関西人の魂
今回は、関西人の魂 特別講座の最上級編です。めちゃレベル高いです。関西弁やなく、関西の魂です。
赤井英和が主演をした『王手』という将棋さしの映画があります。
この映画はザックリ言うと、アカデミックな将棋連盟が主催したトーナメントに、賭け将棋を生業にする怪しい筋の将棋指し(赤井英和ふんする主人公)が参加し、勝ち進んでいくという話です。
映画の冒頭、通天閣の近くの地下にある、煙草の煙ムンムンの将棋倶楽部に赤井がはいっていくのですが、満員の客は自分の将棋盤に熱中していて、赤井の方を見ようともしません。
ところが赤井が、「まいど!」と、館内に向かい声をかけます。
すると一斉に、「おいど!」と、合唱でかえってくるのです。
まずこれだけで、この映画は関西人のハートをわしづかみにします。
さて、赤井は順調に勝ち進み、準決勝くらいでひとつ、大きな山場を迎えます。
きちんと和服を着た正統派の相手方が、勝負中、落ち着いて扇子を開くと、何やらむつかしい四文字熟語が書いてあります。
そこで赤井……アカデミックに負けてなるものかと、自分も扇子を開きますと、そこに書いてあった四文字熟語がなんと、
「自給自足」。
これはかなりオモロイ見せ場です。まさに権威の裏付けがない地べたを這って、その日暮らし、命懸けで生きている勝負師の本音そのものです。
さて、いよいよ名人との決勝戦。
またもや、同じような、扇子を開く場面になります。
観客は「さていったい次は何がくるんやろ? 」と、期待に胸が張り裂けそうになります。
そこで赤井が開いた扇子に書いてあった、四文字の漢字は、なな、なんと、
『 欧陽菲菲 』
そうです。 中年以上はご存知、この4文字は、オーヤンフイフイ と読みます。
扇子だけに、このセンス。
ものすごい関西人の魂なのです。
「雨の御堂筋」だけが理由ではありません。
『欧陽菲菲』という文字に染み込んでいる深い情緒が理解できてこそ、真の関西人と呼べるのであります。
おわかりいただけましたでしょうか?
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