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キジの鳴き声

 今朝もキジの鳴き声で目がさめました。
 キジで思い出すのは、関西人、与謝蕪村の句です。

--河内女(かわちめ)の宿に居ぬ日やきじの声--

 この句の「河内女」というのは、万葉集や伊勢物語のからみで、長年にわたり「機織り女」と解されてきました。

 それが数年前に発見された蕪村直筆とされる手紙により、蕪村の妻が河内(大阪)の出身だとわかり、句の解釈が根底からひっくりかえりました。

 つまりこの句は、女房がいない時に聞くキジの声なわけです。

 ちなみにキジの声は決して美しいものではなく、情緒があるものでもありません。
 なんか、「ギョエッ」とか「ゲホッ」とか、マンガみたいな鳴き声です。

 毎朝キジの鳴き声で目覚める私は、この句を思い出し、非常に複雑な想いをいだきながら、与謝蕪村と、おちついてゆっくりとおはなしするのであります。

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