私の知らない間に好きな作家が亡くなっていた話。

渡辺家では書籍代は小遣いと別というルールがあった。
だから、私は小・中学生のころ、近くの本屋でよく本を買ってもらっていた。

今ぱっと思い浮かんだ、当時買った本は「相対性理論入門」という本で、小学5年生のとき。
当然数式がわかるはずもなく、最初の20ページまでしか読んでいない。
だけど、少年ながらに賢い気分になったのを覚えている。

そんな年齢の割に変な本を買いたがる私だったが、中学の頃はホラーにハマっていた。
角川ホラー文庫の新刊が発行されるたび、手当り次第買ったのを覚えている。

さて、ここからが本題なのだが、私の好きな作家に吉村達也先生がいる。
吉村先生の特徴はホラー×ミステリー、そして人間の憎愛の表現である。
単に貞子的な「恨みを持った髪の長いお姉さんがテレビから出てくる」のではなく、
「そもそも人間って幽霊じゃなくても怖くね?」みたいな描写をしてくる。

そんな吉村先生は2012年に亡くなっていた。
なんと8年も前に。60歳という若さでである。
そしてこの事実をここ最近知ったのである。
これにはショックを受けた。

これは私の趣向の話なのだが、吉村達也先生の本が何がいいかって、文章のリズムが良い。
文章というのは言葉で構成されるが、言葉はもとより発音が前提にあると思う。
要は文章は音楽的な要素があるのである。

そして、私にとって文章のリズムが良く、体に染み渡るのは未だに吉村達也先生の本だけである。

1:たまたま行った本屋で先生の本を見つけて、読んでみたらやっぱり面白い。
2:検索してみたら亡くなっていて、ショックを受ける。
3:遺作である「ヒマラヤの風にのって」(がんの闘病記)という本を読み終えて、文章を書いてるナウ。

世の中、ベストセラーや流行りの本があるけれど、自分自身が本当に良いと思う本に出会えたことはとても幸せなことだと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?