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ニューオリンズサウンド⁇ミックス違い⁇ -チナバナ-The Band編⑥

このnoteはルーツミュージックバンド『wabisabi 』によるポッドキャスト番組
『音楽オタクのちなみに噺 -チナバナ』を文章で楽しんで頂こうという場です。
この番組では主に60年代70年代の音楽シーンにまつわる物語やアーティストの裏側をお話ししています

前回はザ・バンドの2ndアルバム 通称"ブラウンアルバム"についてお送りしましたが、ザ・バンドはそれから色々なライブにも出演します。
一つはフェスティバルエキスプレス。
ジャニスジョプリンやグレイトフル・デッドなどのアーティストと一緒に特別列車でカナダを回るライブツアー。DVDも発売されてますね。
ザ・バンドのリックダンコとジャニスジョプリン、そしてグレイトフル・デッドののジェリーガルシアらが列車の中で、楽しそうにセッションしてるシーンとかもありますね。


さらにビートルズの出演で有名なハリウッドボウルショウにも出演します。
この時の前座がまさかの、マイルスデイビス!
ビッチェズブリューていう革新的なアルバム出したあとです。ライブ後にロビーロバートソンはマイルスに声をかけられたそうです。
「今日の客は何もわかっちゃいない。でもお前らは上手くやれよ」

その後、1970年"Stage Fright"という3rdアルバムを発表します。意味はステージ恐怖症。
それを敢えて、ステージ上で録音するという実験的な試みもします。ウッドストックフェスなどライブの効果もあってか、このアルバムはザ・バンドの中で最高の全米5位まで上がります。
この時のレコーディングエンジニアが、トッドラングレン。

素晴らしいアーティストなんですが、この時はレコーディングエンジニアで。ちょうどトッドが前にやってたバンドが上手くいかなくて、マネージャーのアルバートグロスマンに拾われてエンジニアをすることになったんです。

ちなみにこのアルバートグロスマンはジャニスジョプリンのマネージャーもしていて、ジャニスの名盤パールのプロデューサーをトッドラングレンが任されたんですけど、ジャニスと揉めて降ろされたみたいです。

で発売された3rdアルバム、レコードには
レコーディングエンジニア:トッドラングレン
ミキシングエンジニア:グリンジョンズ
って表記されてるんですが、実はこのアルバムの中に2人のミックスが混ざってるんです。

よく聞いてみると違いがわかるかなと。
今のサブスクにあるやつは、トッドラングレンとかグリンジョンズって表記されてるかもしれません。元のレコードはされてないんですけどよく聞くと特にベースの音が違う感じがするんですよね。こんな風にエンジニアによる違いを聞いてみるのも面白い聴き方ですよね。


そして1971年4thアルバム"Cahoots"。
アラントゥーサンがホーンアレンジで参加するんです!
このアラントゥーサンていう人はニューオリンズサウンドには欠かせません。自らアーティストで、さらに、ボズスギャックス、ドクタージョン、ミーターズ、リトルフィートなどのプロデュースもしています。近年ではエルビスコステロと共作をしたり、中島美嘉の作品に参加してるそうです。

このアルバムを作っている時にロビーロバートソンがよく聞いていたのが、リードーシーの「Yes,We Can」というアルバムで、これのプロデュースをしていたのがアラントゥーサンだったのです。そして新しいアルバムのホーンアレンジを頼もうと連絡したそうです。リードーシーも最高です。バックバンドはミーターズです。

ディキシーランドジャズから派生したニューオリンズの音楽は、陽気なリズムに特徴があります、いわゆる「セカンド・ライン」というリズム。
セカンドラインとは、お祭りや葬式のパレードのブラスバンドの後ろで、空き缶や鍋の底を叩いたり、踊りながらついてゆく人々の音のことなんですが。

これはドクタージョンが亡くなった時のパレードなんですが、こんなに陽気に故人を送るって素敵だなと思いますね。

そしてセカンドラインの代名詞といえば、ドクタージョンのこの曲じゃないでしょうか。

ゴキゲンなやつですね。

ちなみにカフーツの次に出すライブアルバム「Rock of Ages」で、マービンゲイの”Baby don’t you do it”を改題して”Don’t do it”として出すんですが、これもニューオリンズ風味にアレンジしてますね。このライブアルバムもアラントゥーサンがホーンアレンジです。

原曲の方が軽やかでソウルな感じですね、この聞き比べも面白いですね。

今をときめく星野源さんもニューオリンズサウンドやってますね。

その後ロックンロールカバーのアルバム、"Moondog Matinee"、後期の名盤 "Northern Lights,Southern Cross"
ラストスタジオアルバム "Islands"
を出します。

そして最後に”ラストワルツ”というとても豪華な解散コンサートを行います。
豪華ゲスト陣、それにマーティンスコセッシ監督での映画化、という華々しい最後ですが、デビューから10年未満でなぜ解散になったのか、そのあたりの話をして次回で”The Band編”を締めくくろうかと思います。

今日も皆さん明日に使えない音楽の予備知識をつけて脳みそのキャパシティ狭くなりましたでしょうか?
我々の目標は皆さんの頭の中をルーツミュージックの無駄知識でいっぱいにして、全国に仲間を増やしていこうではないか、と言うことですので。
また次回もお会いしましょう♪

ルーツミュージックのあの日を定点観測


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時には楽器を使っての解説もします。
番組内でのBGMもwabisabiで制作してますのでその辺りもお聴き頂けると嬉しいです。

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