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ミュージシャン必読

 2018年12月……

 お金を目的にしたくはありませんが、自分の好きな表現活動を、よりスムーズに実行し続けていくには、やはり、余裕のあるお金が必要になります。
 もちろん、無理しない、魂を売りすぎないレベルでですが……。

 そのあたりは、音楽にせよ文学にせよ、あらゆるクリエイターの永遠の課題であり、またジレンマ(相反する二つの事の板ばさみになってどちらとも決めかねる状態)だったり、矛盾であったり……とにかく、ともすれば自暴自棄に陥ったり鬱になったりするほど厄介な現実なのです。
 この点、多くの同業者が「たしかに」と、うなずいてくれることだと思います。

 自身の自己表現が、まとまった金額を生むというのは、まさに「売れる」という現象です。
 CDが売れる、本が売れる……メディアから出演依頼が来てギャラがはいる……等々。

「売れる」ということは、一般人に共感性を抱いてもらうことでもあります。
 共感性を得れば大衆の支持を得られます。

 では、その大衆とはいったいどんな世代なのか?

 だいたい文化なんてものは、若い世代の好みが主体的に牽引していくものだと、私は頭から信じていました。
 だから、大きな疑問があったのです。

 日本人の年齢別人口比率表を見ると、
昭和22年〜24年生まれの第1次ベビーブームと、同じく昭和46年〜49年生まれの第2次ベビーブームを頂点にした40歳〜80歳くらいがかなりの人口を占めているわけです。

 つまり文字通り、この世は高齢者社会なんです。
 
 でも、一番売れてるCDは AKB48。

 AKB48 ゆうたら私は一曲も知らんし、正直モーニング娘ともおニャン子クラブとも区別がつかないのですが、いわゆる、私らの世代なら、キャンディーズや天地真理や浅田美代子……みたいな感じでしょ? 知らんけど……。

 20歳未満の人口が減っている。しかも最近の若い子はCDプレーヤーを持っているないとも噂に聞きます。

 そやのに、なんで産業音楽を AKB48がリードするのか? 社会が支持するのか? つまり、誰が共感性を感じているのか?

 そこで、生まれて初めてAKB48のファン層の分析をみて愕然としました。

 20歳未満のファンがファン全体の中で占めるのが、わずか17%しかないんです。
これはアンタ、60歳代のファンと、ほぼ同じ占有率でっせ!

 さらに言えば、先に述べた人口比率、最も多い40代から上の世代が、AKB48のファンの 60% を占めるというやないですか?

 このデータ ホンマかいや? とも思いますが、これがもしホンマなら、若い世代の趣味や価値観、共感性を捨てて、人口比率が高い、私らと同世代から上、つまり60〜80歳くらいをターゲットにしてその共感性を探って一儲けしよっという私の良からぬ企みが根本から崩れてしまいます。

 私……すべての世代と共感性を持ちえません。
 まさに人類の中で、ごく稀な趣味趣向を持つ希少種。
 平たく言うと「変態」です。ベランダに干してあるパンティを盗んだりかぶったりはしませんが……。

 純粋にコツコツと、本を書いたり歌を書いたりして、せめてサラリーマン並の印税を稼いで残り短い人生を凌いで餓死せずに粛々と消化していこうとしている私に、神は「死ね!」と、言うてはるんでしょうね。

 私はショックのあまり、今日は一日布団かぶって寝ます。

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