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Netflix株値上がり!!それでも買わない3つの理由

① 何故値上がりしたのか

2022年7月19日と20日の2日間で株価が$190⇒$216と約13%も値上がりしました。それは何故かというと、2022年Q2の決算発表においてEPSが市場予想よりも良かったからです。具体的には市場予想$2.97に対して報告では$3.12でした。これは昨年と同じ時期と比べて5%も高い数字になります。また、Q2における解約件数予想が200万件だったのに対して、実際には97万件と半分以下で済みました。これが今回Netflixの株価を押し上げた主な要因となります。
ガイダンス・今後の予想としては第3Qで1millionの新規契約者追加を見込み、EPSとしては$2.14を見込んでおります。しかし市場予想は新規契約者は1.8million、EPSは$2.72だった為、市場予想を下回っています。そのため決算内容としては決して良いとは言えませんが、先ほどの解約件数が予想外に少なかった為、株価が上がったという訳です。
では何故Q2での解約件数が少なかったかというと、Netfilxを契約されている方はもちろんご存じかと思いますが、この期間にStranger thingsのシーズン4とOzarkのファイナルシーズンが放映されたからです。いずれもNetfilxのオリジナル番組ですが、Stranger thingsはTHE Netflixと言っても過言ではないです。SFホラーのドラマとなっており、1980年代の小さな田舎町を舞台に、12歳の少年の失踪事件に端を発するミステリーを描く作品です。主役の一人であるミリー・ボビー・ブラウンはこの作品で一躍有名になり今ではハリウッド1の有名女優と言われています。対してOzarkはクライムドラマシリーズで、ミズーリ州のリゾート地オザークで麻薬組織の資金洗浄をしようとする主人公が家族もろとも事件に巻き込まれていく物語です。最終回はそんな終わり方!?まだ続くんじゃないの?という終わりでしたが、基本的には続編の制作は検討されていないとの事です。
私も実場Netfilx大好きで、いずれの作品も見ています。最高に面白いです。もしまだ見ていないという方がいらっしゃったら是非一度見てみてください。
とりあえずこれら二つの番組はNetfilxでしか見られない為、そりゃあ継続契約者茶いますよね、って訳でQ2の解約数が予想よりもはるかに良かった訳です。

② 今後はどうなるのか 

それでNetflixが今後はどうなるかというところですが、まずは日本でもニュースになっていますが、マイクロソフトと広告付き低価格サブスクリプションで技術、販売パートナーとして提携すると発表しました。Q2の決算発表前ではNetflixは当初解約数が2million・200万件を見込んでいました。これはApple TV, Disney+, Amazon prime, HBO Max, Paramount+、等の競合他社の乱立、アカウントの共有、インフレ、ロシアとウクライナの戦争、長引くコロナ禍を見込んでの数値でした。その為Netflixは広告付きの低価格サブスクリプションを提供する事により新規顧客獲得を図っているのです。特にアジアとラテンアメリカ向けは新規顧客獲得見込みの為となりますが、アメリカとカナダ、ヨーロッパにおいては新規顧客獲得というよりも低価格帯のサービスを提供する事で、顧客維持を狙いとしているそうです。
もう一つ別件としてNetflixはオーストラリアシドニーのAnimal Logicという会社の買収を検討している様です。この会社は「Happy Feet」や「The Lego Movies」の制作に関わっていました。この買収によりNetfilxでの最初から最後までのアニメ制作機能を高めると言われています。これまで過去数年Netfilxはアニメ制作に投資しており、今回の買収により世界レベルのアニメスタジオができあがるとNetfilxのVice presidentであるAmy Reinhardは発言しています。NetfilxとAnimal Logicは既に「The Shrinking of the Treehorns」と「The Magician’s Elephant」という映画作成に取り組んでいます。
要は今後はアニメーションにも力を入れていくという訳です。


③ Netfilx株は買いなのか?


そんなNetfilx株ですが、買いなのかというと、私個人としては買いません。その理由はいくつかあります。
・一つ目はこれが個人的にも一番大きいと思うのですが、今後目新しい、注目を引くような作品が見込めないからです。直近ではStranger thingsが大ヒットを記録しましたが、次にリリースされたResident Evil・バイオハザードはNetflixの中で一番最低の記録になっているとも言われています。今後は映画として7月22日にGray Man、8月にUncharted、9月にBlondeが放映され、ドラマとしては8月12日にNever Have I Ever(school comedy-drama)の第3シーズンがリリースされます。特にこのNever Have I Everは人気があったようで、第2シーズンでは2021年7月に70国以上でTop10に入り、7月11日~8月1日の間で132Million viewing hours・再生時間を記録しました。しかしこれはStranger thingsのシーズン4Part1の同じ期間と比べた場合、13.5%程度の再生時間となります。要はStranger thingsでは人気のあったと言われるNever Have I Everの約7倍もの再生時間を稼ぐ事が出来たのですが、それでも結果としては2022年のQ2では97万件もの解約が発生してしまったのです。これはそれだけ競合他社がおり、少なくともStranger things以上のヒット作を出さなければ、解約件数を改善するのは難しい事を意味しています。


・二つ目はMicrosoftと共同で開発している広告付きの低価格サブスクリプションプランです。最近の研究で言われているのはこの広告付きの低価格サブスクリプションプランは新規顧客獲得というよりも既存顧客維持としての役割が大きい可能性があるためです。調査では32%の既存Netflix契約者がこの広告付きの低価格サブスクリプションプランに変更したいという意思があるようですが、Netflixを契約していない人の26%だけがこの広告付き低価格サブスクリプションプランに興味を持っているそうです。その為、恐らくNetflix側としてはこのプランは新規顧客獲得を見込んでの導入検討かと思いますが、新規顧客獲得よりも既存顧客維持としての役割にしかならないという可能性が高いという事です。


・三つ目はドル高という為替状況によるものです。Netflixは現在190以上の国でサービスを提供しており、その国の通貨で売上を上げていますが、決算報告の際等はUSドルにドル転されます。その為、ドル換算する際の為替レートが売上に対しても大きな要因の一つとなります。今回の第2Qではドル高による為替相場により約339millionの売上がドルで見た場合縮小されました。為替と聞くと分かりにくくなってしまうかと思いますが、例えば円安の場合は輸出の方が有利=海外での売上を円転した時に売上が高くなるが、円高になると逆に輸出が不利になります。USドルでも考え方は同じで、アメリカ以外の国で上がった売上をドル転する際はドル安の方が有利ですが、現在アメリカの中央銀行はインフレ対応として金利を上げ続けており、金利が高い所にお金は集まるので、世界的に見てもドル高となっている状況です。ヨーロッパ中東、アフリカの第2Qの売上は-4%と報告されていましたが、この為替の影響を受けていなければ+6%の成長だったそうです。また3Qの売上成長率は5%と見込まれていますが、これは為替の影響を受けた-7%を含めた上での数字との事です(為替の影響がなければ12%位の成長率ということ)。Netflixの売上の約6割は海外(アメリカ、カナダ以外)から捻出されており為替は売上を左右する非常に大きな要因の一つともなっています。


これらが私がNetflixの株を買うべきではない、長期的に見て成長があまり見込めないという主な理由です。色々な記事を読んで思ったのは、確かに昔は動画のサブスクリプションサービスはNetflixが先駆者のイメージを持っていましたが、今となってはライバルが乱立している状態です。またそのライバルは例えばApple TVであれば、iphoneやipad、Macbook等別の本業があります、Disney+はテーマパーク、Amazon PrimeはEC等動画配信はあくまで事業の一つです。対してNetflixは動画配信のみがメインの事業となります。じゃあ動画配信の内容にオリジナリティを感じるかというとそうでもないです。それならば個人的にはDisney+の方がよっぽどオリジナリティの高い作品が多く、Disney+に契約しなければ見れない作品が多いと思います。そしてこれからもそのタイトルは増え続けていくと思います。また、広告付きの低価格サブスクリプションを検討しているとの事ですが、個人的にはこれは本末転倒だと思います。CMを見ない為にわざわざ有料のサービスに登録しているのに、有料だわ、CMあるわだと新規登録しようとは思わないですよね。だからこの低価格サブスクリプションサービスは裏目に出る可能性あると一部では言われています。
Netflixは今後革新的なオリジナリティ作品を配信し続けるか、何か新しい事業を始めなければ今後の株価という意味では期待は難しいかもしれません。


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