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恥ずかしい人違い


 2018年2月のあたま、中学からの同級生
三ッ井君と湯田温泉で食事をして、温泉に入ったときの話です。

 風呂からあがり、脱衣かごの棚の前で私は、バスタオルでカラダを拭いていました。
 いちおう三ッ井君のぶんと私のぶん、バスタオルを2本わざわざ家から持参して、1本は服を脱ぐ時に先に渡してありました。

 私がカラダを拭き終えたあと、となりの三ッ井君が使っていたバスタオルをつかみ、

「持って帰って、洗うから」と、
 ひっぱりながら言うと、
 となりの人が慌てました。
 なんとそれは三ッ井君ではなかったのです。

「あっ! すんません、すんません、人まちがいです」

 慌てて知らんニイちゃんに言い訳をすると、そのニイちゃんもすぐに状況を理解してくれて、笑って許してくれました。

 すぐうしろのベンチに腰掛けていた三ッ井君が私の失態を目の前で見て、ゲラゲラ笑いころげました。

 そして、

「俺もさあ、実はさあ、この前な…嫁さんと一緒に東京のデパ地下に買物に行ってさあ、食品売り場で試食の佃煮くうてさあ、あまりに美味かったんで…『これめっちゃ美味いわ、お前もくうてみ』ゆうて、箸でつまんで嫁はんの口に持っていったら、
『ハ…ハイっ』ゆうて、食いよってんけど、『なっ、美味いやろ?』ゆうてふと見たら、それ、ぜんぜん知らんオバハンやってさあ、どれだけ焦って恥かいたか……そやけどオバハンもオバハンやで、食うか? しかし……』

 それを聞いた私と、さっきの知らんニイちゃんが、同時に脱衣所で笑いころげました。

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