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地名表記変更からオデッサ作戦は地球連邦軍の反攻作戦だったと思いを馳せる

キエフからキーウに

4月からウクライナの首都キエフの日本語における呼称を「キーウ」に変更すると外務省が発表しました。キエフはロシア語の音に基づく呼称であり、それをウクライナ語に基づく音に変更するということです。

これに近い例は、ウクライナと同じ旧ソ連の「ジョージア」でしょうか。以前日本ではロシア語読みのからくる「グルジア」と呼んでいましたが、2015年よりジョージアと改められました。
ラグビーでは特にジョージアではサッカーよりもラグビーが盛ん。なぜならラグビーならロシアに勝てるから。特に強いスクラムは世界中のラグビー強国を苦しめて、強豪クラブにもドンドンプロップを輸出しています。ワールドカップの常連でもあるので、表記が変更されたときに慣れるのに戸惑った記憶があります。

東アジアにおける漢字表記と読み

ロシアの旧ソ連国家への侵攻とは別に「固有名詞は現地読みを尊重する」という動きはこの30年ありました。
日本では同じ漢字を使う中国や韓国と呼称についてすり合わせを行ってきたのが、この30年の歴史とも言えます。
1998年より韓国の大統領を務めた金大中氏について、大統領就任時にはメディアは「キム・デジュン」と呼びました。しかしそれよりも25年前の「金大中事件(活動家だった氏が東京で拉致され軟禁された事件)」の際には「キンダイチュウ」と呼び、今でもこの事件は「キンダイチュウ事件」として扱われています。

基本的に前田も「現地読みを尊重」という流れには賛成で、そりゃ話通じやすいほうがいいでしょって思っています。ただし、今のようにインターネットがない時代に紙のみで培われた呼称を今になって変更するのはどうかと思ってしまいます。
韓国語で言えば、歴史の教科書に登場する「高句麗」「新羅」「百済」は今はコグリョ、シルラ、ペクチャとルビを振られることも。そもそも現代人の感覚では新羅をシラギと読むのも固有名詞特別ルールみたいなもんですが、それで何百年もやってきた。今この読みを変更するのはやりすぎだと感じてえいまいます。

もっと深刻なのは中国の地名です。
北京、上海などの比較的新しい地名は現地読みに近いくてもいいのですが、んじゃ黄河とか成都とかをホワンホーとかチェンドゥって読めって言われたら
三国志どうすんだよ!
ってなります。文学の破壊です。

政治的駆け引きとしての呼称

中国のことをまれに日本語で「支那」と表現することがあります。支那そばとか言うでしょ。これって中国最初の統一王朝である「秦」のことをインドなどでシナと呼んでいたことから広まった言葉。英語のChinaももちろんここから来ています。
日本では江戸中期から一般的に使用され始め、漠然とした中国をイメージする言葉として使われていましたが、蔑称として用いられるケースが良くあったため戦後は使用が制限されるようになりました。
20世紀初頭の中華民国誕生の際に日本が「支那共和国」としていたのを中国側から指摘を受けて「中華民国」とした歴史もあったりと、呼称をめぐる駆け引きは今も昔も変わりません。

オデッサ作戦

黒海に面するウクライナの港町オデッサ。この街も外務省は「オデーサ」と表記することを発表しました。
40代後半から50代前半のおっさんにはこのニュース、ピクッとくる人も多いはずです。
宇宙世紀0079年11月7日、ウクライナ地域を実効支配するジオン公国に対し、劣勢だった地球連邦軍がオデッサ基地を落とすべく軍事行動にでます。有名なジェットストリームアタックは作戦前夜の激闘でした。
と機動戦士ガンダムでも登場するオデッサ。今さら「オデーサ作戦」にしろと言われても困るんです。


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