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プレゼント・タスク 〜来月に退職するスズキさんへの送別プレゼント、誰が手配してますか?〜

「第3事業部のみなさまへ
来月退職するスズキハナコさんへの送別品についてのご連絡です。
1人500円を負担していただいて、鈴木さんへの送別品を購入しようと思います。
ご賛同いただける方は、9日までにタカハシ宛にご連絡ください。参加者の人数により予算が決まったら、送別品をリストアップしますので、また皆様のご意見をお伺いしようと思います。」
…こんなメール、貴社では誰が書いていますか?
このあと、返事がない人には個別に意思を確認し、参加者の人数を確定させ、予算を組んで、「3000円 送別会 プレゼント」で検索して送別品をリストアップし、リストアップした送別品候補をみんなにメールして、みんなの意見を調整しつつ最終版を決定し、購入して、ラッピングして、いつどのタイミングで渡すかを上長と相談し、渡すタイミングの日時調整をします。

この作業、誰がやっていますか?

ほかにも、
・4月に部署に異動してきた方の歓迎ランチの日程調整、お店選び、メニューの検討、予約、皆への連絡
・取引先との懇親会に持参する手土産の選定、予算確認、買い出し
・来客へのお茶だし、お茶の在庫管理、湯呑みの洗浄、片付け
・社内部活動のチラシ作り、会場選びと予約、声かけ、活動時のランチの手配
・取引先が自社を訪問する際の案内、ビル入室手続き、アテンド

…それから、新入社員の庶務回り、会議室の手配などなど…。
これらの仕事に共通する点はなんでしょうか。

それは、「やっても大して出世しない」ということです。

こういった仕事をNPT(non-promotable tasks)として、米国の女性の大学教授らが著書"The No Club"で定義しています。
フィナンシャル・タイムズでは、こういった"会社家事" "将来性のない仕事"を、女性は、男性に比べて年に200時間多く行っている、と報道しています(※)。

NPTは、単なる雑務を指すものではありません。
これと反対の意味を持つタスクとして、例えば、「重要な取引先との打ち合わせにカバン持ちとしてとして連れて行く」「経営会議に同席させ、メモ取りをさせる」「出張に連れて行き、取引先からの質問について下調べをさせる」…これらも雑務といえば雑務です。
しかし、「出世につながる」雑務です。
PT=Promotable tasks、というわけです。

いかがでしょうか。
「我々の職場では、NPTは女性が、PTは男性がやってることが多いなあ…」ということは、ありませんか?


The club that teaches women how to say ‘no’ to office housework

弁護士 野村彩(のむらあや

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