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ワンダフル通信<2021.05.26>

「Sundayカミデの本当の勉強の話」



西山短期大学。

西山はせいざんと読み、仏教が主たる短期大学だった。

隣には、この学校を経営する国宝指定の光明寺。

裏には、修行僧の人達が暮らす宿舎。


慈悲の精神なのか、受験したら、決して誰も落とさない短期大学だった。


入試の日、寒空の下、西山短期大学の校門を通る時、お坊さん達が落ち葉を掃除しながら、受験生達に、おめでとうと声をかけていた。


今から、試験を受ける僕達に早めのお祝いを、優しい笑顔でくれたのだ。


入学して、しばらく経つと、誰も落ちないので、多種多様な人達がたくさんいる事に気づいた。


後に、黒ちゃんとなりテレビに出る黒川君もそのひとりだ。 

そして、仏教を純粋に学びたい人。

セクシー女優としてデビューしている人。

ヤ◯◯の息子、娘。

甲子園に出る予定だった人。

虚言癖を治したいと思っている人。

立命館をはじめ、名だたる大学に受かっているのに、この学校に入学した人。

高校バスケ日本代表候補になっていたのに、事件を起こして以来、ずっとアルコール中毒な人。


とにかく、色んな人達がいた。


僕達は、この学校を最後の楽園と呼んでいた。

それは、楽しいとか、楽をすると言う事ではなく、やっと純粋に勉強が出来る場所に辿り着いたと言う意味だった。


月曜日は、朝から全学年が、隣の光明寺の広い境内に集まって座禅を組む。僕達は、次第に腹式呼吸が出来るようになり、集中力を手に入れていった。


時に、警策と言う木の棒で肩を叩かれて。

僕達は、とにかく勉強をした。平安時代の難解なひらがな文字も、そのうち普通に読めるようになっていった。

さらには、論文、ディベートなどの、知識を他の人達と共有して話し合ったり、意見を述べる授業もかなり多かった。

夫婦別姓の事も、この時、教授指導のもと、僕達は存分に話し合った。そして、自分の意見を論文として発表した。

男女平等や、差別など、仏教を通して、僕達は、とにかく学んだ。

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