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音響屋ってどんなビジネス? 宮古島で出会った個性的な社長のお話

「世の中にこんなモノを売っている会社があったのか!?」
「なんて目の付け所の素晴らしい人だ!」
それがその社長に逢った時の感想です。
素直に、驚きました。

私は年間、10回ほど沖縄へダイビング旅行に行くのですが、
そのうちの半分は宮古島です。
宮古島にお気に入りのダイビングサービスショップがあるのです。
夜はそのダイビングショップが経営するゲストハウスに泊まります。
夕食は食べ放題で1000円とリーズナブルです。
その社長とはそのゲストハウスでの夕食でご一緒したのです。

以前から、
「同じダイビングショップの利用客の中に、ものすごく羽振りのいい社長がいる」
という噂は聞いていました。
その人は大阪で、自分一代で築いた会社を経営しながら年間の約半分を宮古島で過ごしているという。
(ということはダイビングだけで年に1千万円くらい使うのかな?)
ゲストハウスに高級ワインを箱単位で大量に寄付して、ダイビングショップ利用客に惜しげもなく振舞っているという。
ものすごく気前のいいお金持ちです。

大阪では日本に数台しかないような巨大な会社に乗っているという。

年齢は50代後半。私と同じくらいですかね。


他のダイビング客から紹介されたその社長は、とてもフレンドリーな人でした。(以下、「社長」と呼びます)
さすがに一年中、ダイビングをしているせいか、日焼けで日本人とは思えない黒さです。
松崎しげるさんくらいの黒さ。

早速、私は社長にどんなビジネスをやっているのかを尋ねました。
噂ではアニメの制作会社とのことでしたが、違っていました。
それは、私のこれまでの人生で、聞いたことがないようなお仕事でした。

どんなビジネスだと思いますか?
・・・・・・・・・・・
なんと、社長の会社が売っている商品は「自分で創った音」でした。

顧客はテレビ制作会社やラジオ制作会社、映画製作会社などなど。
世界的に有名なアニメにも彼の会社の「音」が使われています。

「音が商品になるってどういうこと?」

はい。例えば次のような場面で、あなたはどの音をどんな風に表現するでしょうか?どんな音を想像するでしょうか?

「シンシンと降る雪」の「シンシン」を表現する音
「一枚の紙がヒラヒラと舞い落ちてきた」の「ヒラヒラ」を表現する音

単なる「効果音」に留まらず、それは作品になります。
同じ「シンシン」でも、時代劇で使われる場合と、アニメで使われる場合とでは表現が変わりますよね。
楽しい場面で降る雪と、悲しい場面で降る雪も同じ音ではありません。
彼の会社はその場面を音で表現できるのです。

彼は顧客から抽象的な注文を受け、その顧客が求める、顧客の頭の中にあるイメージ通りの音を創り、提供するのです。

音の創り方には当然、彼の会社の強みである「ノウハウ」「経験」があります。
例えば、剣士が人を斬るときの音は、単音ではなく、複数の音を重ねて造ります。
複数の人の声を重ねることもあります。
高音と低音を混ぜることで狙った音に合成します。
人の声から音を創ったり、音から人の声を創ったりします。

音造りを追求するために、彼の会社は国内に複数の音楽スタジオを所有し、多くの声優やミュージシャンと契約を結んでいます。

おそらく、彼の会社の名前を聞いても、その業界の人以外は誰も知りません。宣伝もしていませんので知名度はゼロです。
ですが、ものすごく儲かっています。

もともとは違う仕事をメインとしていた会社でしたが、どんどんと音響ビジネスにシフトしていったそうです。
選択と集中が大正解となりました。
大阪の会社ですが、全国から引っ張りだこだそうです。

「たかが、音じゃないか」
と、思われるかもしれませんが、
ものすごく良い値で買ってもらえるそうです。
だから社員もたくさん雇用しています。

そして社長は音造りに絶対の自信とプライドを持っています。
技術屋であり、営業マンです。

社長のさらにすごいところは、
自分がほとんど働かなくても会社がお金を稼ぎ続けているという点。
儲かるシステムを作り上げているのです。
だから一年のほとんどを南の海で過ごしていても彼のお金は増えていく。

昔から音響ビジネスは存在していました。
昭和初期の映画は、波の音を小豆(あずき)をザルの上で転がすことで表現していたそうです。
映画初期には音造りは「大道具さん」の仕事でしたが、次第に外注化が進みます。
昔からあるビジネスですからそれを生業とする企業はありました。
だから、社長にもライバル企業は存在していたはずです。
けっしてブルーオーシャンではなかったはず。
しかし、一人勝ちの状態。

どうやって差別化したのでしょうか?
どうやって業界でのし上がっていったのでしょうか?
顧客から絶対の信頼を得ているポイントとは?

もちろん、それは企業秘密ですし、聞いたところでど素人の私には理解できませんし、真似もできませんね。


ワインを飲みすぎて顔を赤くしながら笑っている社長は、
とても気さくで楽しい、愛すべき関西人でした。

私たちはなんと幸運なのでしょう。
日本には、こんなニッチなビジネスでも億万長者になれる土壌があります。
あらためて、「誰もやっていないビジネスには飛び込む価値がある」と考えさせられました。

あなたも是非、詐欺まがいのコンサルや高額塾で
既に飽和したオワコンのビジネスに飛びつかないで
誰もやったことがない、人がきいたら首をかしげるようなビジネスを見つけて、やってみませんか?

今、テレビで取り上げられるような成功者のほとんどが、若いころには「奇人変人」と馬鹿にされていた人ばかりです。

一度しかない人生です。
面白いことに挑戦してみようではありませんか!

今日のお話はここまでです。
最後までお付き合いくださってありがとうございました。

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