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Intel株大暴落!!何で??今後はどうなる??

今回はIntel株について解説したいと思います。最近人気な半導体銘柄の一つであり、高配当銘柄としても有名なIntelです。しかし、2022年7月28日から29日にかけて1日で株価が$39.71から$36.31と約8%も大暴落しました。今回はこの大暴落が起きた原因と今後はどうなるのか、Intel株を買うべきなのかを解説していきます。

①     何故値下がりしたのか?


今回何故Intel株が値下がりしたのか。答えはシンプルで2022年のQ2の決算内容が非常に悪かった為です。具体的にはEPSは市場予想69centsに対して29centでした。1年前の同じ時期では$1.28で、比較すると4分の1以下になります。これだけの大きな乖離は直近8年以上ありませんでした。売上は市場予想は$17.9Billionに対して$15.3Billion、前年と比べても-17%で、売上も市場予想を下回っています。7四半期連続で減少しており、過去10年で最大の減少幅になります。これはコンピュータ部門とデータセンター、AI部門の売上がそれぞれ25%と16%下がった為です。更に年間の売上、EPS予想(ガイダンス)の見直しも行っており、売上は$76Billionだった予想を$65-68Billionへ下方修正、EPSは$3.60から$2.30へ下方修正しています。Q3においては売上が市場予想$19.89Billionに対してIntelの今回の発表が$15-$16Billion、EPSは市場予想$1.00に対して35centsと発表されました。
良い決算報告の前提条件として市場予想の売上、EPS、ガイダンスを全て上回らなければいけませんが、Intelの今回の決算報告では見事にこの3点全てを下回っています。また若干下回った程度ならまだしも、市場予想との乖離があまりにも大きく、絶望的な決算内容となりました。これまでの決算で一番悪い内容とも言われている位です。今回大きく株価を下げた原因はこの決算内容によるものです。

では何故このような悪い決算になってしまったのか?理由は大きく2つあります。先ほど申し上げたコンピュータ部門とデータセンター部門の売上減少です。それぞれの理由を見ていきましょう。
まずコンピュータ部門の売上についてですが、コンピュータ/パソコン需要はコロナのパンデミックを受け2020年に11%、2021年に15%上がり、最後の12カ月は2012年以来最高の需要だったと言われています。しかし2022年の商業用パソコン事業は非常に厳しくなると予想されます。これはコロナによるパンデミックが落ち着きをみせ、需要が落ち込んでしまうからです。更にインフレとリセッション(景気後退)懸念も要因の一つとなっている様です。Intelはこの12カ月間においてパソコン及びその周辺機器の市場は10%下がると予想しています。これがコンピュータ部門における売上減少の背景です。
次にデータセンター部門についてですが、この部門の売上が下がった理由は主に3つあります。
1つ目はIntelのデータセンター顧客が現在の市場状況に合わせて在庫調整を行っている為です。サーバーを販売する業者(Intelから見た顧客)は現在のような需要が読めない状況で部品在庫をそんなに保持したくないという事です。要はこのような経済が弱い状況でデータセンター側としても製品のupgradeや事業拡大に躊躇しているという事です。
2つ目はサプライチェーンの制限によりIntelはイーサネットや電源部品等の確保が難しくなっている為です。未だにサプライチェーンの制限は半導体業界に影響を与えている様です。
3つ目はIntelがSapphire Rapids datacenter CPUsにおいて問題を抱えている事を認めた為です。"the quality bar high,"高いレベルの品質を保つため表面のデザインを変更したそうですが、2022年末まで量産ができず、来年に生産が見込まれているそうです。
これらがIntelの売上を押し下げた主な原因となります。

②     今後はどうなるのか?


そんなIntelですが今後について解説していきたいと思います。これまで長い間GPUの分野においてはNvidiaとAMDの二社が強力なサプライヤーでした。Intel自身もGPUに関しては長い歴史があるのですがあくまでCPUに含まれる一部であり、NvidiaやAMDのGPUには足元にもおよびません。因みにGPUとはGraphics Processing Unitの略で、画像処理装置を意味します。その名の通り、画像を描写するために必要な計算を処理するものです。近年では、画像や映像を利用する機会も増えており、より速く、よりきれいに画像・映像を映すには、GPUが欠かせません。GPUもCPUもどちらも処理装置ではありますが、この2つは、目的や処理をする対象、スピードに違いがあります。CPUの目的は汎用的な処理を行うこと、GPUの目的は高速な画像処理を行うことです。GPUは、内部でコアが連携して動作することで並列処理が行えるため、CPUに比べて圧倒的な処理スピードを誇ります。その差は、行列演算の処理スピードがCPUの10倍ともいわれています。通常コンピュータは、CPUが連続的にタスクを行い、幅広い処理をすることで機能します。しかし、その中で、膨大な単純作業が必要になることがあります。例えば、画像などのデータ処理です。このような膨大な単純作業をCPU1つに任せていると、ほかのタスクが終わるまでに時間がかかってしまいます。そこで、膨大な単純作業を任せるのが、GPUです。つまり、CPUとGPUは、協力してコンピュータを動かしているのです。
GPUの需要・ビジネスはコロナ禍によるゲーム需要及び仮想通貨のマイニング需要が成長した事によりGPUが使用される機会が伸びています。Intelは2017年にGPUの業界に参入する事を公表し、やっと成果が実るところまで来ていますが、かなり遅れている状態です。元々2020年までにはGPUを発売するはずでしたが、それも間に合わず、2021年の発売となりました。
Intelは今年の年始に投資家向けのイベントで、2022年にノートブック、デスクトップ、ワークステーションとして、少なくとも400万個のGPUを出荷すると発表し、2026年までにはコンピュータGPU部門は10Billionの売上になると予測しました。しかしQ2の決算報告では400万個のGPU出荷は絶望的と報告されました。既にArc(IntelのGPU商品名)搭載ラップトップ、データセンター向けのGPUは出荷されましたが、デスクトップ製品はまだ開発段階の為です。IntelはArc A5とArc A7のデスクトップ型をQ3に発売を予定している様ですが、具体的な日付までは発表されていません。
IntelはGPUの発売に苦戦していますが、GPUの市場は大きく数十億ドル規模の需要があると言われています。IntelはGPU市場においてハイエンド・高級品という扱いにはなれませんが、価格設定によってはミドルレンジの市場に食い込むことができるかもしれません。Intelにとっての最大のチャンスはインフレによる値上げでハイエンドGPUに手を出せなくなった需要をミドルレンジの価格帯として獲得できるかにかかっています。2022年は厳しい年になりますが、2023年はこのGPUによってIntelの状況は好転する可能性もあります。

③     Intel株は買いなのか?


これだけ下がったIntel株ですが、買いなのか?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、私は買いではない、と思います。それは何故かというとやはり今回のQ2の決算発表の内容があまりにも悪かった為です。確かに現在の経済状況やサプライチェーンの混乱が成績を下げたのも事実かもしれませんが、それ以上に本質的にIntelの競争力が無くなってきている事が事実としてあるからだと思います。AppleはMacのCPUからIntelを取り除きましたが、Macの新しいCPU M1やM2でも業績は好調です。またパソコン業界ではライバルのAMDが業績好調で、今後数カ月でAMDの時価総額はIntelを追い越す可能性がります。AMDが不振に陥ったとしてもIntelが事業の方向性を変え、革新的な改善を行わない限りはパソコンユーザーがAMDからIntelに切り替えるのは考えにくいとも言われています。
お伝えしている通り、Intelは売上、利益を向上する為には何等かの革新的な改善を行わなければならず、少なくとも今年一杯までは業績不振で、来年発売されるGPU次第という感が否めないです。
これが私はIntel株を買いではないと思う理由になります。


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