明日

映画やテレビの物語で見た不幸を
自分と全く関係のないところで傍観することは
当然の権利としてあると思っていた
もしもそんな災難に見舞われたなら
俺はそう それまでの主人公達に倣い
「俺に明日はない」なんて呟いてみたり
道にへたり込んでみたりして
同情をかってみよう なんて悪戯に考えていたよ


「俺に明日はない」?
誰に明日があるって言うんだ
本当に終わりそうな時は
へたり込むことなんて考え付かない
ぼろをまとったまんまの身体で どこへともなく歩き続けて
気がついた時はもう遅く 本当に終わっちまってんのさ

「俺に明日はない」?
誰にも明日なんてありはしない
そして明日なんていつでもそこにある
ただちょっと寂しい本当のこと
明日は常にそこにあって
それは俺がいなくても同じことで
「明日に俺はない」だけなのさ



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