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ガッチャンコ

2019年1月26日、昨年に100歳を間近にしてお亡くなりになられた「恩師」山本善偉 せんせを「偲ぶ会」がありました。
 場所は、兵庫県西宮市の関学会館。大学に隣接した施設です。

 山本善偉 というお名前の由来は、米国の詩人が書いた作品の一節、「GOOD and GREAT」だそうです。

 元学徒兵だったせんせは、その自らの強烈な戦争体験から国家権力の横暴さに強烈な怒りを持つようになり、実際に、生涯ずっと国家と闘い続けました。
 国に騙されて戦争に行かされたという思いが、せんせのトラウマになったのだとせんせの口から聞いたことがあります。

 けれども、私はその戦闘的でさえある過激なせんせに、キツく叱られた事が一度もなく、常に優しく、気遣い続けてもらいました。
 もちろん高校を卒業してからもです。
 ウチの家が子供を関学に行かせるには、収入面で分不相応な家庭だったからかもしれません。

 そのせんせが同窓会などでお酒を呑むと、決まって、他では聞いたことがない「軍歌」を歌うのでした。しかも上機嫌で手拍子を求めて……。

 河内音頭のような数え歌風で延々と続く面白さがあり、「まだ続くんかい?」「まだまだ続くんかい?」と、後に行くほど盛り上がるのでした。


 ガッチャンコ ガッチャンコ と 音がする
 出てみりゃ 新兵さんの演習帰り
 大尉に中尉に少尉殿
 准尉 曹長 軍曹 伍長 上等兵
 一等兵…二等兵……

 それに続いて出てくるは
 見るも哀れな 炊事班
 沢庵切るのも 国のため
 私のすーちゃん 皿洗い……

 その歌に秘められた思いがどんなものだったのか?
 真実の歴史がまたひとつ、手が届かない世界に消えていきました。

 まるで、シャボン玉のように。

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