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無意識の言葉

 人間は、体力的に究極にキツイ時、無意識に声を発するようです。

 無意識というのは、最も正直です。

 おそらく、最後の最後は、私はこのようにうめきながら呪文を繰り返すはずでした。

「ギャーテー・ギャーテー・ハーラーギャーテー・ハラソーギャーテー・ボージーソワカ」

 漢字にすると、

羯諦羯諦
波羅羯諦
波羅僧羯諦
菩提薩婆訶
般若心経

まあ、ええかげんに訳すと、さしずめ、
「往ける者よ、往ける者よ、彼岸に往ける者よ、彼岸に全く往ける者よ、悟りよ、幸あれ」みたいなかんじです。

 ところが実際に私が、高熱下、意識朦朧でうめいた呪文は、

「エロイ・エロイ・ラマ・サバクタニ(אלהי אלהי למא שבקתני)」。

 だったのです。

 これはイエスキリストが十字架で果てる時に、神に対して言った泣き言です。

「神よ、なんでここまで私を苦しめなあかんのんや?」と、私は訳しています。

 実は、これは新約聖書に記された数多いイエスキリストのエピソード中でも、私が最高に好きな言葉なのです。イエスの人間らしさに感動します。

 それよりも、

「えっ! ワシは、深層心理で、プロテスタントやったんか?」という驚きが勝りました。

 けど、さらにじっくりと検証すると、どうやら、まずカラダのつらさを、

「エライ…エライ…」と、うったえていたようです。
 この「エライ」は、「偉い」ではなく、「しんどい」です。

 どうやらこれが、「エロイ」になり、
そのあとに「ラマサバクタニ」が、くっついたようです。

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