デビューアルバムにして歴史的名盤”Music From Big Pink”の裏側!The Band編③ -チナバナ-
このnoteはルーツミュージックバンド『wabisabi 』によるポッドキャスト番組
『音楽オタクのちなみに噺 -チナバナ』を文章で楽しんで頂こうという場です。
この番組では主に60年代70年代の音楽シーンにまつわる物語やアーティストの裏側をお話ししています
今回は、The Bandのデビューアルバムにして、もはやロックの歴史的名盤"Music From Big Pink"について。
まずレコーディングについて。
今だとバンドでレコーディングスタジオ借りてレコーディングするとなると、まずドラムから、次にベース、ギター、キーボード、歌みたいに順番に1人ずつ録音していくことが多いですね。
最近ではDAWっていうパソコンのソフトで音楽を作ったりもできますね。
でもこのThe Bandの時代は全く違います、基本はボーカルもバンドも”1発録り”、いわゆる"せーの"で合わせて録音。もうライブですよね。
THE FIRST TAKEとか流行ってますが、昔はそれが普通でした。
The BandはまずNYのA&Rスタジオでレコーディングします。
ちなみにこのスタジオで、クインシージョーンズの”ソウルボサノバ”、スタンゲッツとジョアンジルベルトの"ゲッツ/ジルベルト”、ポールサイモンの”時の流れに”とかも録音されてます。
そんな一流スタジオで、良い音で録りたいThe Bandのメンバーは、スタジオのスタッフに言われた通りにセッティングします。楽器の置く位置、遮音板を立て、ピアノに毛布をかぶせて、マイクのかぶりを出来るだけ少なくします。
これでヘッドホンしてリハーサルをしてみると、こんな「クソみたいな音じゃ出来ねえ」ってなるんですよね笑
そこでどうしたかと言うと、自分たちのやり方でやらせてくれと、遮音板を退けて、楽器の位置を変え顔を見合わせて、レコーディングに望みます。
こんなマイクの被りも無視したやり方で良い音が取れるはずない、エンジニアはそう思っていたみたいですが、やってみるとエンジニアも信じられないくらい、素晴らしいサウンドが録れたのです‼︎
The Band流、Big Pinkサウンドですね。
ちなみにこのスタジオ当時、4トラックレコーダーなんです!!
今では音楽制作する時に100トラックくらい平気で使うのに、4トラックなんて有り得ない。
しかもThe Bandのメンバーは楽器が5人で歌うのが3人、単純にマイク足りないんですよね。
"The Weight"はリボンヘルムのボーカルとドラムをマイク1本で録音したみたいですね。
今だと考えられないですね、ドラムだけでもマイク数本立てるのが当たり前なのに。
そんな感じもじっくり聞いて欲しいですね。
ちなみにジョージハリスンの”All thigs must pass”という曲は、この”The Weight”をオマージュして、The Bandのリボンヘルムが歌うならっていう想定で作ったみたいです!これも合わせて聞いてみるとより面白いので是非。
ちなみにこの曲もライブでやったりカバーされたりしてるので色んなバージョンがあります。イントロもそれぞれ違うので聞き比べしてみるのも面白いかも。
Last Waltz ver.
カバーならこれが間違いなくオススメです‼︎
Aretha Franklin & Duane Allman
(ちなみにこの3パターンのThe Weightイントロをポッドキャストの方ではギターで弾いてます、スライドギター難しかった…)
このアルバムの”Chest Fever”ていう曲もオルガンのイントロが印象的です。
このイントロはバッハの”トッカータとフーガ”をモチーフにkeyのガースハドソンが作ったみたいです、ガースは教会音楽ゴスペルとかのルーツもありますね。
"バッハが砂利道を歩いてるみたいなイメージ"って言ってましたね。素敵な表現です。
あとこのアルバムのラスト ”I shall be released”っていうリチャードマニュエルの切ないボーカルがめちゃくちゃ良いバラードがあるんですが、作曲はボブディランなんです。
のちに本人もこの曲をレコーディングして出すんですが全然違うverなので、聞き比べてほしいですね。
これを聞いてこのアレンジにしたThe Bandもさすがですね。
さらにこの曲をもう一度よく聞いて欲しいんです、特にスネアの音。この音は普通に叩くんじゃなく、スネアの裏側のバネ、スプリングを指ではじいているらしいんです。ええ音してます。
ドラマーの人は是非一度試していただきたい。
バラードで使えるかも。
ここからマニアック過ぎて、ポッドキャスト本編ではカットした話なんですが、皆さん、カッティングエンジニアってわかりますか?
今で言うマスタリングエンジニア、最終的にレコードとかCDにする段階で音を調整する人ですね。
そのカッティングエンジニアの匠にボブラドウィグという人がいます。(この名前にピンと来る人は相当のマニアですねw)
スティーリー・ダンもエリッククラプトンもレッドツェッペリンもやってます。最近ではダフトパンクのランダムアクセスメモリーズ(グラミー賞受賞)もこの人です。 ちなみにこの人のカッティングしたレコードには”RL”って刻印されるんです。
でこの名匠ボブラドウィグがが今まででもっとも心にに残った作品はこのザ・バンドのデビューアルバム"Music From Big Pink"なんですって❗️
でもこのアルバムのカッティングは違う人なんです。
実際に発売されたのは違うんですが、このスタジオで録音した5曲をレコード会社に聞かせるためのテストプレスでカッティングしたのが、若かりし日のボブラドウィグなんです。
それでレコード会社のOKが出て、残りの曲を録音をすることになったんです。だから幻のテストプレスなんです。このテストプレス聞いてみたいですね。
ちなみに2番目に心に残ったのが、The Bandの2ndアルバムなんだとか。
ですがその2ndアルバム発売前に、ロック史の最残る伝説の”ウッドストックフェスティバル”に出演するので、その話をまた次回したいと思います。
今日も皆さん明日に使えない音楽の予備知識をつけて脳みそのキャパシティ狭くなりましたでしょうか?
我々の目標は皆さんの頭の中をルーツミュージックの無駄知識でいっぱいにして、全国に仲間を増やしていこうではないか、と言うことですので。
また次回もお会いしましょう♪
ルーツミュージックのあの日を定点観測
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番組内でのBGMもwabisabiで制作してますのでその辺りもお聴き頂けると嬉しいです。
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