ちょっと演じてみようと思うのだが


指先のね
赤い部分がぼやけて見えるよ
眼鏡を外してはいけないんだ
もしかして
この身体は無いんじゃないかって
そう思うことがあるから

だから
精一杯見せようとする
誰も居ないのに ぼくは此処に居ると
居る人のように見せるのさ
居る人なんだろうけれど

此処でこの影を疑っているぼくは
それでもきみの髪の色を疑うことは無いよ
そういった矛盾を偽装するところから言って
自然な世界を崩して見せようとしているのかもね
その 崩して見せようとしていることがもし
全くあり得ない絵空事だったとしても
ぼくはきっとその絵の中に生きている人なのだから
存在は嘘ではないと思うよ
見せることには成功している

ただ『見せたぼく』が消えてしまうだけさ
何の弊害もない 今のところは


だからきみに尋ねよう


「  ちょっと演じてみようと思うのだが
   如何だろうきみは
   『演じるぼく』を認識するかね?  」



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?