ソフトクリームのうえに住みたい
次に引っ越すとしたら、ソフトクリームのうえにしようと思う。
真っ白に広がる地面。足を踏み入れると、雪よりも弱く、脆い。
甘い香りがやってきて、思わず地面をすくい、口に運ぶ。
優しい甘さが口のなかに広がる。
両手両足を広げて白い大地に寝転がると、たとえば雪なら、ふわ、という感触は最初だけで、次第に氷に似た硬さに変わる。
しかしソフトクリームという平野は、硬くなることがない。
立ち上がらない限り、やわらかい感触のまま、果てまで沈みこむ。
徐々に目の前の景色が小さくなり、代わりに私の身体の形をした「ソフトクリームの洞窟」ができあがる。
ここまでくると立ち上がることもできない。
流れに身を任せていると、身体はそのままソフトクリームの反対側に飛び出す。
服が甘い香りと白い水あとに包まれている。そのまま洞窟を逆戻りして、マイホームへの帰路につく。
たまに洞窟の壁をすくい、口に運びながら、愛する我が家へ戻るのだ。
いやー、ソフトクリームのうえに住みたい。