新今宮のこと

この記事の概要

新今宮のことなんにもしらねえ部外者がろくに調べてもねえくせに、人様の土地のやり方に文句つけんじゃねえクソボケファック。

西成区のプロモーションが燃えている。

西成区のプロモーションが燃えている。

『西成でホームレスとデートする』大阪市の #PR 記事について


元西成住民としては(といってもたかだか2年程なので名乗るのもおこがましいが)怒り心頭である。

燃えている側ではない。燃やしている側にだ。

燃えている側に問題がないとは言わない。noteの記事自体はPR表記がなかった点は間違いなく問題だろう。ただ問題の切り分けは必要だ。note記事の内容自体、私はいいも悪いも特になにも思わなかった。ただ、似たような経験をしたことはある。PR記事である以上、盛っている部分はあるとは思うがただそれだけ、というのが個人的な感想だ。内容が気に食わない、けしからんという人はそれでいい。

今回PRの対象となった「新今宮ワンダーランド」のWebサイト、ならびに「新今宮エリアブランド向上事業」の施策への反発、こちらについては新今宮への勘違い、無理解、無関心等から問題があるように思える。

新今宮とはどんな場所か

新今宮を一言で表すのは難しい。周辺が様々な顔を持っている。


・JR新今宮駅、南海鉄道新今宮駅、地下鉄動物園前等が集まる鉄道の要所の側面

・徒歩圏内に通天閣、新世界、天王寺動物園、スパワールド、あべのハルカス等がある観光地の側面

・徒歩圏内にドン・キホーテ、マルハン、あべのアポロシネマ、飛田新地等といった歓楽街の側面

・あいりん地区、あいりん労働福祉センター、三角公園周辺、各種商店街といった労働者の町である側面

・以前は労働者を、近年は観光客を含めた宿泊施設を提供するドヤ街としての側面

・路上演劇、外壁アート、過去にはコンテンポラリーダンスの劇場といったアートの街という側面

その他、とにかく様々な要素が集まったのが新今宮である。ワンダーランド、という表現も私個人としてはそこまで違和感はない。


新今宮エリアブランド向上事業、新今宮ワンダーランドは新今宮のPR施策だ

こんな当たり前のことを書くこと自体むなしいが、西成区の目的は新今宮地区のPRだ。

大阪市西成区役所は、関西一円の交通結節点として外国人観光客を含む来街者の増加が見込まれる新今宮エリアを、大阪ミナミの新たな玄関口として発展させ、「大阪都市魅力創造戦略」がめざす大阪全体の都市魅力向上に資するよう、エリアブランドの向上を図ります。


Twitterでは反発している方々はあまりにも新今宮=あいりんという図式でのみしか見ていない。

現地へ行ってみればわかるが、新今宮駅の目の前、徒歩1分の場所には建て壊しが決まったあいりん労働福祉センター、逆側徒歩5分の場所にあるのがスパワールド、その先には新世界、通天閣。そもそも新今宮自体が観光地を含んでいると言っていい。「ホームレスを見せ物にするつもりか?」という意見自体が西成、新今宮への偏見ではないか?

それとも新今宮をPRをする際にあいりん地区等に触れないほうがいいのか?そちらのほうがよっぽど問題ではないか。触れないなら触れないで叩かれるのは目に見えている。

もしくは新今宮のPRは許されないのか? これだけの要素を持っているのにも関わらず?

新今宮が観光地として収益を上げてはいけないということか? そちらのほうがよっぽど傲慢ではないか。

西成区の観光行政に当事者以外が物言いをする愚かさ

とはいえ、不快な想いをする者は出ないとは言わない。観光で収益をあげるか、ないしは拒否するか。それを決めるのは西成区、浪速区、天王寺区、阿倍野区といった新今宮周辺の区民ならびに行政が決めることで、部外者が口を出せることではない。

新今宮、とくにあいりん地区の歴史を知っているならば余計にだ。

■「生活保護の闇【5】“西成行きの片道切符”の真相」

あいりん地区、ならびに西成区は生活保護やNPO法人による支援、労働の斡旋など、相対的に(あくまで相対的にであって充分ではない)他の行政地区より福祉関連の施策は間違いなく進んでいた。逆に言えば他の行政地区が西成区に福祉施策を押し付けたと言っていい。

「ホームレスを観光として消費し、搾取する西成区は愚か」という構図で数多くの者が語っているが、むしろ西成を離れた私も含め、西成区民以外の人間全員が西成区、ないしは西成区民を搾取しているのが本当の構図だ。

悪いイメージを変えようと、安くない金を使ってPRする西成と、遠く離れた場所で搾取していることも知らず、ろくに調べもせずただ囀る者と、いったいどちらが邪悪なのか。


新今宮ワンダーランドは電通だけが進めたことではない

大阪市、維新行政、電通というキーワードだけで脊髄反射してろくに調べていない者のために記事を紹介する。


新今宮駅の周辺地域がひとつにまとまること、そして、新今宮についての情報発信をして、この町に来る人を増やすこと、などを目的にした会議だそうです。参加された方は、ココルームのオーナーさん、簡易宿泊所の組合の方、新世界メンバー、新今宮駅を運営する南海電鉄の方、大手広告代理店、その他、西成関係の団体の方など、20名以上の会議になりました。

会議の場所となったココルームは私が西成に住んでいた頃から名前を聞く、地元に密着してアート等に尽力されてきた施設だ。地元無視、大阪市と電通、維新が勝手に進めたという文脈で叩かれているが、しっかり地元の方々と話あって進めていることがわかる。

釜ヶ崎越冬闘争等、正直行政が触れにくい部分もよく紹介したと思ったが、地元の方々が提案したのではないかと勝手に予想する。もちろん実際のことはわからない。新今宮ワンダーランドに書かれている内容について、元住民として私はある程度納得できたが、地元の方々の協力があったのかもしれない。もちろんこれも本当のところはわからない。

関わった方々が表にだしていないだけで、今回の施策に満足しているかはわからない。不満のほうが大きいかもしれない。事実として釜ヶ崎で活動されている方が反論されていることは確認している。そういった声に対してアクションをおこさないと行けない面はあると思う。しかしそれは他の地域の人間が勝手に推測、代弁することではない。

西成、新今宮をどうするかは誰が決めることか

西成や新今宮が問題がないとは言わないし、今度どうなるか分からない。

ただ、どうするかを決めていくのは部外者ではなく、当事者であるべきだ。

今回の件にせよ、星野リゾートの件にしてもだ。

投票したわけでもなく、取材もしたわけでもないため実際のところはわかないが、少なくとも星野リゾート再開発について賛否の賛がまったくないわけではない。

「星野リゾートが進出すると決まり、他の区の人々が、『古きよき大阪の風景がなくなる』『浪花の人情が消える』などとおっしゃる。けれども、商売をする者にとっては、こんなにうれしい出来事はない。もともと、ここは誰も排他しないウエルカムな街なんですから。星野リゾートが来るというのなら、我々は喜んでおもてなしをしたいです」

変化を望む方もいらっしゃる。

件のTogetterに

渋谷の宮下公園の一件でも思ったけど、ホームレスにずっとホームレスでいてもらいたい勢力がいるんだろうな

というコメントがあったが、むしろ、西成やあいりんにはずっと今の西成やあいりんでいてもらいたい勢力がいるのではないか?

変化を望まない方もいるだろう。最終的には話し合いや選挙で決めてもらうしかない。

新今宮エリアブランド向上事業ならびに新今宮ワンダーランドも当事者の方々によって取り下げられるのであればわかるが、今回のような愚かな偽善者かつ部外者による炎上によって取り下げられる、と言ったことがないことを祈りたい。



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