んで、夢から覚めました。時計の針は、7時15分。
そして私は、そっとつぶやきました。
「もちろんこれは、フィクションだ」と。
※ 写真は、私が昔乗っていた、HONDA バモス の、同型、同色。
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