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【コラボレーターの仕事術】異なる価値観を尊重できる文化を育む。循環型社会を目指した、「ヴィーガンファッション」 ラヴィストトーキョー株式会社代表取締役 唐沢海斗

今回は、「ラヴィストトーキョー株式会社」の唐沢さんにお話を伺いました。

唐沢さんは、現在動物由来の素材を一切用いない「ヴィーガンファッション」の事業を手がけられています。「アップルレザー」という、りんごの皮で作られたバッグなど特徴的な商品だけでなく、持続可能な社会への貢献をビジョンとして掲げられています。

またご自身の原体験から、異なる価値観を受け入れられる風土を育もうとされている唐沢さんに、今の事業を始めたきっかけや、失敗からの立ち上がり、これからの展望について語っていただきました。

自分の原体験から、世の中に受け入れるべき価値観があることを知ってもらおうと思いました


インタビュアー)
今の「ヴィーガンファッション」の事業に至ったきっかけを教えてください。

唐沢さん)
2018年に「ヴィーガンファッション」のブティック事業を始めました。学生の頃、インディアナ州の大学に通っていて、お付き合いしていた方が突然ヴィーガンになって、最初は全く理解できずむしろ否定的でした。

卒業後、北カリフォルニアにあるパソナのアメリカ法人に就職しました。そのエリアで仕事をしていると、改めて日常的に「ヴィーガン」に触れる機会が多くなり、その頃から「なんでこんなヴィーガンは浸透しているの?」と意識するようになったんです。

そこで、シリコンバレーに住んでいる人たちが「ヴィーガン」のような価値観を受け入れていることに、二つの仮説を持ちました。一つは、そこに住んでる人たちが社会問題や新しい文化(ライフスタイル)に対してよりオープンマインドであること、もう一つは、たとえ今はまだニッチなサービスでもインフラとして一定数普及していくことで、競争原理が起こり、自ずと良いサービスが顧客に提供されていくという好循環が起きているということです。そして、「ヴィーガン」をコンセプトに異なる価値観、多様性を自然と受け入れられる文化を東京から発信するぞと決意し、2018年に帰国しました。

また当初は業界の知識や経験はゼロだったので、まずは海外のヴィーガンファッションブランドを輸入して売り出すことにしました。ただ、結局は事業がうまくいかず2019年に一旦サービスを辞めてしまいました。当時は、都心を中心にちほらと盛り上がってきている感じでしたが、マネタイズのところで厳しかったんです。

ただ、自分たちもこれまでの事業経験を通して、ヴィーガンレザーの業界についてより理解を深めることができました。今の植物由来のヴィーガンレザー「アップルレザー」に辿り着いたのは、そのおかげです。

インタビュアー)
一回事業を畳んでから、再度奮起したのはどういう思いがあったからでしょうか?

唐沢さん)
いつか波がくるからまだいける!というよりは、自分の原体験が大きく関係しています。元々、ヴィーガンをきっかけに「日本人の保守的な価値観にイノベーションを起こしたい」そんな想いで立ち上げた事業だったので、まだ何もできていないじゃないかって思ったんです。

自分が恥ずかしいくらいに閉鎖的な人間だったからこそ、自分の原体験を反面教師にまだ諦めきれない思いが強かったんでしょうね。

失敗と改善を繰り返し、事業に対する葛藤から生み出したのがアップルレザーでした


インタビュアー)
2018年で一度どん底を知って、どういう点を改善したんですか?

唐沢さん)
ブティック事業の時はオンラインストアから小さく始めたんですけど、お客様に「物が見える場所があったほうがいい」と言われてすぐにショールームを作りました。ただ、しっかりと集客の基盤ができていないのに、高級住宅街にお店をオープンしてしまいました。お客様の声は神様だと思っていたので、安易に固定費をあげる決断をしてしまったのは反省点でしたね。

ただ、自分たちもこれまでの事業経験を通して、業界(ヴィーガンレザー市場)の勉強をしていきました。今の植物由来のヴィーガンレザー「アップルレザー」に辿り着いたのは、そのおかげです。

動物性ではないヴィーガンレザーは合成皮革や人工皮革が一般的でしたが、原料は化石燃料です。いくら動物由来の素材を用いない「ヴィーガンファッション」だからといっても石油由来(プラスチック)製品を販売することに抵抗がありませんでした。

そんな中で出会ったのが、この「アップルレザー」だったんです。リンゴ由来の成分は、20%~30%ほどですが、これまでの100%が当たり前だった石油由来の合成レザーと比べると、大きな進歩だと思っています。また、原料のリンゴは、産業廃棄物として捨てられていたリンゴジュースの絞りかすなので、フードウェイストのストーリーにも共感してくれる方もたくさんいるんです。まさに、動物にも環境にも優しい最適なソリューションだと自負しています。

インタビュアー)
実際、何度もチャレンジして凹むことも多いと思いますが、どう奮い立たせましたか?

唐沢さん)
なんとか奮い立たせることができているのは「強い原体験」だと思います。壁に打ち当たったらいつも、自分の原体験に戻って「なんで自分はこの事業をやっているんだっけ」って考えるんです。僕自身が取り組むべき理由がなかったら、当初持っていた「かっこいい」起業のイメージと現実とのギャップにすぐ辞めていたと思いますから、、、笑

意外と地味な作業も多い、0から1を立ち上げるって本当に大変ですよね。

あとはクラウドファンディングなどをやると、応援してくださる方も増えていって、期待に答えたい、理想の未来を一緒に実現したいなという気持ちで頑張れているのかな。

「新しい世界の想像力を育む」循環型の社会実現へ


インタビュアー)
これからのビジョンを教えてください。

唐沢さん)
僕たちのビジョン・ミッションとしては、「新しい世界の想像力を育む」ことです。最初の会社は「ライフスタイルの意義をデザインする」というミッションだったのですが、なんとなく自分達の価値観の押し付けみたいな印象だったので、どちらかというと違いでも受け入れられて楽しめる文化とか雰囲気を育みたいという想いで、もうちょっと柔らかいミッションへと変化させました。

また僕たちは商品を売るというより、想いや世界観自体を商品にしたいと思っています。世界観を第一に優先することで、必要な人に必要な分だけ届けられる仕組みができると思っています。従来の大量生産、大量消費は避けないといけませんからね。他には、配送の際に、土にかえる梱包パッケージを利用して、新しい体験も届けたり、植樹団体に寄付できるポイントの導入もしています。いつか、循環型社会の実現を目指す僕たちの強い想い(取り組み)が、他の企業の模範や誰かの行動を変えるきっかけになれば、それほどに嬉しい事はありませんから。

一同)
ありがとうございました!

▼ワクセルコラボレーター 唐沢 海斗さん

<プロフィール>
ラヴィストトーキョー株式会社 代表取締役

<経歴>
1991年生まれ。米国インディアナの州立大学にてアントレプレナーシップとヒューマンリソースマネージメントの学位を取得後、PASONA NA INC.のサンノゼ支店に勤務し新規事業開発を経験。帰国後、ヴィーガンファッションのブディック事業で起業するも事業は軌道に乗らず廃業。それでも諦めきれず、再び起業を決意。

廃業りんごから生まれたアップルレザーなどの植物由来のレザーアイテムブランドを展開中。

■代表作・主な実績
・日本経済新聞、ライブニュースイット、あさチャン
・「AMP」「AERA」「FORBES」など

■公式ホームページ、SNS等
公式ホームページ

Instagram


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