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日本語ジャズ モニターライブ


2017年9月26日に開催した、日本語ジャズ モニターライブ。

 蓋をあけてみると、なんと、満員御礼でビックリ仰天。手作りグリーンカレーは売り切れ完売。
 まだまだ、宇部山口、この世界は捨てたものではなかった。
 今回のは、作品の展示会のようなもだったので、作者(訳詞者)みずからが、実はコレは出来が悪い、不本意。とか、コレは我ながら絶品、とか、正直極まりなく、個々の解説をさせてもらった。
 冒頭に話したのは、私のように、歌をつくったり、人前で音楽を奏でたりする人間は、いわば、自分の「価値観の押し売り」だということ。
 これは自虐ではなく、案外相当うまく言い得た表現のような気がする。
 聞く側専門である一般の人と比べて、おそらく、自己表現を常にしている人間の価値観は、非常に強固で、かつ、そこそことんがっている。
 その突起の先で、互いに傷つけ合うことがないように……たとえば日本刀の、先や刃の部分を避けて、反っている背の部分をすりあわせながら、共にせりあげていくのが、デュオやトリオや……の、いわゆるアンサンブルなのだと思う。
 そのバトルが激化すると、まさしく「しのぎを削る」状態になるわけである。
 聴く耳を持つ聞き手は、その飛び散る火花を花火のように見て楽しむのかもしれない。
 まあ、その、「価値観の押し売り」であるが、今回は予想を超えたたくさんの人に、私の価値観を共有してもらえた実感があった。
そもそもジャズ……洋楽の翻訳歌詞において、いい歌詞(訳詞)を書こうなどと考える余裕など当初はまったくなかったのである。
 ただ、腐臭がせず、明らかな違和感や、翻訳ものだとわかってしまうようなものでさえなければ、とりあえずはそれで成功。それだけでも意味がある。と、本音でそう思っていたのである。
 けれども、いざペンを持って取り組んでいるうちに、どんどん良い意味で手が慣れてきたり、欲が出てきたり。
 
 終演後、ピアノの高橋 聡 さんに、今日のセットで、最も印象的だった曲をたずねたところ、即座に、トムウェイツの「オール55」と、ボブディランの「ワンモア カップ オブ コーヒー」だと返ってきた。
 両曲とも、スタンダード ジャズ ではない。
 こういうところに、クリエイターの資質というか……自分自身が追求してきたものに対する自信に裏付けされた上での、さらなる知的好奇心や異文化に向ける積極的な眼差しを感じた。
 さりげない会話ややりとりで、いろんなことが、再確認できて、心底わくわくしつな、嬉しくなる。
 とにかく、みんなハッピーで、素晴らしい夜になって、よかったよかった。

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