問.何故他の馬ではなくギベオンがあの扱いなのか

2021年、金鯱賞
重馬場の強豪ひしめく中京競馬場
観客も実況も誰も彼が勝つとは思っていなかった
しかし今なら分かる、彼は侮られるべき存在では無かったのだ
落ちてなお燃え尽きない流星、その馬の名は

ギベオン

伝説が始まる。金鯱賞

と、The WinnerやThe Legend風に書いてはみたのですが。
残念ながら私はリアルタイムでギベオンした瞬間の空気を知らないので、
誰か教えてくれないかなーというnoteです。
本当の答えはここでは出てきません、ごめんなさい。

はじめに ギベオン号について

平たく言えば競走馬です。
名前の「ギベオン」は隕鉄の「ギベオン」に由来するそうで。
実は名前からして何か滅多にない類の活躍をしそうな感じはします。

血統とか成績とかはこちらを見て頂いた方が早いでしょう。
競馬をまた見始めてから散々お世話になっているnetkeiba様をご拝借。

ざっくりまとめると、
1.新馬戦からG3毎日杯二着、G1NHKマイルカップ二着、からの中日新聞杯一番人気一着までは順調でした。
2.しかしその後大苦戦。古馬一年目の成績は六戦して金鯱賞の四着までで四回出たG3では全部10着以下。
3.トドメに出る格を落としてリステッド競走の白富士ステークスに出たら五着が精一杯だったのが侮られた原因…だろうか。
(なお今見るとポタジェ、サンレイポケット、アフリカンゴールドと結構な面子に負けていたのですが彼らが実力を発揮するのはしばらく後)
4.そして2021年3月14日、G2金鯱賞で最低人気…になったと思ったら三冠牝馬デアリングタクトやこの年香港ヴァーズ連覇のグローリーヴェイズらを撃破!オッズ227.3倍の二万馬券成立!!
5.折しも2021年2月24日にはスマホアプリの「ウマ娘」が稼働し社会現象になりつつありました。競馬ファンのみならず日本中の目が競馬場に集まる第三次競馬ブームで初の重賞単勝万馬券を勝ち取ったのがギベオンです。
6.こうして「ギベオン」という動詞が生まれた…
7.なおこの後も馬券には絡めずも頑張って重賞で掲示板に乗って馬主孝行しています。偉いぞ。

という流れがあった…みたいです。
まぁ、つまりはウマ娘アプリ稼働で新たな競馬ブームが起きつつあった頃に超大物食いしたので「大穴をこじ開けて特大万馬券」=「ギベオン」という動詞が出来たわけです、おそらく。
ちなみに私は2021年3月10日にDMMゲームになって少し経った後にウマ娘を始めたので、ギベオンした瞬間はまだ競馬に戻ってきていなかったのです。巡り合わせが悪いな私。

金鯱賞の半年くらい後にこんな動画が出来て10万再生も叩き出していて、
大分皆様の記憶に残っているのが伺えます。

でも、何故ギベオンなのか

それから2年近くが経とうとしている2023年1月においても、何故か未だに「ギベオン」は「超大穴からの特大万馬券」として扱われ続けています。
何故だろう、と思って先ず調べたのがこちら。

なんとnetkeiba様には万馬券レース検索がありました。
早速使ってみたら実はグレードレースで単勝万馬券になったのはあれから今、2023年1月に至るまでギベオンだけだったのです。人気薄の馬が勝ったグレードレースは結構あったので意外でしたが。
だったら入れ替わらないよなーとは考えつつこうも思ったのです。
それだけだろうか、とも。

スペースランナウェイ・ギベオン

この言い回しは知り合いのVtuberさんによるツイートの丸パクリです。

こちらがギベオンしたレースの動画になります。
ざわめきが起きてるのも動画名の通り。
よく見ると芝が荒れてて重馬場になってるのも分かります。これが一つ目の幸運。
更に本当は逃げ馬であるキセキ号が横の子にぶつかってスタートダッシュに失敗しているのも分かります。二つ目の幸運。

ウマ娘でもやはり大人気になったサイレンススズカ…のような圧倒的な逃げでは無かったんですが、同じ金鯱賞での逃げ策。
大寒桜の下での重馬場にも負けずに粘って最終直線へ。
松山弘平ジョッキーのムチが飛んでデアリングタクトの末脚が迫る!
…しかしこの時点で観客にも見えていた、間に合わない!
どよめきの中でギベオンが泥臭く逃げ切り!
そしてレース後にデアリングタクトにメンチを切られて撮れ高も獲得。

勝利ジョッキーとなった西村淳也氏へのインタビューがこちら。
ギベオンは彼にとっても初の重賞制覇で大金星になりました。まさに賜物、隕鉄の如くに。
自信があったと断言する通りにびっくりしたという様子ではないですし、
仕上がりが良かったとも彼自身が語っています。

もっと言えば、仮にもギベオンは既に重賞を勝っていた馬なのです。
特に三歳での活躍もあって元々この馬を推していた方も少なくなかった。
しんがり人気の単勝227.3倍は今見ると大分侮られていた、のでは。
奇跡ではなかったのです。キセキは近くにいたんですが。

要は金鯱賞での勝ちは多くの方々の目に焼き付くような、単勝227.3倍という数字以上に強烈なものだった、という結論になるんだと私は思います。
いやまぁそうは言ってもギャンブルでもある以上は二万馬券のインパクトも当然絶大ではあるでしょうけれど。2023年1月現在の重賞単勝万馬券六位に食い込んでもいますし。

ギベオンしたギベオンの今

多分これからもっとでかい重賞万馬券は出る筈です。
21世紀のG1万馬券だけでも六つはありますし、その中には今や名馬と名高くウマ娘にもなったコパノリッキー号がいたりもします。

ですがツインターボ号が「大逃げ」の代名詞として今でも語られるように。
「まさかの大穴勝ち」の代名詞として「ギベオン」の名前が、
これからも残るかもしれないな、残るといいなと私は思うのです。
ウマ娘という三つ目の風に最初に乗れたという三つ目の幸運にも恵まれた馬でもありますし。

そんな彼は今、ターフを去って社台ファームで乗馬としての第二の道を歩みつつあります。北海道千歳市に行けば彼がいますし、何だったら私も貴方も彼に乗れるかもしれない。

そして、出来れば。
私の知らないギベオンした瞬間の空気を。
誰か私に教えてくれると嬉しいな、と書いてこのnoteを閉じます。

きっとギベオンは記憶に残る名馬になれる筈。

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