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いたずら好きの魔法使い【企画書】


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いたずら好きの手品師に出会い、あがり症の女の子がかわっていく!

あらすじ

あがり症の中学二年生の上里はあるとき手品に出会う。
一つ先輩の歩夢、彼のパフォーマンスは堂々とした立ち振る舞いで、失敗すらすぐに演出の一つにしてしまう。まるで魔法のような彼の手品に上里も目が奪われてしまう。
もしかしたら私も手品を習えば人前に立てるかも!
なんとか歩夢から教わるものの、頼みの彼はいつも遊んでばかり。
いかさまや悪戯でからかう歩夢は教える気があるのだろうか? 疑問に思いながら付き合ううちに、上里はいつしか彼との手品が楽しくなっていく。

1話

合唱に劇、ダンス。思い切って人前に立つ部活に入るものの上里はちっともあがり症を克服できない。
気絶したらすぐに部活をやめる。そのなりふりかまわぬ行動から、道場破りならぬ部活破りの上里と学校では有名だった。

原因は数カ月ほど前、ピアノのコンクールに出た際、高熱で倒れてしまったことにある。それから上里は人前で緊張してしまい、思うように行動できないのだ。
これではピアノもできないし、それどころか国語の音読や体育の実技試験すらままならない。それに母が期待しているピアノができなければ、がっかりされてしまう。

どうすれば克服できるだろうかと悩んでいる時、路上パフォーマンスで手品している人を見かける。堂々とした立ち居振る舞いで、失敗しても上手くカバーして演出にしてしまう技量。
手品ならば、自分のあがり症を治せるのではないか――。
そう藁をも掴む気持ちで、パフォーマンスをしていた男に教えを請う。


上里に教えを請われた歩夢は、学校で手品をする人もおらず、一人で路上パフォーマンスをしていた。同じ学校の先輩だった歩夢は、部活破りの上里に見覚えがあった。
彼女は気絶したらその部活をやめてしまう――。
すぐに部活をやめる彼女に教える気にはなれなかった。なにより今の歩夢は一人でやる方が気楽だ。

断る気だったが、歩夢は口を閉ざした。一点気にかかることがあるのだ。部活破りの上里がどうして部活にもなっていない手品を選んだのか。
彼女は本気で手品に興味があるのか、それとも自分の過去を知っているから寄ってきたのか。
気になった歩夢は彼女を試すことにした。
「次の日曜日までに、手品ができるようになっていれば考えてもいい」と言い、彼女にトランプを渡すのだった。

約束の日。歩夢は他の用事ができてしまう。
雨も降っているため来ないだろうと考え、つい上里との約束を後回しに。
遅れていけば、雨の中で上里が待っていることに驚く。さらに下手ながらも上里は手品を披露してくれる。
これは興味本位のいい加減さではできない。そう思った歩夢は、なぜ手品をしようと思ったのか聞く。

すると彼女はピアノの件であがり症になってしまったことを告白する。
「このままじゃピアノもできなくて母にがっかりされてしまうかも……」と悩む姿に、なかなか面倒なことに首を突っ込んでしまったようだと感じる歩夢。しかし上里は約束を守った。
約束をした以上、歩夢は手品を教えようと決意するのだった。


2話以降の展開

上里が手品を教わり来ても歩夢は遊んでばかり。
歩夢から人前でも緊張せずに振る舞える方法を学ぶつもりだったにも関わらず、一向にその素振りはない。

カードゲームですら、歩夢は勝負が負けそうになると、口からカードを出して手札を増やしたり、カードを撫でて手札を減らしたりと、やりたい放題。お陰でババ抜きも七並べも大富豪も彼に勝てた例しがない。
いかさまを教えてはくれるものの、素人のいかさまは歩夢にすぐバレてしまい、勝負にならないのだ。

技量が上がったようにも見えず焦る上里に「手品は遊びなんだから楽しくなきゃな」と言う歩夢。上里は適当にあしらわれていると凹むのだった。

部活破りをやめて数週間経ったある日。部活破りをやめたのかと学校でからかわれてしまう。
スルーしようとするも上里の行いが知らず知らずのうちに怒りを買っていたようで、相手から激しく詰られてしまう。
機転を聞かせ、上里は歩夢から教わった手品で相手を驚かせることに。その結果、クラスで浮きがちだった上里に、彼女を面白がってくれる友人ができる。

伝えれば、歩夢曰く「練習の成果がちゃんとでている」そうだ。人前で手品ができたこと、見破られなかったことは対したものだと褒められ、上里は彼への見方が変わる。そして歩夢との遊び時間を素直に楽しみ、手品の魅力を感じていくようになる。

一方、歩夢は真面目すぎる彼女の息抜きもかねて手品で遊ばせていたつもりだった。思いもよらぬ強さを知って驚きとともに喜びを感じる。


手品に楽しみを見出してきた頃、二人はマジックショーを見に行くことに。ショーの場で、手品の大会があることを知った上里は挑戦してみたいと思うが、もし失敗したらという不安から歩夢に提案ができない。

さらには偶然ショーに来ていた男に出会う。彼は歩夢の知り合いのようで、一方的に二人にきつい態度をとってくる。いつもは口が回る歩夢が黙って彼の話を聞いている。

歩夢は詰られるような人間ではないのに――。
そう男に言い返したいが、緊張してしまいそれもできない。そんななか、「歩夢がこうなら、弟子の上里はもっと無理だろう」と言う男に、歩夢が「上里には大会にでられる能力がある」と否定する。


勇気を出してショーに出たいという上里。学生マジック選手権にでることを目標にする二人。

しかし上里は手品の練習するものの、観衆が増えると緊張して必ずどもってしまう。見られている、というのが彼女を緊張させてしまうようで、なかなか改善しない。

さらには、歩夢がマジックショーで会った男とマジック大会に出場していた映像を見かける。当時の話を調べれば、ショーで男は怪我をし、歩夢自身も表舞台から姿を消したらしい。歩夢はこれ以降、大会にでることはなくなり、路上でお遊びのような手品をするだけだった。
自分が最初に声をかけたこと自体が迷惑だったのではないかと塞ぎ込んでしまう上里。

調子が悪い彼女の様子を心配した歩夢は、荒療治として自分のパフォーマンスの助手をさせる。
歩夢のフォローもあり、上里は気づく。
失敗もしてしまうが、周りの人はそれを気にしていない。お客さんは自分が思っているほど自分に悪意を持って見ていないのだ。
歩夢からも失敗しても大丈夫だっただろうと言われる。
失敗してもがっかりしない歩夢とお客さんを見て、上里の恐怖心も和らいでいく。


しかしパフォーマンスの助手をしているうちに、母親にバレてしまう。内緒にしていた大会のことも気づかれてしまい、母親には反対され、歩夢に会うことも止められてしまう。そんな中、歩夢から連絡が来る。
「今頑張りたい。例え後悔することになってもやって後悔したい」と思っていることを伝えると、歩夢は大会日にどう母親の目を誤魔化すかのアイディアを考えてくれる。


大会当日。朝早くから買い物に出かける母親と上里。トイレに行った隙、上里は着替える母親の目を誤魔化す。なんとか上里は歩夢と一緒に会場入りするが、母親にはすぐにバレてしまい、電話がくる。
会話の中で誤魔化そうとする歩夢を制して、上里は母親を呼んでほしいとお願いする。

今までの自分なら人前で何かできなかったけれど、歩夢が信じてくれたお陰で自分のことを信じられた。こんな自分がいると信じられた。だからそれを母親にも知ってほしい。
そう言う上里の意向を聞き、歩夢は母親に会場へ来てもらうことをお願いする。


本番の手品は途中、失敗してしまう。しかし収録していた音声が会場でなり、その失敗も演出の一つであったと勘違いしてもらえた。
これは事前に用意していた音源で、もしも失敗したら使用しようと歩夢が提案してくれたものだった。頭が真っ白になった上里だったが、音源を聞いて正気に戻り、最後まで怖じけずにやり抜く。

その姿を見た母親はどうせできないと自分が決めつけていたと後悔する。
上里は母に、もう一度ピアノができるようになりたかったこと。母の期待に答えられる自分になりたかったこと。手品を始めたきっかけを語る。
ピアノのやっていたときよりも楽しそうな笑顔で手品の話をする彼女を見て、自分が押しつけていたと感じ出す母親。
頑なだった母親の心も、上里の愛情でほどけていき、手品が好きになったならそちらをしてもいいと認めてくれる。

彼女に感化された歩夢は、自分も前を向くことを決意する。かつての仲間だった男に会う。
ずっと連絡をとらず向き合わなかったこと、別れてからマジック大会にもでなかったこと。今までの態度を謝る歩夢。
そしてやっぱり手品は好きだからやめられない。だからちゃんと向き合うことにすると伝えると、勝手にしろとだけ言われる。
詰らなかった以上、彼は自分を認めてくれたのかもしれない。そう思い歩夢は彼と別れる。

大会が終わった後、歩夢は久々に上里と会う。
二人で会い、チラシを彼女に見せて一緒にでないかと誘う。それは別のマジック大会のお知らせで、歩夢はもう一度表舞台に立つのだった。

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