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Moderna株暴落‼その理由と今は買い時なのか??を解説します!!

今回はModerna株について解説したいと思います。Modernaは言わずと知れたコロナのワクチンを製造した会社ですが、メッセンジャーRNAに基づく創薬、医薬品開発、ワクチン技術を開発、製造、販売している会社です。メッセンジャーRNAと聞くとわかりにくいかと思いますが、ウイルスのタンパク質を作る元になる遺伝情報の一部を注射する事により、体内で生成されるウイルスのタンパク質に対する抗体などが体内で作られ、ウイルスに対する免疫ができる物です。分かりやすくいうと今までのワクチンはウィルス/犯人を少しだけ体の中に入れ、免疫/警察に犯人の顔を覚えさせやっつけるという物でしたが、メッセンジャーRNAは犯人の設計図を体の中に入れて、体の中で犯人の顔を作成して警察に覚えさせる、というイメージです。メッセンジャーRNAのメリットとしてはワクチンが早く開発できる、効果が長く持続する等といった事です。
そんなModerna株ですが4月15日から17日にかけて約$157⇒$144と約8%も暴落してしまいました。今回は何故Moderna株がなぜここまで大きく値下がりしたのか、今後はどうなるのか、買うべきなのか、について解説したいと思います!!

①     Moderna株が何故値下がりしたのか?


IMAGE SOURCE: GETTY IMAGES.

まず何故Moderna株が値下がりしたのか、それは2023年4月16日にModernaと臨床試験パートナーのMerckがModernaのmRNA癌治療ワクチン「mRNA-4157」(V940)とMerck社の「Keytruda」を用いた、ステージ3および4のメラノーマ(皮膚癌)に対する中期の併用試験のデータを発表した為です。

臨床試験結果は統計的に見ても患者に対して良い結果が出たのですが、市場の期待に応えられる程の結果ではなかった様です。臨床試験結果ではModernaとKeytrudaの併用薬を投与された患者の内、病気の再発や死亡があったのは22.4%に留まり、Keytrudaのみの治療薬を使用したグループは40%の病気の再発や死亡がありました。12カ月無再発生存率(RFS)では併用薬をしようしたグループは83.4%、Keytrudaのみの治療薬を使用したグループは77.1%、18カ月に延ばした場合は併用薬が78.6%、Keytrudaのみが62.2%になりました。いずれにしてもModernaの治療薬を併用した方がKeytruda単独の治療薬よりも良い結果が出た訳です。しかし一部の投資家はもっと良い結果を期待していたのと、早期の商業化に期待していたようですが、これを裏切る形となってしまいました。Modernaの売上と利益は未だにコロナワクチンに大きく依存しており、今年は大きく減少しています。

アナリストはModernaが2022年にEPS$20.12と健全な利益を出していたのに対して、今年はEPSで$2.15の損失と来年以降は$3.52の損失を予想しています。Modernaは、癌、インフルエンザ、RSワクチン等、さまざまな疾患における他のmRNAワクチンの強力な供給ルートを持っていますが、これらの試験は終了までに時間がかかり、結果は不確実なものです。Modernaの利益が損失に転じると、現在の高金利環境では投資家達はModernaの次の成功まで待てないかもしれません。

②     今後はどうなるのか?


IMAGE SOURCE: UNSPLASH

今後はどうなるかという所ですが、大きく2つあります。まず1つ目は製薬会社という事から新薬の開発です。Modernaは直近の2年で約$40billionを売上ましたが、コロナワクチンの市場は減少傾向で、今年は$5billionの売上のみの予想しています。これは前年対比で74%もの減少になり、24年は更に下がると予想されています。その対抗策として新薬を開発しています。いくつかの新薬は既にフェーズ2または3の臨床試験を行っています。因みにフェーズ3の臨床試験が終われば国に承認申請を行います。

具体的には先程も述べた個別癌ワクチンの「mRNA-4157」(V940)です。フェーズ2の臨床試験ではKeytrudaの併用薬を投与する事により再発または死亡のリスクを低減しています。次にフェーズ3まで進んでいるインフルエンザワクチンmRNA-1010があります。しかしこのワクチンはインフルエンザの一部の株に効果があり、効果の出ない株もあるそうで、mRNA-1010の進展は独立した第三者機関のデータ評価次第になるようです。Modernaは承認が得られる前に更に臨床試験を行うかどうか決める予定です。RSウィルス(呼吸器合胞体ウイルス:かぜの一種であり2歳までにほぼ全ての小児が罹患する)に対してはmRNA-1345を開発中です。23年の1月に良い結果が出た様で、アメリカのFDA(Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬品局)に6月までに申請を行う予定です。もし全てが上手くいけばm-RNA1345は2024年のQ1(1~3月)に承認がもらえる予定です。最後に治験用サイトメガロウイルス(ヘルペス)ワクチンm-RNA1647は治験の最終段階に入っており、2024年に承認が得られるかもしれません。まだ他にもフェーズ2、3の治療薬があるようですが、どれも承認が確約されているわけではありません。しかしコロナワクチンの収益減少の補填として、非常に有望な可能性を秘めています。

もう一つはAIの活用です。最近ModernaはIBMと契約を結び、量子コンピューターとAIを使用することによりmRNAの研究に力を入れています。ModernaはmRNAワクチンの開発を行っており、これは従来ワクチン開発よりも早く開発する事ができます。しかしAIは更にこれを早める手助けをします。AIと自動化を使用すれば今まで1カ月30個しかmRNAワクチンの開発ができませんでしたが、1000個にも増やす事ができる様です。AIはより優れたmRNAの配列設計の生成に役立ち研究者の時間を大幅に節約する事ができます。ModernaはIBMのAIモデルであるMolFormerを利用できるようになり、製品候補をより深く理解し、mRNA治療薬を封入する脂質ナノ粒子の完成度を高めることを計画しています。
 

③     Moderna株は買いなのか?

IMAGE SOURCE: UNSPLASH

そんなModerna株ですが、買いなのかどうかというと、個人的には買いませんが、チャレンジしたいという人は買ってもいいかもしれません。お伝えしている通りModernaは現状コロナワクチンでしか収益を得ていない状態で他新薬はまだ臨床試験段階です。そしてこの臨床試験の結果は約束されている訳ではなく待つしかない状態です。確かにmRNA技術はこれまでの様にたんぱく質を育てる必要はありません。更にModernaは最近OriCiro Genomicsという会社を買収しており、彼らの技術を使えば製造効率を30%カットできるとも言われています。しかし、だからと言ってそれほどまで早く新薬を開発する事は出来ず、少なくとも数年はかかってしまいます。これはコロナワクチンの時は緊急対応により早く新薬が開発できましたが、基本的には規制当局はより多くの被験者を治療し、より長い期間で経過をみる事を求められる為です。その為新薬の効果が上手く出たとしても収益化までにはどうしても時間がかかってしまいます。

しかしModernaのmRNA技術が優れている事は確かであり、課題は収益化までに時間がかかるという事だけです。その為長期投資を前提にしているのであれば投資妙味はあるかもしれません。但し直近については売上がコロナ禍よりも大幅に下がっており、新薬がまた開発中という事もあり短期投資という意味ではあまりお勧めしません。いくつかの記事を見ましたが結構みんな長期的には期待している様です。

これが私がModerna株をチャレンジしたい人は買っても良いかと考える理由になります。


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