からんという音


目の前にある道だけを
歩いて行くのは適当じゃない
無理とわかってても空へ
無駄とわかってても戻る
それがあなたのためだと私は思う

向かって行ってあなたに会うと
きっと適当じゃないことになる
だから道を変えるよ、こちらで
あなたはそのままの道を

あなたから逃げるのではなく
あなたに向かって行く為に
わたしは横道にそれて茂みの中で
あなたが過ぎるのをじっと見る

物理的に向かった時に
あなたがもういなくても
あなたが幸せならばそれで
あなたと会わなくてもいいのだと
あなたに言わずにひっそり思う

何処にいても
いつであろうと
ふとしたことで思い出すだろう
常にあなたがいるわけじゃなく
ふとしたことであなたを見つける
心の奥底 あなたを思って
グラスの氷の溶けるのを待つ
からんと言う音があなたに聞こえないように
溶ける氷にあなたが泣かないように
あたたかい水をあなたが恐れないように
あなたに届かないところで待つ



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