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目力

眼光が鋭い方ではない。ガン見するのもされるのも、苦手な方だ。不躾な視線、というのは確かにあって、失態を恥じてる人を凝視するなんて事は、ちょっと出来ない。小馬鹿にしたような、見下す様な、探るような、そんな目も嫌いだ。自分にも、他人に向けられたとしても、嫌な目付きだと思う。逸れるけれど、警察の人は、人混みの中のスリの目付きにすぐ気付くんだそうだ。「スリ眼」という独特の目付きをしてるらしい。盗むタイミングを計ってる目付きとか顔付きなのだ、嫌な目付きに違いない。

コロナ対策が緩和されたが、私の周囲のマスク装着は、変わらず解かれていない。マスクを付けた顔というのは、目しかない。だからここ数年で、目の表情により一層気持ちを置く様になった。目だけでもわかる。くたびれ加減、率直に向き合っているか、集中してるか。目の輝きや、目の周りの優しい皺、素直に澄んでいる事からは、安心や面白味を得る。

ジブリの「もののけ姫」で、「曇りなきまなこで見定めよ」というセリフがある。物語の筋や細かな事はすっかり忘れてしまったけど、このセリフだけはずうっと覚えている。曇りなきまなこ、というのが良い。

年齢や性別に関係無く、信条や気質も色々であっても、「曇りなきまなこ」で眺めたい。それには曇りの無い己である事だ。心の内はわからない?、いや、そうではない。悪い気持ち、嫌な企みは、話さずとも露呈している。目は心の窓だとか、目は口ほどに物を言う、と言うのは本当だ。真っ直ぐ見つめる先の瞳が澄んでいたら、それだけで幸せな気持ちになれる気がする。

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