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地方競馬の栄枯と名古屋競馬場の移転について

2日続けて競馬の話。
名古屋競馬場が3月11日をもって一旦閉場。弥富市に移転して4月にオープンします。

昨日お話しした、チューリップ賞や弥生賞は中央競馬の開催。一方名古屋競馬場は地方競馬と呼ばれている地方自治体(今回の場合は愛知県・名古屋市・豊明市からなる一部事務組合)が運営するものです。

近年の競馬場の新設は非常に珍しく、おそらく1996年に盛岡競馬場が移転して以来実に26年ぶりの開場。
反面、バブル崩壊後は2001年の大分県中津競馬場の廃止をきっかけに全国の競馬場がなくなっていきます。
一覧にすると
2001年 大分県中津競馬場
2002年 島根県益田競馬場、新潟県三条競馬場
2003年 山形県上山競馬場、栃木県足利競馬場
2004年 群馬県高崎競馬場
2005年 栃木県宇都宮競馬場
2006年 北海道岩見沢競馬場
2008年 北海道旭川競馬場
2009年 北海道北見競馬場
2011年 熊本県荒尾競馬場
2013年 広島県福山競馬場
よくもまあこんなになくなったもんだ。

覚えているのは熊本県の荒尾競馬場です。仕事の九州出張が重なりラストデーに僕も参加しました。それはもう大変な人出。ごった返す場内でファンの高齢男性が言ったのです。

「お前たちが普段から来ていれば、荒尾はなくならなかったんだよ。」

賛否両論あるかと思いますが、ファンや関係者の本音でしょう。ともあれ完全に斜陽産業でした。

平成後期に入り、徐々に風向きが変わってきます。復活の恒例として取り上げられるのが高知競馬場です。ハルウララのいた競馬場と言えば覚えている方もいるのではないでしょうか。
その高知競馬は2008年度の売上が39億円弱。それが2021年年度は854億円と20倍を超える伸びをみせています。
その要因は
・通年のナイター開催
・中央競馬と同じ馬券購入システム(PAT)での販売
・ネットでの映像配信
・巣ごもり需要
と言われています。
そして2022年には1開催(6日間)での売上レコードも記録。全国の地方競馬13場の2020年度(前年度)売上ランキングでも7位。勢いが止まりません。

高知の他にも帯広や笠松など、廃止直前まで行った競馬場も今は売上を伸ばし危機的状況は脱しています。
競馬場の廃止が続く2000年代には「地方競馬は消滅する」とも言われていただけに、感慨もひとしお。名古屋競馬場の移転が成功すれば、投資マネーが競馬に向く可能性も大きくなります。4月のオープンを心待ちにしたいと思います。

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