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イングランド銀行に学ぶ(1)

BBCが、長年にわたりタブーであったジャニーズ性加害問題を取り上げたことによって、日本のメディアが追従し、一挙に解決してしまった。

経済についていえば、メディアにはザイム真理教による洗脳と思われる情報があふれている。やれ、このままでは日本は財政破綻する、やれ、子孫にツケを残さないために消費増税はやむを得ない・・・

ザイム真理教をマス・メディアでとりあげることもタブーに近い。取り上げた途端に、税務調査が入り追徴課税ということになりかねない。

森永卓郎さんの「ザイム真理教」「書いてはいけない」を読めば、財務省がいかにしてメディアを支配し、洗脳工作をやっているかがよく分かる。

本稿では、「書いてはいけない」にも取り上げられているジャニーズ性加害問題がBBCの報道によって一挙に解決してしまった教訓を生かして、マクロ経済の基本をBBCと同じイギリスのイングランド銀行から学んでいきたい。
今回取り上げるのは、Money in the modern economy: an introduction だ。

1ページ目

1ページ目に主要なポイントはすべて書かれている。
では、詳しく見ていこう。

1.お金=IOU=借用証書

上記の日本語訳は次のようになる。

・貨幣は近代経済にとって必要不可欠なものであるが、その性質は時代とともに大きく変化してきた。本稿では、今日のお金とは何かを紹介する。
・現在の貨幣は借用証書の一種であるが、財やサービスとの交換に際して他の人々に受け入れられることを経済界の誰もが信頼している点で特別なものである。
・通貨、銀行預金、中央銀行準備金の3種類がある。それぞれ、経済のある部門から別の部門への借用証書である。現代経済における貨幣の大半は銀行預金であり、これは商業銀行が自ら作り出したものである。

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IOUとは、I Owe You、の短縮である。「私はあなたに借りがある」という意味だ。IOUでひとつの単語になっている。
つまり、貨幣、お金とは借用証書だということだ。モノではなく情報である。

では次に、貨幣=IOU=借用証書が必要になった経緯をみていく。上から反時計回りに説明が進む。

IOU(借用証書)の必要性
自給自足経済

自給自足経済
誰もが自分で生産したものを消費する。農民はベリーを、漁師は魚を消費する。

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交換

交換 
誰かが他の人が生産したものを欲しがったり、逆に他の人が生産したものを欲しがったりする場合、交換が可能な場合がある。農夫は漁師とベリーと魚を交換することができる。

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借用証書の必要性

借用書の必要性 
しかし現実には、人によって欲しいものは異なる。借用書(後日返済の約束)は、この問題を克服することができる。漁師は、夏にベリーと引き換えに借用書を農家に渡すかもしれない。そして冬になり、漁獲高が上がれば、農家に魚を渡すことでその約束を果たす。

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つまり、農家と漁師がそれぞれの産物を提供できる時期が異なると借用証書が必要になる。

複雑な借用証書の網

複雑な借用書の網 
しかし、多くの人々がさまざまな品目に対して借用書を提出するため、このシステムはすぐに非常に複雑なものとなる。

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借用証書としてのお金

借用証書としてのお金 
お金とは、普遍的に信頼される特別な借用証書である。それは、中央銀行によって印刷された通貨や、人々が商業銀行に預けている預金の形をとることができる。さらに、商業銀行自身にとっては、中央銀行に預けている準備金もまた、貨幣の一種である。

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商品やサービスの種類に関わらず普遍的に利用できるようにした借用証書がお金というわけである。

2.お金の条件

"Money in the modern economy: an introduction"の本文の中で、"What counts as money?"として何をお金とみなすのか、を説明している。そこでは、お金の3つ条件を挙げている。

2.1 価値の貯蔵

The first role of money is to be a store of value — something that is expected to retain its value in a reasonably predictable way over time. 

貨幣の第一の役割は、価値の貯蔵であること、つまり、時間の経過とともに合理的に予測可能な形で価値を保持することが期待されるものであることだ。

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2.2 会計単位

Money’s second role is to be a unit of account — the thing that goods and services are priced in terms of, for example on menus, contracts or price labels. 

貨幣の第二の役割は、会計単位となることである。例えば、メニューや契約書、価格表示など、商品やサービスの価格が表示されるものである。

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すべての商品やサービスを交換できるためには、普遍的な単位が必要となる。

2.3 交換媒体

Third, money must be a medium of exchange — something that people hold because they plan to swap it for something else, rather than because they want the good itself. 

第三に、貨幣は交換媒体でなければならない。つまり、人々はその財そのものが欲しいからではなく、他の何かと交換するつもりで持っているものでなければならない。

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これについては、説明不要であろう。

3.お金の種類

次に、”Different types of money ”としてお金の種類を説明している。

お金が使われる領域で分けると"Broad Money"と"Base Money"の2つがある。それぞれ日本では、「マネーストック」と「マネタリーベース」になる。

マネーストックとは家計や企業が使うお金の領域であり、マネタリーベースとは政府、日本銀行、金融機関が使うお金の領域であり、領域間では直接やりとりはできない。

また、お金自体の種類では、"Bank Deposit", "Fiat Currency(Banknotes, coin)", "Central Bank Reserve"の3つになる。それぞれ日本では、「銀行預金」、「現金(紙幣、硬貨)」、「日銀当座預金」になる。

マネーストックの領域では「銀行預金」と「現金」を使用する。マネタリーベースの領域では「日銀当座預金」と「現金」を使用する。

以上、イングランド銀行が発行した"Money in the modern economy: an introduction"をもとにして、お金とは何かを見てきた。

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